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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『戦力外捜査官』2014

2019-09-18 00:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2014年の冬シーズン、日本テレビ系列の土曜夜9時「土曜ドラマ」枠で全10話が放映された、コメディータッチの謎解きドラマ。似鳥鶏さんによる推理小説シリーズを映像化した作品で、2015年春には2時間スペシャルも放映されてます。

警察庁のキャリア組であるエリート警部=海月千波(武井 咲)が、現場で経験を積みたいと自ら警視庁捜査一課への出向を希望し第十八係に配属されるも、相手がキャリアゆえ監督責任を負いたくない上司たちから「捜査しなくていい」と言われ、お守り役の若手刑事=設楽(TAKAHIRO)と二人で雑用ばかりやらされちゃう。

だけど持ち前のガッツで現場に飛び出し、命令を無視してガンガン捜査する千波に、最初は振り回されるばかりだった設楽もやがて感化され、名コンビとなって数々の難事件を解決していくというストーリー。

十八係の係長に八嶋智人、刑事に徳重 聡、濱田マリ、野間口 徹、木下隆行、渋谷謙人、警視総監に柄本 明、副総監に佐野史郎、管理官に小籔千豊、鑑識係に手塚とおる、事務員に水沢エレナ、千波の両親に伊吹吾郎&YOU、設楽の下宿先(空手道場)の師範に関根 勤、その娘に北川弘美、といったレギュラーキャスト陣。

日テレの土曜ドラマと言えば傑作コメディ『デカワンコ』を生んだ放映枠で、メイン演出=中島 悟、音楽=小西康陽という布陣も共通しており、どうしても同じノリを期待してしまうのですが……

残念ながら、コメディとしては不発に終わった印象です。

『太陽にほえろ!』にオマージュを捧げた『デカワンコ』は主人公(多部未華子)を中心としたチーム物であり、沢村一樹、吹越 満、升毅といった芸達者なメンバーたちの掛け合いがドラマを弾ませ、アクティブなシーンも多くて全編が見せ場となってました。

対してこちらの『戦力外捜査官』は主人公とその助手がチームを離れて殺人事件の謎を解くホームズ&ワトソン型のミステリーであり、アクティブな描写はほとんど無く、せっかく芸達者が揃った十八係のチームも「その他大勢」扱いで力を発揮出来ません。

つまり主役コンビ2人だけでドラマを引っ張らねばならず、武井咲さんもTAKAHIRO君も決して下手じゃないんだけど、コメディという最もハイレベルな演技が要求されるジャンルを担うには、ちょっと荷が重すぎたように思います。

多部未華子さんという揺るぎない存在感と実力を持つ主役を得た『デカワンコ』は、共演者たちが安心して思い存分バカをやってるように見えました。

それに対して『戦力外~』チームは、出来るだけ主役コンビより目立たないよう芝居を抑え、引き立て役に徹しておられるような感じがしました。(それが本来あるべき姿なのかも知れないけどw)

あと、大野克夫さんの名曲「太陽にほえろ!メインテーマ」や「ジーパン刑事のテーマ」をリミックスした『デカワンコ』サウンドトラックのノリの良さに比べると、黛敏郎さんの「スポーツ行進曲」をリミックスした本作のBGMは、いくら何でも刑事ドラマにはミスマッチ過ぎましたw(戦力外→野球→スポーツ行進曲っていう発想は解るんだけど)

コメディとしてイマイチでも、スリルとサスペンスで楽しませてくれれば問題ないんだけど、なにぶん本質は謎解きゲームですから私には退屈に過ぎません。

それでも鑑賞に耐えられたのは、ひとえに主役=武井咲さんの可愛らしさに尽きるかと思います。とにかく彼女の魅力を全面に押し出すために作られたドラマなんだと思えば、刑事たちが「その他大勢」扱いなのも納得せざるを得ません。

あくまでこれは武井咲さん(と、ついでにTAKAHIRO君)のプロモーション番組。そう割りきって観れば、良く出来た作品と言えなくもない……かも知れませんw
 

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『S/最後の警官』2014

2019-09-08 00:00:08 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2014年の冬シーズン、TBS系列の日曜夜9時「日曜劇場」枠で全10話が放映された警察ドラマ。小森陽一&藤堂裕による人気コミックの実写化作品です。

