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『刑事貴族2』1991~1992

2019-03-15 00:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY







 
1991年の4月から翌年3月まで、全40話が放映されました。前作と同じく日本テレビ系列、金曜夜8時枠の刑事ドラマです。

舘ひろし、郷ひろみと続いた主役のポジションを、この『刑事貴族2』からは水谷 豊さんが引き継ぎます。

ちょうど舘ひろし編が放映されてた時期に、水谷さんはテレビ朝日系列の日曜夜8時枠で『ザ・刑事』に主演されており、その後番組が石原プロの『代表取締役刑事』ですから、結果的に日テレとテレ朝が主演俳優をトレードしたような形になりました。

『ザ・刑事』でレギュラーだった小西博之さんと中村繁之さんは後に平成復活版『太陽にほえろ!』=『七曲署捜査一係』のメンバーになるし、『刑事貴族』シリーズも『太陽~』の正統な後継番組ですから、日テレとテレ朝との間に何らかのコネクションがあったのかも知れません。だから主役の「トレード」っていうのも、それほど現実離れした話じゃないと思います。

さて『刑事貴族』ですが、郷ひろみシリーズは私にとってイマイチでした。『太陽にほえろ!』に例えると、郷さんにはスコッチ(沖 雅也)みたいにハードかつシャープな刑事像を期待したのに、実際はベリーソフトな殿下(小野寺昭)だった……って感じです。

だから、女性とのロマンス的なエピソードが多かったですね。郷さんだけじゃなく布施 博さんにまで、安永亜衣さんとの恋愛話が創られてました。女性視聴者には喜ばれたかも知れないけど、男……少なくとも私は、刑事ドラマにロマンスなんぞは一切求めません。

刑事ドラマの刑事は、走って殴って蹴って撃ってナンボです。だから、スッとした顔の若い男女が、オシャレな服着て謎解きばっかしてる昨今の刑事ドラマは本当につまんない。

『太陽にほえろ!』にも一時期、辛気臭いエピソードばっかりで「一体どうしちゃったの?」って言いたくなる低迷期がありました。ちょうど裏番組の『3年B組金八先生』がヒットしたせいもあり、視聴率まで急降下。

存続の危機まで囁かれた当時の『太陽~』でしたが、快活で型破りなキャラクターで(ベリーソフトな殿下と入れ替わりに)登場する、ドック刑事(神田正輝)が状況を一変させてくれました。

『刑事貴族』における水谷豊さんも、まさにそんな感じです。視聴率はどうだったか知らないけど、ひろみシリーズで何となく停滞してた番組の空気が、水谷さんによって一気に活性化したように、私の眼には映りました。

当時、すでに水谷さんは刑事役をかなりの数やっておられて、この番組における「本城慎太郎」はその集大成みたいなキャラクターだったように思います。

正義感が異常なほど強く、悪を懲らしめる為なら手段を選ばないハミダシ刑事で、犯人逮捕の際には必ずプロレス技を使うというw、水谷豊@刑事役の定番メニューのフルコース。

その役ごとにキャッチーな口癖を考案するのも水谷さんのお約束で、本城刑事は「あ~、お恥ずかしいったらありゃしない」とか「あ、ラッキーラッキー♪」等のフレーズがお馴染みになりました。

そんな水谷さんが加わった事で、予定調和に収まらない独特のリズムが生まれ、画面が弾んで見えるんですよね。すると脚本も共演俳優陣の芝居も、瞬時に感化されて弾み始める。『太陽にほえろ!』があの時から神田さん中心の世界観に変わって行ったのと同じような現象が、この『刑事貴族』シリーズにも起こってました。

だから、水谷豊という俳優さんが好きか否かで、以降の『刑事貴族』シリーズに対する評価はハッキリ岐れるかと思います。私は、この時点では好きでした。新鮮で面白かったです。

この時期の水谷さんって、何となく『リーサル・ウェポン』のメル・ギブソンを意識されてたように、私は当時から感じてたんだけど、如何なもんでしょうか?

