ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ゴンゾウ/伝説の刑事』2008

2019-06-10 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2008年の夏シーズンに全10話が放映された、テレビ朝日系列・水曜夜9時枠の刑事ドラマ。

『鈴木先生』『リーガルハイ』『デート/恋とはどんなものかしら』等の古沢良太さんが脚本を担当され、向田邦子賞やギャラクシー賞にも輝いた作品です。

1話完結ではなく10話かけて1つの事件を解決していく構成で、事件の加害者・被害者のみならず、それぞれの家族や目撃者、犯行に使われた拳銃の開発者にまでスポットライトを当て、じっくり時間をかけて背景を描くことで多面的、重層的な人間ドラマを創り出し、尋常ならざる見応えを我々に与えてくれます。

主人公はゴンゾウ(能力はあるのに働かない警察官の意)と呼ばれる井の頭警察署の黒木警部補(内野聖陽)で、追ってるヤマは女性ヴァイオリニスト(前田亜季)が射殺された事件。

第5話では、犯行に使われた拳銃がどこから出回った物で、誰が造り、誰が売って誰が買ったのか等、『太陽にほえろ!』なら3分で済むような捜査過程をw、じっくり丸1話かけて描いてました。

「イカヅチ」と呼ばれるその拳銃はかつて、日本警察制式拳銃の座をニューナンブと競い合い、不採用に終わった為ほんの数丁しか出回らなかった幻の拳銃という、ガンマニアにはたまらん設定なんですねw

で、骨董品なもんでそのままじゃ使えず、犯人の手に渡る前に町工場の施盤工(左とん平)が修復していた。

その男はかつて「イカヅチ」の開発に関わってた人物で、その拳銃への愛着があるもんだから「決して使用しないこと」を条件に修復を引き受けた。なのにそれが殺人に使われ、激しく後悔した彼は、修復を依頼した拳銃ブローカーを殺害しようとする。

……てな具合で、拳銃一挺にも様々な人間が関わってて、それぞれに歴史とドラマがある。それを丹念に描いた作品であり、古沢良太さん曰く「刑事ドラマのふりをした人間ドラマ」。

もちろん、主役であるゴンゾウ=黒木警部補にも歴史とドラマがあり、それが事件関係者たちのドラマと絶妙にリンクし、やがて真相に繋がっていくという、練りに練られたストーリー。

レギュラーキャストは、黒木の相棒となる新米刑事に本仮屋ユイカ、同僚たちに高橋一生、綿引勝彦、吉本菜穂子、そして黒木と対立する本庁捜査一課の佐久間警部に筒井道隆が扮するほか、矢島健一、菅原大吉、和田正人、大塚寧々、三輪ひとみ、池脇千鶴etc…といった顔ぶれ。

黒木と佐久間が対立する背景も丁寧に描かれ、ゆえに二人が共闘する最終回にはカタルシスもありました。

殺人事件が毎週起こって当たり前の「刑事ドラマ」というジャンルにおいて、全10話を1つの事件だけで引っ張って見せた手腕はさすがの古沢脚本。数々の受賞も納得の作品かと思います。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『刑事の現場』2008 | トップ | 『シバトラ/童顔刑事・柴田... »

コメントを投稿