通常の警察官では対処できない凶悪事件において、犯人の制圧ではなく生け捕りを目的とする特殊部隊=警視庁特殊急襲捜査班「NPS」が新設され、SIT、SATに次ぐ第三の「S」として注目されるも、その成り立ちの裏には警察上層部と政治家たちの黒い陰謀があり……というお話。

幼少時にガールフレンドの両親を目の前で殺され、その犯人も警察に射殺されたため誰も裁かれずに終わり、そのトラウマから「絶対に犯人を死なせない」をモットーにNPS入りした主人公に、向井 理。

そんな彼とは対照的に「凶悪犯には死の制裁を」という素晴らしい信念を持つSATの凄腕スナイパーに、綾野 剛。

そしてNPS隊長に大森南朋、隊員に平山浩行、池内博之、高橋 努、SAT隊長に高嶋政宏、NPS創設者の警察庁次長に近藤正臣、主人公の恋人に吹石一恵、科警研の女に土屋アンナ、そして終盤からNPS入りする女性スナイパーに新垣結衣、テロリストにオダギリジョー、といったレギュラーキャスト陣。

これ見よがしな豪華キャスティングに大がかりなロケーション、オーバーな芝居に押し売りの涙、翌'15年の劇場版公開を最初から前提にしたメディアミックス展開など、とにかく「ヒットさせること」だけを目的に作られた、いかにも「日曜劇場」らしい番組。

もちろんキャストは豪華な方が楽しいし、芝居がオーバーだろうが演出がクサかろうが、内容が面白ければ何の文句もありません。

だけど日曜劇場は大抵、その肝心な部分がおざなりにされるんですよね。とにかく視聴率を稼ぐことしか考えないから、数ある過去のヒット作が築いて来た「大衆が喜ぶストーリー」のパターンを忠実になぞった、いわゆる「予定調和」の典型モデルになっちゃってる。

だけど、それも仕方がないと言えば仕方がない。あれだけお金を掛けたからには「ヒットしませんでした」じゃ済まされないから。

とはいえ、それは日曜劇場に限らず全てのメジャー作品が背負う宿命ですから言い訳になりません。これの何十倍、何百倍もの製作費を掛けたハリウッド映画は、ちゃんと面白く出来てるワケですから。

ハリウッド映画にあって日曜劇場に無いもの、それはズバリ「観客をナメない姿勢」じゃないかと私は思います。ハリウッド映画は、ヒット作のパターンをなぞるにせよ絶対にそれだけじゃ済まさない。あの手この手で我々の予想の斜め上をいき、楽しませる努力を惜しまない。

日曜劇場は、視聴者をナメてます。ただエサを蒔いとけば食いつくだろうとタカをくくってる、としか思えない。私があの番組枠を目の敵にする理由はそこにあります。

日曜劇場が視聴者をどうナメてるのか、この番組のリアルタイム放映時に書いた以下の記事を読んで貰えば、だいたい解って頂けるかと思います。


☆『S/最後の警官』#01(2014年の記事)

毎度ながらこの放映枠は「何が何でもヒットさせたる!」っていう凄まじい気迫が、良くも悪くもビンビン伝わって来ますw

特に今回はスタートする前から映画化が決まってたみたいで、お客を呼べるスターをとにかく揃えたれ!って感じの、如何にも大作映画っぽいキャスティングです。

「何が何でもヒットさせたる!」じゃなくて「何が何でも面白い作品にしちゃる!」っていう姿勢を見せて頂きたい所なんだけど、まぁそこは割り切って、あからさまな商売っ気こそを見て楽しむのも一興かも知れません。

人質を取った凶悪犯を制圧(場合によっては射殺)する為の特殊部隊=SATに対して、人質はもちろん犯人の生命も落とさせること無く「確保」する為に新設された少数精鋭部隊=NPS。

なぜか捜査権までオマケに付いてるのは、いかにも作劇上の都合って感じですがw、言わば右寄り組織vs左寄り組織の対立を軸に描く構図は面白そうだと思いました。

NPSの隊長(大森南朋)にスカウトされた元交番勤務の巡査・向井理くんは、幼い時にガールフレンド(吹石一恵)の両親が目の前で通り魔に殺され、更にその犯人も警察に射殺されてしまった過去がある。

