goo blog サービス終了のお知らせ 

ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ホンボシ/心理特捜事件簿』2011

2019-07-20 00:00:16 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2011年の冬シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜8時枠で全8話が放映された、船越英一郎さん主演のこれまた心理サスペンス系の刑事ドラマです。

京都が舞台で、各方面のスペシャリストを集めた府警の新設部署「特別捜査支援班」が捜査一課に協力し、難事件を解決していきます。船越さん扮する桐島刑事は、元心療内科医で表情解読のスペシャリストという設定。

このシーズン、心理学を取り入れたプロファイル物がやたらブームで、TBS系列で北川景子 主演『LADY/最後の心理プロファイル』、フジテレビ系列で松下奈緒 主演『CONTROL/犯罪心理捜査』と、同コンセプトの刑事ドラマが各局で競作され、どれも同じようにプロファイルチームと捜査一課が対立してましたw タイトルも似たり寄ったりで見分けがつきませんw

そうなると、勝負を決めるのはキャラクターの魅力で、その点じゃ北川さんも松下さんもかなり弱いし、そもそも心理学のスペシャリストという設定自体にムリがあります。

好みの問題を抜きにしても、私は船越さんの圧勝だと思いました。『その男、副署長』等でも発揮された、不思議な吸引力と抜群の安定感。そして何より、キャラクターに説得力がある。

ただ美人で人気があるというだけで番組を背負えるほど、刑事ドラマは甘くない! 大事なのは、顔でもなければ若さでもないんですよね船越さん! イケメンは全員、死ねぇーっ!!(乳首)

顔はともかく、同じコンセプトの番組がこれだけ被っちゃう、TVドラマ界のネタ不足と、発想力の貧困さには破滅を感じます。このネタ自体、米国ドラマの焼き直しらしいし。

船越さんの圧勝と言っても、ドラマ内容が頭抜けて面白かったワケでもなく、前述の通り似たり寄ったりの謎解きスタイルで、テレビ朝日&東映の制作だから作りが手堅い、ぐらいの個性しか感じられません。

たまたま被っちゃうのか、あえて競作するのか知る由もないけど、かたやアクション満載、かたやナンセンスコメディー、みたいな色分けがあっても良さそうなもんです。いずれにせよ、女優さんが脱ぐべきです。

鑑識のスペシャリストが大塚寧々さん、庶務係が安田美沙子さん。そして船越さんと対立する叩き上げの班長が高嶋政宏さん(こんな役ばっかりw)。ほか、榎木孝明、菅田 俊、佐戸井けん太、石橋蓮司、桐山 漣etc…といったレギュラー陣でした。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『CONTROL/犯罪心理捜査』2011

2019-07-19 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2011年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、心理サスペンス系の刑事ドラマ。

警視庁刑事部凶行犯捜査課「分室」の室長に任命された熱血刑事=瀬川理央(松下奈緒)が、皮肉屋の心理学教授=南雲(藤木直人)のアドバイスを受けて難事件の謎を解いていきます。

刑事ドラマが謎解き(犯人当てゲーム)メインとなるのは今や当たり前で、あとは舞台設定(たいてい警視庁の窓際部署)を微妙に変え、旬の人気俳優(たいてい男女の組み合わせ)を主役に据えれば新番組の出来上がりという、いよいよお手軽なジャンルになって来ちゃいました。

そんな創り手たちの姿勢が、TBSやテレ朝との完全ネタ被り(同シーズンに心理サスペンス系の刑事ドラマが3本!)という結果にもろ表れてますよね。

TBSの『LADY/最後の犯罪プロファイル』は米ドラマ『クリミナルマインド』にソックリらしいし、はねっかえりの女性刑事が偏屈学者のアドバイスを得て事件を解決させる本作は、明らかに自局(フジ)のヒット作『ガリレオ』を心理学に置き換えただけ、に見えちゃいます。

勿論あの『太陽にほえろ!』だって偉大な先駆者たちの模倣からスタートした筈だし、革新的と云われた『踊る大捜査線』もその『太陽~』から派生したような作品なんだけど、決してそれだけで終わらず「誰もやらなかったこと」を徹底的に追究した結果の大ヒットだったワケで、そんなプラスアルファの努力があるか無いかによって視聴者の感じ方が全然違って来る。要は、ガツン!と来るか来ないかの違い。

