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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『トライアングル』2009

2019-06-13 00:00:20 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2009年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜10時枠で全11話が放映された、新津きよみ原作、関西テレビ制作によるミステリードラマ。

大学病院の医師からインターポール(国際警察)の刑事に転職したというスーパーマン=郷田(江口洋介)が東京・大田西署の捜査課に自ら研修を志望し、着任したんだけど、なぜか彼はとっくに時効が成立した25年前の少女誘拐殺人事件をこっそり調べてる。

不審に思った同僚の黒木刑事(稲垣吾郎)が郷田の過去を調べてみると、なんと彼は殺された少女と同郷、しかも小学校で同じクラスの生徒だったから驚いた! そのうえ死んだ筈の少女の名前=葛城サチエを名乗る女(広末涼子)が現れたからワケが分からない!

郷田はなぜ今さら時効が成立した事件を調べるのか? そして真犯人は誰なのか? このサチエは本当にあのサチエなのか? SMAPの解散は本当に工藤静香の陰謀なのか? 乳首は? 足の裏は?

大田西署のベテラン刑事に小日向文世、黒木の父親である本庁の刑事部長に北大路欣也、郷田と二人暮らしの妹に相武紗季、サチエの両親に大杉 漣・風吹ジュン、そして郷田の怪しすぎる同級生たちに堺 雅人・谷原章介・佐々木蔵之介、といったレギュラーキャスト陣。

謎が謎を呼ぶストーリー、繰り返されるどんでん返し、思わせぶりな台詞の数々、悲劇的な展開、そしてイケメンたち……何もかもが女性視聴者を食いつかせる為にセッティングされた究極のゲームであり、それを延々と三ヶ月も見せられるなんて私にとっちゃ拷問でしかないんだけどw、いちおう刑事が主人公だし、それを演じるのが『太陽にほえろ!』の後番組でTVデビューされた江口洋介さんだし、またこの後の連ドラ界を背負っていく俳優さんたちがズラリと顔を揃えた作品でもあるので、時代の記録として刻んでおく事にしました。

2002年の話題作=木村拓哉&明石家さんま主演の『空から降る1億の星』とよく似た路線で、キャスティングもロケーションも豪華だし映像も音楽もスタイリッシュ。「なんとしてでもヒットさせたる!」っていう創り手たちの気合いがビンビンに伝わって来ます。

とにかく「当てること」のみに全力を尽くしたであろう作品で、視聴率は常時二桁をキープ、最終回は15.5%をマークとまずまずの成績を上げたけど、局からすれば物足りない数字だった事でしょう。

私としてはやっぱり、同じキャストで痛快アクション路線の明るい刑事ドラマが観たかった。だけどそれじゃ女性が食いつかない、数字が稼げないワケです。

数字さえ稼げれば、パクリと言われようがワンパターンと言われようが構わない。もはや創り手にはプライドも志もない、そんなことを気にする余裕もない。そういう時代になっちゃったんです。
 

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『シバトラ/童顔刑事・柴田竹虎』2008

2019-06-10 12:08:13 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2008年の夏シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、フジテレビ&共同テレビの制作によるコメディータッチの刑事ドラマ。'09年と'10年には続編となる2時間スペシャルも制作されました。

安童夕馬(原作)&朝基まさし(作画) による少年マンガの実写化で、100%少年少女向けの番組。ゆえに我々オジサンが観るにはちょっとキツい内容になってますw

横浜みなみ警察署の生活安全課少年係に配属された新米刑事・柴田竹虎(小池徹平)が、とても刑事には見えないその童顔を活かして不良グループや高校のクラスに潜入し、犯罪に巻き込まれた未成年者たちを救っていくというストーリー。

竹虎には「一度触れた相手に死の危機が迫ると死神の手が見える」という特殊能力があり、前年に登場した『SP/警視庁警備部警護課四係』と同様、刑事物や探偵物にSFファンタジーの要素を盛り込んだドラマのはしりでもあります。

私としては、そういう設定をあまり刑事物には持ち込んで欲しくないんだけど、後の『デカワンコ』(これもマンガ原作) みたいな成功例もある事だし、あくまで使い方次第。

この『シバトラ』の場合、特殊能力うんぬん以前に(主人公だけじゃなく全ての)キャラクターに実在感が無さすぎて、絵空事にしか見えないんですね。『デカワンコ』がいかに絶妙なバランスでマンガイズムとリアリズムを両立させてたか、本作と比べるとあらためてよく分かります。