なぜ罪も無い市民が殺されなきゃならなかったのか、理由を知りたくても犯人がこの世にいなきゃ知りようが無い。遺族も憎しみをぶつける相手を失う事になる。

だから向井くんは、どんなに救いようのない凶悪犯であっても、生かしたまま確保したいと思ってる。

その対局にいるのがSATの敏腕スナイパー・綾野剛くんで、犠牲者を1人でも減らす為に凶悪犯は迷わずぶっ殺す!てな主義の持ち主。彼にも何か哀しい過去があるのでしょう。

犯人を何が何でも生かしたい向井くんと、どうしても殺したい綾野くん。よく例えに使いますが『ブラック・ジャック』の天才外科医ブラック・ジャックvs安楽死のエキスパートDr.キリコのライバル関係によく似てます。

そういった人物設定を聞いた限りだと、なかなか面白そうやん!って思うんだけど、私もそんなにバカじゃないですからw、半分以上は裏切られる覚悟をしてました。残念ながら今回も的中でしたね。

最初の1~2カットを観た時点で「ダメだこりゃ」と直感しました。見せ方がもう、少年マンガそのまんまで、如何にもアニメ世代、ゲーム世代に媚びた映像。あるいは、まさにその世代の人達が創ってるのかも知れません。

それを否定するつもりは無いんだけど、私の好みには全く合いません。私に限らず、昭和世代はちょっと受けつけられないんじゃないでしょうか?

一体いつの時代のどこの国やねん!?ってツッコミたくなるような、銃火器で武装した血も涙もない凶悪犯が続々と登場するんだけど、そういうのは別に良いんです。『西部警察』とか『大激闘』で慣らされてますからw

「それ、あり得ないやろ!」って言い出したら『スター・ウォーズ』や『アベンジャーズ』あるいは『デカワンコ』等も否定しなくちゃいけなくなっちゃう。でも私は、それらの作品が大好きです。

どんなに現実離れした世界観であっても、描かれるキャラクターの内面にリアリティ(共感出来る心情)さえあれば、我々はその世界に入って行く事が出来ます。

逆にどんだけリアリズムを追求した世界観であっても、描かれる人物の内面が絵空事だと全く感情移入が出来なくなっちゃう。

『東京バンドワゴン』がまさにそういうドラマでした。日曜劇場の前作『安堂ロイド』に至っては、世界観も人物の内面も全てが万事、絵空事にしか感じられませんでした。

今回の『S/最後の警官』も『安堂ロイド』並みに絵空事だと、最初の数秒を観ただけですぐに判りました。善人にしろ悪人にしろ、出て来るキャラクター全員が嘘っぽくて「んなヤツはおらんやろ~」の連続でした。

ついでに言えば、CGで描かれる爆破シーンも観てて虚しい気分にさせられます。やればやるほど嘘っぽさが増す一方で、最初からやらない方がマシだと思います。

こうなるともう、誰が生きようが死のうがどうでも良くなっちゃいます。せめて目を見張るようなアクションだけでも見せて欲しい所だけど、それも大した事なかったですね。

少年マンガやゲームの世界観が好きな人や、向井くん綾野くんのファンには美味しいドラマになりそうだけど、私にとっては観る理由が何も見当たらない番組です。


☆『S/最後の警官』最終回(2014年の記事)

初回のレビューで「自分が観る理由が見当たらない」って書きましたけど、ラスト2話になって急に、観る理由が出来てしまいましたw

テコ入れというより映画化に向けての布石でしょうが、『リーガルハイ』で一皮むけたガッキーこと新垣結衣さんが、凄腕スナイパーとして向井理くんのチーム「NPS」に加わりました。

かつて向井くんの目の前で通り魔を射殺した警官の娘という、かなり強引な設定ですがw、全てに無理を感じるこのドラマにおいては、まぁ大した問題でもありません。

例え相手が凶悪犯であっても、人を殺してしまったトラウマに苦しみ続ける父親を見て育ち、絶対に誰も殺さない為に射撃の腕を磨いたガッキーは、向井くんの良き相棒になって行きそうです。

こういう活きのいい女子がいると画面も弾みますから、初回よりはいくらか面白く感じました。アクションシーンが多いのも素晴らしいと思います。

だけど、やっぱり設定に無理を感じてストーリーに没頭出来ないんですよね。別に屁理屈をこねたいワケじゃなく素朴な疑問として、NPSが創設された理由がどうにもピンと来ない。