流行りのネタを取り入れるのも、過去のヒット作を模倣するのも大いに結構。だけどそれだけじゃ我々にガツン!と来させるような作品は絶対に生まれません。

そんな「もうひと押し」の情熱というか、執念が、2000年代に入ってからの刑事ドラマには(特に謎解きメインの番組には)ほとんど感じられません。同じ商品をパッケージだけ変えて売ってるようにしか私には見えない。

主人公のキャラクターといい、警察組織における窓際部署の扱われ方といい、演じる役者さんが違うだけでやってることはほとんど一緒。となるともう、そのキャスティングにどれほどの見所があるかで観る観ないを決めるしかない。

残念ながら松下奈緒さんにも藤木直人さんにも、それだけの魅力は(少なくとも私は)感じられません。二人を取り巻く横山 裕、北村有起哉、勝村政信、泉谷しげるetc…といったレギュラー陣も、決して悪くはないけど「この人が出てるなら!」っていうほどの吸引力は無い。

唯一、鑑識課長に佐藤二朗、その助手に臼田あさ美という組み合わせには「何かやってくれそう」な期待感があるけどw、それはほんの添え物に過ぎないし……

というワケで本作『CONTROL/犯罪心理捜査』も、この時期から爆発的に量産されていくお手軽刑事ドラマ(謎解きゲーム番組)の、残念ながら典型的な1本に過ぎないと言わざるを得ません。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『LADY/最後の犯罪プロファイル』2011

2019-07-18 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2011年の冬シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠で全10話が放映された心理サスペンス系の刑事ドラマ。

容疑者不明の難事件を、数少ない手掛かりからプロファイリングによって究明する、警視庁捜査一課犯罪行動分析室=通称「CPS」メンバーたちの活躍が描かれます。

彼らは正確に言えば警視庁所属の技官であり、刑事じゃないので捜査権も逮捕権もありません。つまりただ突っ立って謎解きするだけで、本来見せ場である筈の追跡や格闘は他人任せ。そんな刑事物に一体なんの意味があんの?って私なんぞは思うんだけど、いよいよそれが当たり前の時代になって来たワケです。

そんなCPSの謎解きゲーマーたちに扮するのは、北川景子、平岡祐太、須藤理彩、要 潤、そしてリーダーに木村多江。

ほか、CPSのアドバイスを活用する捜査一課の班長にユースケ・サンタマリア、管理官に小澤征悦、北川さんの妹に岡本杏理、といったレギュラーキャスト陣。

そして初回スペシャルで連続猟奇殺人鬼を演じたのが、後に北川さんと結婚することになるDAIGO君でうぃっしゅ!(でも、この時から付き合ってたワケじゃないらしうぃっしゅ!)

うぃっしゅはともかく、当時24歳の北川景子さんが演じた主人公=香月翔子は元精神科医で、米国のFBIアカデミーで研修を積んできた凄腕プロファイラーという設定。

いくら彼女より若い多部未華子さんまで刑事を演じちゃう時代とはいえ、ゴスロリ刑事が警察犬並みの嗅覚で活躍する振り切ったコメディの『デカワンコ』と違って、こちらは陰惨な猟奇殺人事件も扱う超シリアスな内容。つまり嘘がつきにくい世界観。

いくらなんでも、当時の北川景子さんでは無理があり過ぎました。当然若すぎるし、演じてる感がハンパなくて観てると痛々しいくらい。ゴスロリ刑事にまったく無理を感じさせない『デカワンコ』の多部ちゃんと、これまた実に対照的。

10代半ばから映画の現場で鍛えられ、朝ドラヒロインまで経験済みの多部ちゃんだからこそ演じられたゴスロリ刑事と、同じくらい現実離れした香月翔子というキャラクターを演じるには、ファッションモデル出身の北川さんはあまりに経験が浅すぎました。

そんな北川さん演じる主人公が、自信たっぷりにゴーマンな台詞を連発するもんだから、私は主人公をいちいち目の敵にする脇キャラたちに、生まれて初めて共感しちゃいましたw つまり肝心の主人公がぜんぜん好きになれない。これは北川さんのせいじゃなく、キャスティングする側の問題だろうと思います。

薄幸キャラならお任せの木村多江さんがボスで、サポートする男性陣が要潤くんと平岡祐太くんだけというのも何だか頼りなく、捜査一課のユースケ・サンタマリアさんも小澤征悦さんも今回は陰鬱なキャラで、一向に空気が弾まないのもマイナス要因でした。かと言ってダークな作風を売りにするワケでもなく、中途半端な印象しか無かったです。

私は海外のテレビ番組はほとんど観ないので知らなかったけど、本作はアメリカの大ヒットドラマ『クリミナルマインド』をかなり忠実になぞった内容らしく、そこに根本的な問題があったのかも知れません。日本とアメリカじゃ状況も国民性も全然違いますから。