笑いのセンスにしても『デカワンコ』みたいな切れ味や洗練された感じがまるで無く、ただひたすら騒々しいバラエティー番組のノリで、オジサンにはキツいですw

それでも好視聴率をキープしてましたから、若年層のニーズは的確に捉えてたのかも知れません。小池徹平くんの人気もきっと凄かったんでしょう。全盛期のマイケル・J・フォックスに似てますもんねw

ヒロインは第1話の事件で竹虎に救われ、彼のアパートに押しかけて強引に同居しちゃう、いかにも少年漫画キャラの女子高生=宝生美月。演じるのは7歳から女優活動されてる大後寿々花さん。

そして何かと竹虎の面倒をみる元ヤンキーに藤木直人、その子分に塚地武雅、生活安全課少年係の係長に真矢みき、刑事に宮川大輔、交通課婦警に南 明奈、近野成美、松田珠希、交番巡査に今田耕司が扮するほか、ブレイク前の波瑠、鈴木亮平、三浦涼介といった人たちも出演されてました。

いろいろ文句を書きましたけど、そうしてツッコめるのは番組に強い個性があるからであり、どれも似たり寄ったりで無難に作られた謎解き刑事ドラマ群よりは、ずっと見所があるとも言えます。
 
コメント (2)
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『ゴンゾウ/伝説の刑事』2008

2019-06-10 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2008年の夏シーズンに全10話が放映された、テレビ朝日系列・水曜夜9時枠の刑事ドラマ。

『鈴木先生』『リーガルハイ』『デート/恋とはどんなものかしら』等の古沢良太さんが脚本を担当され、向田邦子賞やギャラクシー賞にも輝いた作品です。

1話完結ではなく10話かけて1つの事件を解決していく構成で、事件の加害者・被害者のみならず、それぞれの家族や目撃者、犯行に使われた拳銃の開発者にまでスポットライトを当て、じっくり時間をかけて背景を描くことで多面的、重層的な人間ドラマを創り出し、尋常ならざる見応えを我々に与えてくれます。

主人公はゴンゾウ(能力はあるのに働かない警察官の意)と呼ばれる井の頭警察署の黒木警部補(内野聖陽)で、追ってるヤマは女性ヴァイオリニスト(前田亜季)が射殺された事件。

第5話では、犯行に使われた拳銃がどこから出回った物で、誰が造り、誰が売って誰が買ったのか等、『太陽にほえろ!』なら3分で済むような捜査過程をw、じっくり丸1話かけて描いてました。

「イカヅチ」と呼ばれるその拳銃はかつて、日本警察制式拳銃の座をニューナンブと競い合い、不採用に終わった為ほんの数丁しか出回らなかった幻の拳銃という、ガンマニアにはたまらん設定なんですねw

で、骨董品なもんでそのままじゃ使えず、犯人の手に渡る前に町工場の施盤工(左とん平)が修復していた。

その男はかつて「イカヅチ」の開発に関わってた人物で、その拳銃への愛着があるもんだから「決して使用しないこと」を条件に修復を引き受けた。なのにそれが殺人に使われ、激しく後悔した彼は、修復を依頼した拳銃ブローカーを殺害しようとする。

……てな具合で、拳銃一挺にも様々な人間が関わってて、それぞれに歴史とドラマがある。それを丹念に描いた作品であり、古沢良太さん曰く「刑事ドラマのふりをした人間ドラマ」。

もちろん、主役であるゴンゾウ=黒木警部補にも歴史とドラマがあり、それが事件関係者たちのドラマと絶妙にリンクし、やがて真相に繋がっていくという、練りに練られたストーリー。

レギュラーキャストは、黒木の相棒となる新米刑事に本仮屋ユイカ、同僚たちに高橋一生、綿引勝彦、吉本菜穂子、そして黒木と対立する本庁捜査一課の佐久間警部に筒井道隆が扮するほか、矢島健一、菅原大吉、和田正人、大塚寧々、三輪ひとみ、池脇千鶴etc…といった顔ぶれ。