足でピアノを弾けるらしい警察幹部=近藤正臣さんが、凶悪犯を即座に射殺してもオーケーな法案を通す為に、その真逆の(つまり絶対に誰も殺さない)理念を持つ部隊、すなわちNPSをテロリスト達にぶつけ、彼らが全滅する様を世間に見せつけようとしてるワケです。

わざわざそんな回りくどい事しなくても、SATを痛めつけて何人か犠牲者を出せば結果は同じと違うの?って最初は思ったけど、まぁそこは「人命を尊重したが為に殺された」っていう図式が欲しいんだなと、一応は納得しました。

だけど、そもそもそんな法案が無くたって、現時点でもやむなき場合は射殺も許可されてるワケでしょう? その為にSATがいて、綾野剛くんなんか殺す気満々なワケだし……

バレたらクビどころじゃ済まないリスクを背負ってまで、そんな法案を通したがる理由がイマイチよく解んない。

まぁ足でピアノを弾ける位の人だから、その法案を足がかりにファシスト国家を築いてやろうとか思ってるのかも知れないけど、だとしたら尚更、もっと効率的な作戦を考えろよ!って思っちゃう、

なんか、世界征服を目指すショッカーが、その辺の子供たちを拉致して洗脳する事から悪事を始めてたみたいなw、なんとも気が長いというか地道というか、とにかく回りくどい! セコい!

その挙げ句、大森南朋隊長や綾野くんにあっさり作戦を見破られるわ、結局1人も犠牲者なしで終わっちゃうわで、黒幕がいくらなんでもマヌケ過ぎます。

だから近藤さんが滑稽に見えるし、そんな人に利用されてるテロリストのオダギリジョーくんもバカみたいに見えちゃいます。バカな敵は怖くないですから、せっかくのアクションシーンも緊張感が無くなっちゃう。

捨て駒にされた少数部隊が、クラシック音楽をバックにスローモーションで全滅させられて行くっていう、ハリウッド映画でよくあるシチュエーションを描く為に、無理やり捻り出した設定としか思えません。

そういう根本的な部分でつまずいちゃうと、もう何を見せてくれても乗って行けません。ガッキーか吹石一恵さんが脱いでくれるなら話は別ですが。

案の定、オダギリジョーくんが生き残り、何も解決しないままドラマは終わっちゃいました。ガッキーが登場した意味も特に無かったですね。

まず映画化ありきの連ドラであったとしても、面白ければ別に何の文句もありません。面白いと感じた視聴者が沢山おられるとしたら、それはそれで素晴らしい事です。

私はどうもダメでした。向井理くんの熱血演技も、薄っぺらいと感じてしまいましたm(_ _)m 吹石さんの父親役=本田博太郎さんのネバネバした芝居も気持ち悪かったですw

本田さんの芝居、いつ見ても気持ち悪いですw


☆追記(2014年の記事)

同時期放映の連ドラ『僕のいた時間』の主要キャラクター全員に共感して泣いたのは、皆それぞれが深く傷つき、葛藤して苦しんだ末に、それを乗り越え成長した姿を見せてくれたからだと、私は思います。素晴らしい!

一方、ちっとも素晴らしくないのが『S/最後の警官』ですよw 振り返れば、登場人物が誰1人として成長しないドラマでした。

私は最初の2話と最後の2話しか観てない、つまり2ヵ月近くも間を空けたのに、キャラクター達が(特に主人公の向井理くんが)全く変わってないもんだから、全然ブランクを感じずに済みましたw

変わった事と言えば、向井くんが吹石一恵さんとチョメチョメしちゃったこと位じゃないですか? しましたよね? 吹石さんとチョメチョメ。

吹石さんの、あの豊満な乳を向井くんは、当然ながら揉んだ事でしょう。揉みますよね? 吹石さんの乳。揉んで揉んで揉みしだくに決まってます。揉んでないとしたら、そりゃ正気の沙汰じゃないですよ。

私がもし、吹石さんの乳を目の前にすれば、きっと揉んで揉んで揉みしだくだろうと思います。神に誓います。揉んで揉んで揉まれて揉んで、揉み疲れて眠るまで揉みますよ!