その『クリミナルマインド』が布教した、犯罪行動プロファイリングのノウハウこそが最大の見所ではあるんだけど、それもやっぱり魅力的なキャラクターがいなけりゃドラマの面白さには繋がりません。(そもそも犯罪捜査に心理学を用いるのは当たり前で、『太陽にほえろ!』の時代から普通にやって来たことだし)

それを知ってか知らずか、この2011年冬シーズンには犯罪心理学をメインテーマにした刑事ドラマがさらに2本、続けざまに登場するんですよね。

連ドラのネタ被りはよくある事だけど、同シーズンに3本、同じジャンルで同じテーマの番組が出て来ちゃうのは、たとえ偶然にせよクリエイターの姿勢としてどうなの?って、思わずにはいられません。
 
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『デカワンコ』2011

2019-07-17 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY








 
2011年1月、例年通り新作ドラマが一斉にスタートする中、ひときわ異彩を放つタイトルが私の眼に飛び込んで来ました。それが土曜の夜9時に日本テレビ系列で全10話が放映された刑事ドラマ『デカワンコ』です。('11年春に1時間スペシャル、'12年正月に2時間スペシャルも放映されました)

タイトルだけじゃありません。主役の女刑事がなんと、ロリータファッションに身を包んでいる!? その上、警察犬並みの嗅覚を持っている!? そんな変人キャラを、朝ドラ女優の多部未華子が演じている!?

その時、私はまだ多部ちゃんの事をほとんど知りませんでした。積水ハウスのCMや朝ドラ『つばさ』の番宣でお見かけしたのと、WOWOWのスペシャルドラマ『対岸の彼女』を途中から観た程度。

だから『デカワンコ』という新番組は、きっと失敗するだろうと思ってました。若手俳優がこういう奇をてらったようなキャラクターを演じると、照れが感じられたり表現力が追いつかなかったりで、寒~い空気が充満しちゃう場合が多いからです。

まして多部ちゃんに対しては「真面目そう」「育ちが良さそう」といったイメージを私は抱いてましたから、刑事のくせにロリータファッションなんていう、ふざけた行動は似合わない=ミスキャストだろうと思ったワケです。

だけど放送が開始される前に私は、この番組で『太陽にほえろ!』のテーマ音楽が使われる事を知ってしまったのでした。『太陽にほえろ!』は私の人生を変えたと言っても過言じゃない、かけがえのない作品なんですね。

だから1970年代に創られた『太陽~』のテーマ音楽が、一体どんな形で2011年の新作ドラマ(しかも、かなりはっちゃけたコメディ)に使用されるのか、見て確かめずにはいられなかったんです。

そして第1話を観て、私は驚きました。大袈裟じゃなく、私にとってそれは10年に1度あるか無いかの大きな衝撃でした。

まず、覆面パトカーで箱乗りする新米刑事・花森一子 (通称ワンコ)=多部ちゃんの、風を受けて全開丸出しになった、だだっ広いオデコ!

そして、まさに警察犬のごとく、殺人現場に残った犯人の匂いをクンクン嗅ぐ多部ちゃんの、鼻の穴を思いっきり広げたヘンな顔!(なのに可愛い!)

そんな多部ちゃんを見ても、私は「ああ、綺麗な顔した女優さんが無理して笑いを取ろうとして、なんと痛々しい……」とは全く思わないで、ごく自然に花森一子というキャラクターを受け入れてました。それこそが驚きなんです。

照れが感じられないとか、そんなレベルはとっくに通り越して、画面に映ってるのは花森一子という奇想天外な人物そのもの。そこに「タレント多部未華子」の存在は皆無なんです。

つまり彼女は、完璧に花森一子という変人刑事になり切ってる……と言うよりキャラクターを自分のものにしちゃってる。演じてる感じが全くしないワケです。

20歳そこそこの若手俳優が主演するコメディドラマを、こんなに安心して観ていられるなんて事が、これまであっただろうか? 本当に、久々に味わった衝撃でした。

さらに第1話のクライマックス。尊敬する先輩ベテラン刑事に手錠を掛けないといけなくなった一子が、思わず涙を流してしまう場面。

それがドラマである事を忘れて、私はもらい泣きしちゃいました。ロリータファッションに身を包んだ、現実には到底あり得ない筈の女刑事が、1人の人間として確かに存在し、視聴者の心を動かしてる。それがどれほど凄い事か!