黒木と佐久間が対立する背景も丁寧に描かれ、ゆえに二人が共闘する最終回にはカタルシスもありました。

殺人事件が毎週起こって当たり前の「刑事ドラマ」というジャンルにおいて、全10話を1つの事件だけで引っ張って見せた手腕はさすがの古沢脚本。数々の受賞も納得の作品かと思います。
 

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『刑事の現場』2008

2019-06-09 12:00:36 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2008年3月、NHK「土曜ドラマ」枠で全4話が放映された、NHK名古屋放送局の制作による刑事ドラマ。

当時、団塊世代の警察官たちが大量に定年を迎え、若手中心となりつつある警察組織の能力低下が問題視され、その報道取材を基にドラマが制作されたという、異色の経緯で生まれた作品です。

愛知県警・東和警察署刑事課捜査一係の伊勢崎係長に寺尾 聰、新米の加藤刑事に森山未來、主任の岸田刑事に浜田 学、加藤と同期の古川刑事に忍成修吾、捜査二係の野下係長に石倉三郎、バツイチ「マミー」の瀬戸山刑事に池脇千鶴、鑑識係の守本主任に宇崎竜童、木島鑑識員に三浦アキフミ、交番勤務の大島巡査に苅谷俊介、そして桐島副署長に真野響子、といったレギュラーキャスト陣。

初めて観た時、刑事を演じる森山未來くんや池脇千鶴さんらのあまりに若い……いや、幼いルックスにまず驚きました。

いくら何でもこれじゃ刑事に見えない、もうちょっとそれらしく見える若手俳優をキャスティング出来なかったの? 人気優先で選んでるんじゃない?って、当時は初っぱなから引っ掛かって観る気になれませんでした。

だけど今にして思えば、若手刑事たちの頼りなさをビジュアルで表現する為に、あえて童顔の役者さんを選んでるんですよね、たぶん。

本作は団塊世代から若手への伝承がメインテーマであり、たまたまその舞台が警察になっただけの話。だから「刑事物」っていう限定されたジャンルと見なされない為にも、あえてそれらしい役者は選ばなかった……のかも知れません。

だけどその分、去り行く団塊世代には昭和の刑事ドラマを代表する感じで寺尾聰さんが選ばれ、かつて『西部警察』で同僚だった苅谷俊介さんと意味なく絡んだりするんですよねw 舘ひろしさんに『新宿鮫』を演らせたり『クロスロード』で神田正輝さんと組ませたり等、NHKさんには意外と好き者が多いみたいですw

もちろん、綿密な取材に基づいて創られた世界観はリアルだし、現代社会の問題を巧みに取り入れたストーリー(脚本は『太陽にほえろ!』でデビューされた尾西兼一さん)には説得力があり、その高いクオリティーは「さすがNHK!」と言わせるものがあります。

だけど考えてみれば、ベテランが若手に仕事のスキルやスピリットを伝えていくのって、それこそ過去「刑事物」のジャンルでさんざんやって来た事なんですよね。だから当時ホットな問題を取り上げた作品にも関わらず、印象はごくオーソドックスな刑事ドラマにしか見えなくて、そのへんは創り手たちの誤算だったかも知れません。

その反省を踏まえてか、翌'09年に放映される続編『リミット/刑事の現場2』ではガラリと趣を変え、心に闇を抱えた投げやりベテラン刑事(武田鉄矢)とサイコな連続殺人鬼(井浦 新)との狭間で翻弄され、常軌を逸していく森山未來くんの狂気が描かれ、刑事物というジャンルには収まらない力作になってました。

そのあまりに強いインパクトの続編(脚本はあの遊川和彦氏!)の陰に隠れて、目立たない存在と思われがちな『刑事の現場』第1シリーズだけど、ちゃんと観れば確実に楽しませてくれるクオリティーだし、各エピソードで描かれた現代社会の問題には考えさせられるものがあります。

特に原田芳雄さんゲストの第2話で描かれた、警察組織があまりに軽視しがちな「被害者遺族の心情」は、誰もが当事者になり得る問題だけにスルー出来ない重さがあり、第2シリーズではそれがメインテーマになってます。