だから向井の奴も間違いなく、吹石さんの乳を揉んで揉んで揉みしだいたに決まってるんです! あの野郎ーっ!!(激怒)

だけど私は、吹石さんの乳を揉む揉まないの問題は置いといても、向井くんを見てるとイライラして仕方ありませんでした。

相手が例え凶悪犯であっても絶対に殺したくないっていう、向井くんの主義主張は理解出来るんだけど、彼がその考えを押し通し、時には命令を無視して勝手に突入したりする度に、人質や仲間が生命の危険に晒されるワケですよ。全くもって本末転倒!

何より問題なのは、そんな向井くんを誰も咎めない事です。大森南朋隊長もNPSの仲間達も、その瞬間だけは「馬鹿野郎!」「勝手な真似を!」とか言うんだけど、事が済んだら「まったく、しょーがねえ奴だな」みたいなこと言ってヘラヘラ笑ってる。

おかしくないですか? 犠牲者を出さずに済んだのは、たまたま運が良かっただけでしょう?

これが『太陽にほえろ!』だったら、向井くんは確実にゴリさんのパンチを浴びて怒鳴られてます。人質や仲間の命はもちろん、自分自身の命を粗末にする行為が許せないからです。

「自分の命も大事に出来ない奴に、人の命を守れやしない!」

ましてや人質救出を専門とする特殊部隊なんでしょう? 勝手な行動を取ってチームの連携を乱すような人間を、咎めもしないで放置されたら、人質にされた一般市民はたまったもんじゃないですよ! ましてや吹石一恵さんの乳を揉みまくった男なのに! あの乳揉み野郎ーっ!!(激怒)

マトモな番組ならば、乳揉み男は隊長や仲間達にこっぴどく叱られ、落ち込んで辞職を考えたりなんかして苦しんだ末に、成長した姿を視聴者に見せるもんだろうと私は思います。

例えば寅さんみたいに、いつまで経っても(内面が)成長しない主人公も、いるにはいます。だけど寅さんの場合は、成長しないが為に孤独だったり家族に認めてもらえなかったり、その代償を払ってる事がちゃんと描かれてる。だから観客は共感出来るワケです。

ところが乳揉み男の場合は、あれだけ勝手な事して周りに迷惑を掛けても、何一つ代償を払わないばかりか、常に格好いいヒーローとして描かれてる。オマケに吹石一恵さんの乳を揉みまくりですよ!

おかしいです。絶対におかしい。自分の信念を貫くのも良いけど、時にはそれを犠牲にしてでも守らなきゃならないもの、優先しなくちゃいけない事が、あって然るべきです。乳揉み男には、そういうモラルが完全に欠如してる。

これと全く同じ違和感を、私は『あまちゃん』や『ドクターX』にも感じました。どちらもワガママ放題の主人公が何の代償も払わないで、ひたすらトクするばかりの(そして誰も成長しない)お話でした。

それを多くの視聴者が何の疑問も抱かないばかりか、高視聴率を取って国民的番組だとか言われてる現実に、私はマジで空恐ろしさを感じてます。本当にもう、世の中が解らない。日本人が解らない。

道徳観や価値観の問題は置いといても、誰1人として成長しないドラマを観て、面白いと感じちゃう人の感性が私には解らない。そんな作品を平気で世に出す創り手たちの神経も、私には解りません。解りましぇーん! 僕は死にまっしぇーんっ!!

「成長」を「進歩」と言い換えた方が、私のそんな疑問や絶望を理解してもらい易いかも知れません。初回から最終回まで観ても何一つ進歩しないドラマが、面白いワケないですよね?

『サザエさん』や『ドラえもん』の主人公達だって成長しないじゃん?って思われるかも知れないけど、そんな事はありません。あれは1話完結ですから、10分弱の間に主人公は成長を遂げて、次の回でまた振り出しに戻ってるワケです。

それがドラマってもんだと、私は思います。人は無意識に、ドラマの登場人物に対して成長(進歩)を求めてる。それが見られなかった時に、人は「ドラマがない」→「面白くない」と感じるワケです。

それが何故なのかは、私にも分かりません。たぶん、自分自身が進歩したいっていう願望を、誰もが根っこの部分に持ってるからじゃないでしょうか?

それより何より、本田博太郎さんの芝居が気持ち悪いですw


☆2019年の追記

その後、吹石さんの乳は福山雅治くんが毎日揉むことになりました。
 

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『隠蔽捜査』2014

2019-09-07 00:00:07 | 刑事ドラマ HISTORY









 
予想外の面白さで2014年冬シーズンの大穴となった、TBS系列の月曜夜8時「月曜ミステリーシアター」枠で全11話が放映された警察ドラマ。今野敏さんの人気小説シリーズを映像化した作品で、制作はTBS&ドリマックス。

2019年春には続編となる2時間スペシャル『今野敏サスペンス/隠蔽捜査~去就~』も放映されてます。

警察庁長官官房総務課長という、エリート街道まっしぐらのキャリア官僚=竜崎伸也 警視長(杉本哲太)が、現職警察官による連続殺人という大不祥事発覚の折りも折り、大学受験を控えた息子がヘロイン煙草を吸ってる現場を見てしまい、警察組織そのものを崩壊させかねないスキャンダルと、自分の出世の道も絶たれてしまうであろう身内の犯罪を「隠蔽」すべきか否か、大いに悩み苦しむというストーリー。

キャッチコピーは「事件は現場だけで起きてるんじゃない! 会議室や家庭でも大変なんだ!」w

従来の警察ドラマだと、キャリア官僚が揉み消した不祥事を主人公=現場のヒラ刑事が暴いていくパターンが定番なんだけど、本作の場合はキャリア官僚が主人公。その点がまず新鮮で、しかも彼は不祥事を隠蔽しない!

一度嘘をついてしまえば、それを誤魔化す為にまた嘘をつくことになる。それが連鎖していく事こそが組織崩壊への道だと考える竜崎は、周りにいる全ての人間の反対を押しきり、自分が全責任を負う覚悟を決め、警察の不祥事も息子の犯罪も「隠蔽しない」道を選択するのでした。

それが第1話&第2話で描かれた、原作1巻目にあたるストーリー。第3話(原作2巻目)以降は、降格処分を受け入れて所轄=大森東警察署の署長となった竜崎が、署員たちの戸惑いや反発をものともせず「自分が正しいと思うこと」を貫き通し、やがて理解と信頼を得ていく姿が描かれます。

とにかく不器用で「正しいこと」しか出来ない竜崎伸也のキャラクターがすこぶる魅力的で、あらすじには「隠蔽すべきか否か大いに悩む」って書きましたけど、正確に言えば最初から彼の答えは1つしか無かった。ただ、隠蔽しないことによって警察幹部たちのクビが飛んだり、息子の将来や娘の縁談にまで悪影響を及ぼす恐れがあるゆえ、そりゃ人間として葛藤しないワケにはいきません。

けれど、それでも彼は信念を貫き、結果、いち早く公表したことで警察組織へのバッシングは予想よりも軽く、息子も自首をさせたことで保護観察処分という最も軽い罪で済み、奥さんからは「初めて父親らしい事をした」と褒められる(?)のでした。

現実はそこまで甘くないかも知れないけど、組織の不祥事を組織が揉み消しちゃいけない、家族の犯した罪を家族が見過ごしちゃいけない、そんな当たり前のことを実践した人間が(責任として降格処分は受けたにせよ)不幸にならなくて済んだ。本来なら全て当たり前のことなんですよね。

そんな当たり前のことが、現代社会においてはファンタジーになっちゃってる。竜崎はヒーローになりたいワケでも何でもない、ただ正しいと思ったことをやってるだけなのに、周りからはいつも「変人」呼ばわりされ、その度に「俺はマトモだ!」って言い返すのがまたお茶目なんだけどw、確かに彼こそが誰よりもマトモであり、彼を変人扱いする世の中の方がおかしい筈なんです。

そんな今まで見たことの無いキャリア官僚のヒーローを、連ドラ初主演の杉本哲太さんが実にチャーミングに演じてくれました。

『隠蔽捜査』はテレビ朝日でも2時間スペシャルで2作('07年と'08年に)ドラマ化されており、その時に竜崎を演じたのは陣内孝則さんでした。

エリート役は陣内さんの方が似合うんだけど、実直すぎて融通が効かない感じは杉本さんの方が圧倒的にハマってて、竜崎のキャラはそこが肝だと思うから、私はこのTBS版を支持します。(原作のイメージには陣内さんの方が近いのかも知れないけど)

ほか、竜崎と幼なじみで良きバディとなる警視庁刑事部長=伊丹に古田新太、その二人と同期ながら巧みな渡世術で警察庁長官官房長にまで上り詰める上條に生瀬勝久、竜崎が左遷された後も陰で支え続ける総務課長補佐=谷岡に青山倫子、大森東署のやさぐれ刑事=戸高に安田 顕、竜崎の妻に鈴木砂羽、娘に三倉茉奈、息子に佐野玲於、といったレギュラーキャスト陣。

ちなみにテレビ朝日版では古田さんの役を柳葉敏郎さん(竜崎役の陣内さんとは『キミの瞳をタイホする!』でも刑事役で共演)、安田さんの役を杉本哲太さん(!)、鈴木さんの役を原田美枝子さんが演じておられました。
 
コメント (2)
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『緊急取調室』シリーズ '14~

2019-09-06 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY








 
2014年は、例年にも増して謎解き系の連ドラが多数放映される年となりました。ここで取り上げるのは主人公が刑事の作品だけで、探偵、弁護士、検事、監察医などの異業種は省いてるのに、それでもウンザリするほどの本数です。

もちろん中には面白い作品もあるんだけど、それはほんのひと握り。9割はつまんないか、可も不可もない無難な作りの番組ばかり。それでも、刑事ドラマが完全に絶滅しない限り、私は記事を書き続けなければなりません。理由は、ハリソン・フォードだからです。

で、先陣を切ったのはこの作品。なぜか巷では人気があるらしく、2019年現在まで3シリーズが放映されてる『緊急取調室』です。

第1シリーズは2014年の冬シーズンに全9話、第2シリーズは2017年の春シーズンに全9話、そして第3シリーズは2019年の春シーズンに全10話が、テレビ朝日系列の木曜夜9時「木曜ドラマ」枠で放映され、まだまだ続きそうな勢いです。2015年秋には単発スペシャルも放映されました。

簡単には落ちそうもない厄介な容疑者を、可視化設備の整ったスペシャルルームで取り調べるエキスパートたち、通称「キントリ」こと「警視庁緊急事案特別取調班」のメンバーが毎回、一癖も二癖もある容疑者たちと向き合い、殺人事件の謎を解いて行きます。

特殊犯捜査係=SITから抜擢された主人公=真壁有希子警部補に『BOSS』シリーズの天海祐希が扮するほか、でんでん、大杉 漣、小日向文世らがキントリのメンバーを演じ、さらに管理官の田中哲司、捜査一課刑事の速水もこみち、鈴木浩介、キントリの創設者である刑事部長の草刈正雄(第1シリーズのみ)、その後釜の大倉孝二といったレギュラーキャスト陣が絡みます。

また2018年に急逝した大杉漣さんに代わり、第3シリーズからは塚地武雅さんがキントリに加わりました。

刑事ドラマのキャスティングがすっかり地味になってしまった昨今、売れっ子俳優をズラリ揃えた本作の華やかさには大いに期待した反面、取調室をメインにした刑事ドラマが果たして面白いの?って、最初から懐疑的にも私は見てました。

なにしろ「ただ突っ立って殺人事件の謎を解く」ミステリードラマの氾濫ぶりに辟易してる中、ただ突っ立ってどころか取調室の椅子に「ただ座って会話しながら謎を解く」、躍動感ゼロの紙芝居みたいな刑事ドラマのどこが面白いの?って、アクティブさを求める私としてはどうしても斜めに見ちゃうワケです。

で、実際に第1話を観て、その時は失望しました。思った通り躍動感は皆無だし、最新鋭の設備を備えながら最終的には人情の「泣き落とし」で一件落着って、それじゃ『太陽にほえろ!』の時代と何も変わんないどころか、山さん(露口 茂)が1人でやってたことを大袈裟にチームでやってるだけやん!って、当時やってたブログにはボロクソ書きました。

ただ、それは刑事ドラマにまだ期待を抱いてたからこその不満で、もはや諦めた今となっては「いやいや、ただ座って会話するだけで毎週1時間もたせてるドラマって、逆に凄いやん」ってw、皮肉も半分ありつつ認めざるを得なくなっちゃいました。

考えてみれば、激しい場面転換やアクションの見せ場があった方が、ドラマを面白く見せるにはラクなんですよね。ひたすら同じ部屋で座ってるだけのドラマを面白く見せる方が、よっぽど難しくてチャレンジングなワケです。

それを実現するには芸達者な俳優たちの力も必要で、その為のオールスターキャスティングなんだと納得も出来ます。ワンセットで撮影できる=少ない日数で撮影できる=売れっ子揃いでも何とかスケジュールを確保できる=シリーズ化も可能っていう、実によく練られたシステムとも言えます。

誰が真犯人か?よりも、いかにして容疑者を心理的に追い詰め、自白に導いていくか、その過程こそが見せ場になるのは到叙ミステリーに近いものがあり、その点でもハードルが高いことに挑戦してるんですよね。

そう考えると、ただ座って会話してるだけだからと言って「つまんない」と決めつけるワケにはいきません。続けて観てみるとやっぱりエピソード毎のクオリティー差が激しいんだけど、うまくいった時は通常の謎解きドラマより大きなカタルシスが得られるんですよね。

そこにシリーズ化へと至った人気の秘密があるんだろうと思います。毎週観ようという気にはやっぱり私はなれないけど、凡百の謎解きドラマよりは面白いと認めざるを得ません。
 

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『クロコーチ』2013

2019-09-05 12:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2013年の秋シーズン、TBS系列の金曜夜10時「金曜ドラマ」枠で全10話が放映された、リチャード・ウー&コウノコウジによる人気コミックを原作にしたミステリードラマ。

長瀬智也扮する神奈川県警刑事部・捜査第二課黒河内班班長の黒河内(クロコーチ)警部補は、政治家や実業家たちのスキャンダルを握り、それを揉み消すのと引き換えに裏情報や賄賂を受け取る筋金入りの悪徳刑事。

そんな「県警の闇」と呼ばれる黒河内を監視(内偵)すべく、当時絶賛売り出し中だった剛力彩芽ふんする捜査一課の新人キャリア=清家警部補が相棒役を命じられ、彼について回ることになります。

2011年の刑事ドラマ『悪党』がチームぐるみでやってた違法捜査の数々を、本作では黒河内が全部1人でやっちゃう。それを長瀬智也くんが思いっきりアクの強い芝居で、生き生きと演じてるのが見ものです。

もちろん、彼の真の目的は正攻法じゃ裁けない巨悪の駆逐で、政治家の犯罪隠蔽に手を貸したりするのも、全てはその背後に潜む大物を追い詰める為の計算。

最初は黒河内を告発する気満々だった見せかけの相棒=清家も、やがて彼の真意を理解し、本物のバディになっていくのでした。

そんな二人が立ち向かう警察庁出身の県知事=沢渡(渡部篤郎)が、どうやら昭和43年に日本中を震撼させた「三億円事件」と深い関わりがあるようで、本作は戦後最大の未解決事件の真相にも迫っていく、なかなか骨太にして大胆なストーリー。大人の男が観ても楽しめる数少ない連ドラと言えそうです。

だけど基本的には謎解きドラマだし、話はなかなか前に進まないし、肝心な所で詰めが甘い黒河内(そこで解決したら話が終わっちゃうからっていう作劇上の都合)にイライラさせられる事も多く、私はいまいち乗れませんでした。

だから本筋よりも、まだ初々しい剛力彩芽さんのエリート刑事っぷりが見もので、その凛とした佇まいと愛らしさとのギャップに眼が釘付けになります。

年齢を重ね、場数を踏んでも衰えないその透明感は、日本エンタメ界の至宝だと私は思うんだけど、目立ちたがり屋のIT社長なんかとくっついたばかりにテレビでお見掛けしなくなっちゃったのは残念なことです。

そんな剛力さんに、香椎由宇さん扮する科捜研の女が、毎回意味もなく接近してセクハラする描写もツボでした。なのに、途中で香椎さんが第2子の妊娠(夫はオダギリジョーさん)を理由に降板しちゃうんですよね。

代わりに第4話から芦名星さんが同じポジションで登場し、別キャラにも関わらず剛力さんへのセクハラ趣味は引き継いでくれて安心しましたw

そんなお遊び演出が活きるのも剛力さんの透明感があればこそで、この逸材を芸能界から奪ったIT社長がつくづく恨めしい。とっとと(そして永遠に)宇宙へ行きなはれ。

ほか、捜査一課長に小市慢太郎、監察官に大地康雄、刑事部部長に利重 剛、本部長に風間杜夫といったレギュラー陣に、森本レオ、石丸謙二郎、名高達男、山本 學、いしだ壱成、奥田恵梨華、小出恵介、板尾創路etc…といったゲストたちが絡んでいきます。
 

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