私はすっかり、女優・多部未華子の虜になってしまいました。新作ドラマや映画は勿論、過去の出演作も片っ端から観て、わざわざ田舎から上京して主演舞台まで観に行くほど女優さんにハマったのは、後にも先にも多部ちゃんだけです。

そしてまた『デカワンコ』自体が、刑事ドラマの枠を打ち破りながらも刑事ドラマへのリスペクトに溢れた作品であり、アグレッシブでチャーミングでとても面白かった。

だから観れば観るほど私はハマったし、視聴率がシーズンのトップに輝くほどの人気番組となり、多部ちゃんを一気にメジャー第一線の女優へと押し上げる事にもなりました。

『デカワンコ』が如何にバカバカしくもアグレッシブなドラマであったかを、ドイツ生まれの警察犬・ミハイルの存在が象徴していたように思います。

警察犬が一子にライバル心を燃やす描写もさる事ながら、擬人化がエスカレートした挙げ句にドイツ人のイケメン俳優がミハイルを演じちゃう演出には、コメディ好きの私でさえ呆気に取られましたw

原作マンガにもあった描写とは言え、実写でそれをやると安っぽいお笑いコントに陥りかねません。そんな思い切った博打が打てたのも、多部未華子というしっかりした土台があるからこそ、だったんじゃないでしょうか。

多部ちゃんだけじゃなく、彼女を囲む共演陣にも芸達者な俳優さんが揃ってました。事件らしい事件が起こらず、刑事達が慰安旅行でじゃれ合ってる様子だけで1時間を消費してしまった伝説の最終回はw、キャスト陣の絶妙なアンサンブル無くしては成立しなかった筈です。

そんな警視庁刑事部捜査一課第八強行犯捜査殺人捜査第13係のメンバーは、ボス(升 毅)を筆頭にガラさん(佐野史郎)、シゲさん(沢村一樹)、コマさん(吹越 満)、ヤナさん(大倉孝二)、チャンコ(石塚英彦)、キリ(手越祐也)、デューク(水上剣星)。

そして警視総監に伊東四朗、鑑識課の警察犬係に田口トモロヲ、一子の親友である交通課婦警に渡辺直美といったレギュラー陣に加え、毎回のゲスト俳優も実力派の人達がキャスティングされてました。

森本梢子さんの原作マンガも傑作だけど、それをテレビ向けにアレンジした伴一彦さんの脚本も素晴らしく、『太陽にほえろ!』を軽妙かつオシャレにアレンジした小西康陽さんのサウンドトラックも最高に楽しくて、存分にドラマを盛り上げてくれました。

もちろん、これだけのキャスト&スタッフを揃えた制作陣と、素材の良さを十二分に活かしてまとめ上げた演出陣の手腕も素晴らしい!

だけどこのブログで特筆したいのは、やっぱり根底に垣間見える『太陽にほえろ!』へのリスペクトです。テーマ音楽は言うまでもなく、刑事達につけられたニックネームも実に『太陽~』的なんですよね。

特に花森一子 (いちこ) の「一」と、警察犬並みに鼻が利くという特技をかけて「ワンコ」と呼んじゃうセンスは、マカロニやテキサスに通ずるものがあるんじゃないかと私は思います。劇中でも、多部ちゃんの口から何度となく「こんな時『太陽にほえろ!』の刑事達は…」みたいな台詞が飛び出してました。

それに加えて、刑事達がよく走ってくれました。説明するまでもなく、刑事がやたら全力疾走するのは『太陽にほえろ!』の名物とも言うべき描写の一つです。

ただし、ワンコはチョー鈍足だし、チャンコさんは体重過多ですぐ足を挫いちゃう等w『デカワンコ』ならではのアレンジもあり、それがまた実に楽しいんですよね。

高そうな服を着た美男美女がただ突っ立って謎解きばっかしてるような、躍動感のカケラも無い安上がりな刑事ドラマばかり粗製濫造されてる昨今において、ロケを多用し、身体を張ったアクションをしっかり見せてくれる『デカワンコ』は稀有な存在です。

そういう部分においても『太陽にほえろ!』の遺伝子をしっかり受け継いだ『デカワンコ』に、私がハマらないワケがありません。それで今度は多部ちゃんマニアになっちゃったワケで、つくづく私の人生は『太陽~』に翻弄されっ放しです。

それはともかく、今の時代ならではのキャラクターとギャグセンスに彩られながら、古き良き時代の刑事ドラマを彷彿させる躍動感と熱いスピリット。

百聞は一見にしかず。未見の方は是非、騙されたと思って一度『デカワンコ』を観て頂きたいです。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『SPEC/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』2010