ちなみに前シリーズ最終回でフッくんがあっけなく殉職(彼は最後までマヌケでした)、実質的に番組を引っ張ってた布施博さんも転属って形で降板されました。

代わって登場するのが『ジャングル』でデビューした生真面目&熱血キャラの田中 実と、体育会系イケメンの団 優太。奇しくもこのお二人、どちらも後に自殺という形で他界されてます。合掌。

そして番組中盤(19話)で高樹沙耶(現・益戸育江)と団優太が本庁への栄転って形で降板。代わりに寺脇康文と鳥越マリが新メンバーとして加わります。

さらに『刑事貴族3』の中盤には沙耶さんが復帰し、水谷・寺脇・高樹(益戸)という、後の『相棒』に繋がる水谷ファミリーが形成されて行きます。『相棒』も『ザ・刑事』と同じテレ朝の番組ですから、やっぱり日テレと何らかの繋がりがあるんでしょう。

そんなワケで、水谷さんが主役になった事により『刑事貴族』シリーズは、よりアクティブになったと同時に、コメディ色も強めて行く事になりました。

そこまでは私も大歓迎でした。舘さん編のハードボイルドな感じも良かったけど、基本的に私は明るい作風が好きなんです。『ジャングル』では見せ場が無くてブレイクし損ねた田中実さんが、ここでは準主役級でプッシュされてるのも嬉しかったです。

だけど、前にも書いた通り、回が進むにつれて若手キャスト全員が水谷さんのカラーに染まり、水谷さんのリズムに乗って、何となく一本調子な世界になって行っちゃったのが、個人的には残念でした。軽快なフック(アドリブ)の応酬みたいな掛け合いも、エスカレートすると舞台演劇みたいになって来ちゃいます。

ただ、そういうノリも私は決して嫌いじゃありません。例えば『俺たちは天使だ!』(もちろん昭和のオリジナル版)における、探偵たちの軽快すぎる掛け合いなんか大好きです。でもそれは、沖 雅也、渡辺篤史、柴田恭兵、神田正輝と、本当に芸達者な役者さんが揃っていればこそ楽しめる、かなりハードルの高い芝居なんですよね。

私の勝手な判定によれば『刑事貴族2』でそのレベルに達してたのは、水谷さんと寺脇さん、そして実さんの3人だけ。(さすがにベテランの松方弘樹さんと地井武男さんは水谷カラーに染まらなかったので例外とします)

宍戸開さんはキャラクターの良さで何とか見てられたけど、団優太さんはちょっとキツかった。女優陣にもあのノリは向いてないですよね。合わせるのがやっと、だったんじゃないでしょうか?

1人でもついて行けない人がいると、ああいうノリは崩れちゃいます。水谷さんが絡んでる場面ならうまくフォローしてもらえるけど、若手どうしだとキツいですよね。

それと、これも前に書きましたが、キャスト全員が同じ方向を見て進んでいくドラマを、私は面白いと感じられないんです。刑事どうしの対立は描かれてたけど、基本が仲良しだから予定調和にしかならないですよね。それは『太陽にほえろ!』にも言えた事で、だからこそスコッチみたいなカンフル剤的キャラクターが必要になる。

だけど『太陽~』のメンバーは全員、自分の世界ってものを確立してました。いくら番組のカラーがドック色に染まっても、あくまで山さんは山さんだし、ゴリさんはゴリさんのままでした。誰もドックのノリに合わせたりしませんからw

こういう比較論で番組を評価するのはアンフェアかも知れません。『太陽にほえろ!』は『太陽にほえろ!』、『刑事貴族』は『刑事貴族』で別モノなんだから。ただ私個人の好みとして、番組がだんだん「劇団・水谷豊」のミニシアターみたいになって行ったのが、ちょっと残念だったという事です。

なので『刑事貴族2』及び『3』は、飛び飛びにしか観てませんでした。イマイチ私は乗り切れなかったワケですね。
 

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