池脇千鶴さんが子持ちの女刑事を演じる意外性も見逃せないし、『太陽にほえろ!』マニアとしては中堅に成長した「ダンク刑事」の姿にも感慨深いものが(ほんの少しだけどw)あるし、もちろん刑事を演じる寺尾聰さんには不変の格好良さがあるし、これはやっぱりスルー出来ない作品です。
 

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『交渉人/THE NEGOTIATOR』シリーズ '08~'09

2019-06-09 00:00:15 | 刑事ドラマ HISTORY









 
第1シリーズは2008年の冬シーズンに全8話、第2シリーズは2009年の秋シーズンに全9話が、共にテレビ朝日系列の木曜夜9時「木曜ドラマ」枠で放映されました。

さらにスペシャルドラマ2本、劇場版1本が公開され、ゲームソフトまで発売される人気シリーズとなりました。

警視庁捜査一課特殊犯捜査係=「SIT」に配属された初の女性ネゴシエーター・宇佐木玲子(米倉涼子)が、同僚たちから性差別や妬みの的にされ、孤立しつつも信念を曲げず奮闘し、やがて信頼を勝ち取っていくストーリー。

玲子を目の敵にするSIT指揮官に陣内孝則、玲子を目の敵にする係長に筧 利夫、玲子を目の敵にするセクハラ班長に笹野高史、玲子を目の敵にする無線係に鈴木浩介、玲子を目の敵にする管理官に高橋克実、玲子を目の敵にする警部補に高知東生、玲子を目の敵にする警視正に大杉 漣、といったレギュラーキャスト陣。多少の個人差はあれど、警察関係者は全員一人残らず玲子を嫌ってますw

宇佐木玲子は決して、米倉さんが後に演じる『ドクターX』の大門未知子みたいな傲慢キャラではなく、真面目で謙虚な人なのに寄ってたかってそんなに嫌わんでも!って思うんだけど、どうやら組織のイメージアップ目的で彼女をSITに抜擢した、警察上層部への反発心や妬みの感情が根底にあるようです。(それにしたって極端だ)

ほか、玲子の相棒となる若手ネゴシエーターに高岡蒼祐、玲子の唯一の理解者とも言える「レクター博士」的な死刑囚に城田 優、玲子にやたら興味を示す新聞記者に伊武雅刀、玲子の義妹に林 丹丹、玲子の数少ない友人に安めぐみ、さらに第2シリーズから浅野ゆう子、塚地武雅、鈴木悠介etc…といったキャストも加わります。

いつも書いてるように、刑事ドラマで組織内のゴタゴタが描かれるのを私はあまり好まないんだけど、本作の場合はそれを乗り越えていく主人公の成長が言わばメインテーマだし、それまで『黒革の手帳』等で無敵の悪女を演じてきた米倉さんがイジメられる「逆転の構図」が見所にもなってるので、そこを否定しちゃったらどうにもなりません。

まぁ、どんなにイジメられても米倉さんがメゲるようには全然見えませんからw、良くも悪くも安心して観てられます。シリアスタッチにも関わらず陰湿な感じがしないんですよね。それはイジメる側を演じるのが陣内さんだったり筧さんだったり高橋さんだったりと、ネアカな俳優さんばかりなのも無関係じゃないでしょう。

しかしそれにしたって極端で、仕事帰りにスーパーに寄れば他の客から「(会計が)トロい」と罵られ、家に帰れば義妹から邪魔者扱いされと、演じるのが米倉さんでなければ悲壮すぎて観てられないと思います。それを黙って堪え続ける米倉涼子の珍しい姿こそを楽しむドラマなんですよね。

加えて米倉さんの武器であるセクシー・ダイナマイトボディ、そして日本ではそれまで詳細には描かれて来なかったネゴシエーションのテクニック等、見所は多いです。

ともかく女性1人をええ歳こいたオッサンどもが寄ってたかってイビるという構図は、かえって米倉さんの強さを際立たせ、いよいよ本格的に「女性の時代」が始まったことを実感させられます。この手応えが後の大ヒット番組『ドクターX』へと進化して行くんでしょう。

だけど私は、超がつく天才で絶対的な味方もいるドクター大門より、孤立無援のなか努力と根性だけで踏ん張るネゴシエーター宇佐木玲子の方がずっと魅力的だと思います。
 

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