2019-07-08 12:15:05 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2010年の秋シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠で全10話が放映された刑事ドラマ。'12年と'13年にスペシャルドラマが2本、劇場版も2本公開され、'18年にはスピンオフのWebドラマも配信されてます。

脚本=西荻弓絵、演出=堤 幸彦、プロデュース=植田博樹と、'99年に中谷美紀&渡部篤郎の主演によりヒットした『ケイゾク』のブレーンが再結集、タイトルも当初は『ケイゾク2』とアナウンスされ、実際に竜 雷太さんと徳井 優さんは『ケイゾク』と同じキャラクターで出演されてます。

が、コメディ仕立てのサイコ・サスペンスだった『ケイゾク』に対し、今回の『SPEC』は超能力を真正面から扱うSFアクション物の色合いが濃く、ストーリー上の繋がりはほとんどありません。(繋がりを匂わせる描写はあったけど、マニア向けのサービスに過ぎないでしょう)

タイトルにある「未詳事件特別対策係」とは、捜査一課が手に負えない……というより相手にしない超常現象絡みの事件を引き受ける窓際部署で、主人公はそこに所属するIQ201の天才捜査官=当麻紗綾(戸田恵梨香)。そしてSITから左遷されて来たぶっきらぼうな元小隊長=瀬文(加瀬 亮)とコンビを組むことになる構図は『ケイゾク』と同じで、二人を見守る野々村係長(竜 雷太)も相変わらず雅ちゃん(有村架純)との不倫を続けてますw(こんなに心底から楽しそうなゴリさんは、よそじゃ見られませんw)

ほか、スペックホルダー(超能力者)たちを束ねる謎の少年=ニノマエ(神木隆之介)、スペックホルダーを利用して何やら企む公安の特務部長(椎名桔平)、そして福田沙紀、城田 優、安田 顕、田中哲司、大森南朋、真野恵里菜といった面々扮するスペックホルダーたちが絡んできます。

放映当時、私は堤幸彦ワールドならではの下らない小ネタやパロディを楽しみつつも、エスパーなら犯罪行為はおろか証拠隠滅やアリバイ工作などやりたい放題で、捜査も謎解きも関係無いやん!って、刑事ドラマにSFを持ち込むことに関しては否定的に捉えてました。

だけど今にして思えば、ただ毎回突っ立って殺人事件の謎を解くばかりの刑事ドラマが不満なら、謎解きもクソもない『SPEC』みたいなドラマこそ大歓迎すべきだったのかも知れません。すっかり謎解き番組一色になっちゃった今なら手放しで絶賛するしかないでしょう。

ゴールデンタイムの連ドラにSFはご法度みたいな空気が蔓延する中、この企画を実現させたパイオニア精神がまず素晴らしいし、『ケイゾク』と同じようにカルト的な人気を集め、シリーズを継続させた手腕もリスペクトあるのみです。

ただし、あくまで個人的な好みで言えば、思わせぶりに「謎」を振り撒くあざといドラマ創りに、私はまったく共感できません。作者が頭の中で勝手にでっち上げた真相なんか、ホント心底どーでもいい。

だからこの『SPEC』もストーリーが佳境に入れば入るほど興味を失い、映画版はいっさい観てません。(テレビで観たかも知れないけど憶えてないw)

そういうところも『ケイゾク』の時と同じです。あくまで刑事ドラマの枠内ギリギリのところで遊んでた、TVシリーズ中盤あたりまでが(私としては)一番面白かったです。

そう、私が常に求めてるのは面白い刑事ドラマであり、斬新で刺激的な刑事ドラマなんです。いくら斬新で面白くても「刑事ドラマ」の枠から逸脱しちゃうとつまんない。そういう意味じゃ『SPEC』は『うぬぼれ刑事』と同じカテゴリーですw

だからやっぱり手放しじゃ絶賛できないんだけど、誰も枠を壊そうとしない今となっては眩しい存在。ここらでまた、『ケイゾク』チームによる第三の刑事ドラマ、斬新だけど決して逸脱しない刑事ドラマに期待したいところです。(思えばムチャな注文なのかも知れませんw だからこそ価値がある!)

PS. インテリヤンキー・当麻捜査官に扮した戸田恵梨香さんの、なりふり構わぬ三枚目演技は絶品!(人の話を聞きながら鼻くそをほじり、しまいには食べてしまう!w) それだけで充分に観る価値アリです。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする