goo blog サービス終了のお知らせ 

ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『SMOKING GUN/決定的証拠』2014

2019-10-02 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2014年の春シーズン、フジテレビ系列の水曜夜10時枠で全11話が放映された、科学捜査系の謎解きドラマ。横幕智裕&竹谷州史によるマンガ『Smoking Gun/民間科捜研調査員 流田縁』を実写化した作品です。

警察ではなかなか扱われない、些細な事件の科学捜査を有料で引き受ける民間企業「千代田科学捜査研究所」に勤めるぶっきらぼうな主人公=流田縁を演じるのは、あの『MONSTERS』の香取慎吾。

その同僚に西内まりや、中山優馬、安藤玉恵、イッセー尾形、所長に鈴木保奈美、その娘に濱田ここね、香取くんの死んだ恋人に倉科カナ、警視庁の刑事に谷原章介、弁護士に宅間孝行、といったレギュラーキャスト陣。

『MONSTERS』の時は変人キャラの度が過ぎて気持ち悪くて、ちょっと見るに耐えなかった主演の香取慎吾くん。今回はかなり抑えめの(なぜかキムタクそっくりな)芝居で何とか見てられなくはないけど、それでもやっぱり「演技で魅せる」というレベルには程遠い。モデル出身のヒロイン=西内まりやさんも同じくです。

主役コンビに魅力を感じないとなると、ドラマの内容がよっぽど斬新かハイクオリティーでない限り、観続ける理由が無くなっちゃいます。残念ながら、この『SMOKING GUN』は駄目でした。タイトルだけは格好良いんだけど……

これは厳密に言えば刑事物ではなく、民間の科学捜査研究所のメンバーが活躍する話なんで、探偵物に近い内容です。

だから毎回、自ら営業活動をして仕事を貰い、その内容によってギャラの額が違って来るのが、新機軸と言えば新機軸。でも探偵物として見れば普通ですからね。結局いつもお金にならなくてガッカリっていうパターンも見慣れたもんです。

初回のストーリーがまた、家族を見捨てて自殺したと思われてたお父さんが実は事故死だった!ってなオチで泣かせる、これまで人情系の謎解きドラマでさんざん使い回されて来たパターンですよ。

主役がしょっちゅう甘いもの(本作の場合はドーナツ)を食べて頭の回転を促進させる設定も、過去に菅野美穂さん(キイナ)や三上博史さん(トトリ)がやって来たことの繰り返しで創意工夫はまるで無し。

ジャニーズアイドルや人気モデルをキャスティングした時点である程度の視聴率が見込めるからって、手抜きしてませんか? 科学捜査の内容にしたって、六角精児さんが『相棒』でやってる事(つまり普通の鑑識係)とほとんど変わんないし。

脇を固めるキャラクターもことごとく凡庸で、実力あるキャストたちが誰一人として輝いてないし……要するに脚本の出来がよろしくない。ジャニーズからの要求や制約に縛られた結果でしょうか?

あと、第1話でちょっと引っかかったのが「無愛想な人ほど信用出来て、愛想の良い人は信用出来ない」っていう、あまりに短絡的な決めつけ方。ヒロインである西内まりやさんに「私、愛想が良くてとっつきやすい人、嫌いなんです」とまで言わせてる!

そんなバカな話がありますか? 愛想が良かろうが悪かろうが、信用出来る人は出来るし、出来ない奴は出来ないですよ。確率的にはもしかしたら、愛想の悪い人に裏切られる事の方が多いかも知れない。

そうじゃなくて、愛想の悪い人に裏切られるよりも、愛想の良い人に裏切られる方が、ギャップがある分だけショックが大きいって事でしょう?

それを、あたかも「愛想が良い奴ほど人を裏切り易い」みたいな言い方されて、全国の愛想の良い人がどれほど傷つくか、分かってて脚本書いてんのか?って言いたくなります。

私自身、たぶん平均よりも愛想の良い人間ですからね。だけど人を裏切ろうとか騙してやろうとか、考えた事も無いですよ。結果的にそうなっちゃう場合はあるにせよ、愛想の良い悪いは全く関係ない。

正直言って、なんという頭の悪い脚本なんだ!?と思いました。あんな台詞を書く脚本家も、それをスルーしちゃうスタッフもキャストも全員、頭がおかしいんじゃないの?って。

ちょっと引っかかった、どころじゃないですねw 私はどうやら、本気で怒ってるみたいです。つくづく、香取くんとは相性が悪い。

このドラマの現場で、一番パワーを持ってるのは誰あろう、香取くんですよね? ディレクターよりもプロデューサーよりも、たぶんSMAP(当時)が一番偉いだろうと思います。

だから上記の台詞も、香取くんが言わせてるようなもんです。大いなる力には大いなる責任が伴うって、スパイダーマンも言ってましたw いやホントに、笑い事じゃないです。

当時、SMAPを咎める人は芸能界にいなかったでしょうから、ご本人たちが自分で「裸の王様」にならないよう、常に心掛けなきゃいけません。

ちなみに「Smoking Gun」とは硝煙が立ち込める拳銃、すなわち発砲したことが明らか=決定的証拠という意味。ほんと、タイトルだけは格好良いんだけど……
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『BORDER/警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』2014

2019-09-22 00:00:08 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2014年の春シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜9時「木曜ドラマ」枠で全9話が放映された異色の刑事ドラマ。

2007年に『SP/警視庁警備部警護課第四係』を手掛けられた金城一紀さんの原案&脚本で、漫画、小説とのメディアミックスが話題になった作品でもあります。

警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係の優等生刑事=石川安吾(小栗 旬)が、犯人に撃たれて死んだら驚いた!……いや、一旦死んで生き返ったら驚いた!

摘出困難な弾丸が脳内に残ったままで、生と死のボーダーラインを行き来してる石川は、死者の魂を見、その声を聞く事が出来るようになってしまったのでした。そんな非科学的なことが有り得るのかって?

あるんだから仕方がない!

以降、石川は殺された被害者(の幽霊)たちから真犯人の名前を教えてもらい、全ての事件を楽勝で解決……とはいかず、誰が犯人か判っていながら証拠が掴めなかったり、幽霊に翻弄されたり騙されたり等、誰にも打ち明けられない苦しみを一人で背負う羽目になります。

また、被害者たちの無念や怨念をダイレクトに受けとめ続ける内に、石川は殺人犯への憎悪を抑え切れなくなり、やがて絶対に越えてはならないボーダーラインを越えてしまう。主人公が「絶対悪」の誘惑に負けてダークサイドへと堕ちる、究極のバッドエンドも大いに話題を呼びました。

石川に対抗意識を燃やす同僚刑事=立花に青木崇高、そんな二人の良き理解者である班長=市倉に遠藤憲一、石川の異変にいち早く気づくクールな検視官=比嘉ミカに波瑠、何でも知ってる情報屋に古田新太、便利屋に滝藤賢一、ハッカーに野間口 徹&浜野謙太、そして最終回で石川をダークサイドに引きずり込む「絶対悪」の連続誘拐殺人犯に大森南朋、といったキャストの顔ぶれ。

2017年には最終回ラストシーンの直後から始まる続編『BORDER/贖罪』と、波瑠さんを主役にしたスピンオフ『BORDER/衝動 ~検視官・比嘉ミカ~』がそれぞれ2時間スペシャルで放映されてます。

TBSがWOWOWと共同制作した大作『MOZU/百舌の叫ぶ夜』の裏番組として、同じ日にテレビ朝日系列でスタートした『BORDER』。

当時、金城一紀さん(原案・脚本)のことをよく知らなかった私は『MOZU』の方に期待し、刑事が幽霊と対話する『BORDER』にはイロモノとしての興味しか抱いてませんでした。

実際、第1話を観た限りだと作風が暗いし、なにせ主人公が脳内に弾丸を残したまま捜査する=激しい運動(アクションシーン)が期待出来ない=2~3回観たら飽きるだろうなと思ってました。

ところが期待してた『MOZU』の方が暗い、重い、話が進まない、主人公が動かない、たまに格闘シーンがあってもショボい、と完全な見かけ倒しだったのに対して、『BORDER』は展開がスピーディーで主人公がやたらよく走るばかりか、格闘シーンのクオリティーが異様に高い!w そんなに動いて大丈夫なの!?w

なにせ殺された被害者がすぐに犯人を教えてくれますから、謎解き要素がほとんど無い。おまけに何でも知ってる情報屋、どんな機密データでも掘り起こすハッカーまで味方につきますから、まどろっこしい捜査過程も全部省けちゃう。

そうなると描かれるのは逃亡と追跡に限定され、そりゃアクティブだしスピーディーにもなります。テーマがテーマだけに作風は暗いけど、常に人物が動き、画面が弾むから重くならないんですよね。適度にユーモアもあって面白い!

第2話ですぐ期待度も評価も逆転し、『BORDER』にはシーズンNo.1の称号を、『MOZU』にはズッコケNo.1の烙印を押す結果となりました。

もしかすると……いや、たぶん確実に、金城さんも「謎解き」一辺倒の刑事ドラマ群に辟易されてたんだろうと思います。もう謎解きは要らん、まどろっこしい聞き込みだの取り調べだのもウンザリ、そういうのをいっさいがっさい省略し、とにかく刑事が駆け回る姿だけを描きたい。そう考えて、殺された本人が刑事に真犯人を教える、という設定に行き着いたのかも知れません。

その発想も大胆なら、それを真正面から大マジメに描いちゃう姿勢も大胆。私が作者なら絶対コメディにしたと思いますw

そこはシリアス作家・金城一紀さんの体質なんでしょう、スカッと一件落着!っていうエピソードは1本も無く、警察側の完全敗北に終わったり、死んだ殺人鬼の幼い息子に狂暴なDNAが潜んでることを匂わせる等、意地でもハッピーエンドにしない姿勢はむしろ爽快ですw

暗い作風のドラマには滅多にハマらない私がどっぷりハマりましたから、そのクオリティーは相当なもの。ありきたりじゃない刑事ドラマをお求めの方には是非ともオススメしたい作品です。

なお、金城さんは2017年に『BORDER』の小栗旬と『MOZU』の西島秀俊にタッグを組ませ、革命的とも言えるアクションドラマ『CRISIS/公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系列) を生み出すことになります。これまたイチオシの凄い作品です。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『MOZU』シリーズ 2014

2019-09-21 00:00:07 | 刑事ドラマ HISTORY









 
TBSとWOWOWの共同制作による連ドラで、地上波では2014年春にシーズン1『MOZU/百舌の叫ぶ夜』全10話が、同年秋にシーズン2『MOZU/幻の翼』全5話が、それぞれTBS系列の木曜夜9時「木曜ドラマ劇場」枠にて放映されました。原作は逢坂剛さんのハードボイルド小説。

爆破テロにより妻(石田ゆり子)を亡くした警視庁公安部のやさぐれ警部(西島秀俊)が、捜査一課の熱血警部補(香川照之)と反目し合いながらもタッグを組み、事件の真相を追ってみたら国家転覆を狙う巨悪に辿り着いたから驚いた!……みたいな話だと思うんだけど、つまんなくてすぐに観るのやめちゃったから、よく知りませんw

具体的にどうつまんなかったか、本放映当時に書いた記事を以下にコピペしますので、興味がおありの方は読んで下さいませ。

最大の問題は、真木よう子さんの乳にあります。


☆『MOZU/百舌の叫ぶ夜』#01(2014年の記事)

やたら大作感に溢れてますね。実際、昨今の連ドラとしては破格のバジェットで創られてるように見えます。

キャストの顔ぶれも、西島秀俊、香川照之、真木よう子、長谷川博己、吉田鋼太郎、池松壮亮、有村架純、生瀬勝久、石田ゆり子、伊藤淳史、小日向文世etcと、そこらの大作映画よりも豪華です。

「映像化不可能」と云われた警察小説がついにドラマ化!ってふれ込みだけど、CGで何でも映像に出来ちゃう今の時代、その宣伝文句はもう通じないんじゃないでしょうか?

それはともかく、電化製品大好き西島くんが公安のやさぐれ警部に、脂肪を燃やしてお腹スッキリ香川さんが警察の熱血警部補に扮して、対立しながらも国家を揺るがす爆弾テロ事件を捜査します。

西島くんと同じ公安だけど、何やら密命を受けて動いてる謎めいた女性捜査官に真木よう子、どうやらテロの実行犯らしい記憶喪失のジェイソン・ボーンに池松壮亮、そんな彼に惚れてるらしいフリーライター(?)に有村架純。

あと、長谷川博己さんの役は何でしたっけ? なんしか怪しくて悪そうな役。人物相関図がややこしくて、把握しづらいです。事件の背景もやたら入り組んでて、テレビ視聴者がついて行けるのかなあ?

少なくとも私は既に、事件についてはどーでもよくなって来てますw そんな設定遊びに付き合うだけの頭脳もエネルギーもありません。

私にとっての見所は、電化製品男vs脂肪燃焼男の演技バトルや、アクション&スペクタクルをどれ位やってくれるのか、そして真木よう子さんと有村架純さんがどのタイミングで脱いでくれるのか? その3点だけです。脱がないと分かってて書いてますw

ハードボイルドなのは良いんだけど、重いし、ちょっと肩に力が入りすぎてる感じがして、観ててしんどくなります。初回が2時間スペシャルだったせいもありますが……

私としては、もうちょいリラックスして楽しめるドラマが観たいなあ… 例えば毎週、真木さんと架純さんに交代で脱いでもらうというアイデアは如何でしょう?

とは言え、そんな風に茶化すのが申し訳ない位の力作だし、しみったれた昨今のテレビ業界でこれだけ大作感のある連ドラを提供して見せた、その心意気に敬意を表して、今回は「素晴らしい」と言わせて頂きます。

これがローバジェットの『隠蔽捜査』みたいに素晴らしさを増して行くのか、それとも超大作『安堂ロイド』や『S/最後の警官』みたいに企画倒れの尻すぼみで終わっちゃうのか、全ては真木さんと架純さんの頑張り次第だけど、しばらく観てみたいと思います。


☆『MOZU/百舌の叫ぶ夜』#02(2014年の記事)

初回レビューでうっかり「素晴らしい」って書いたことを後悔してます。

何じゃ、このドラマは?

物語は停滞したまま遅々として進まず、同じトーンの会話、会話、会話、また会話で、ダラダラ、ダラダラと。何回、睡魔に襲われた事か!

「思わせぶり」「コケ脅し」「カッコつけ」だけで繋いでる脚本と演出で、よく見りゃ中身はスッカスカ。全然、素晴らしくない!

真木よう子さんと有村架純さんを脱がせなきゃ駄目だって、あれほど忠告してあげたのに……

何より信じられないのは、ジェイソン・ボーンもどきの池松壮亮ですよ。真木よう子さんをロープで縛って身動き取れなくしておきながら、なぜ服を剥ぎ取らないのか?

あのダイナマイト乳房を目前にして、なぜ揉んで揉んで揉みしだかないのか? 右手で揉んで左手で揉んで、両手で回してあっち向いてホイって、常識ある人間なら普通するでしょう? 本当にしたら「あの乳揉み野郎ーっ!!」ってハイパー激怒しますけどw

狭いアパートの部屋で、池松くんが2人の賊と闘う場面にしても、中途半端な立ち回りで全く見せ場になってない。殺し屋が聞いて呆れます。しょぼい!

記憶がまだ戻ってなくても、そこで無意識に超人的な動きで敵を瞬殺してしまい、自分自身の強さに愕然となる。そういう描写なくして、何の為のジェイソン・ボーンもどきなのか?

雰囲気だけのアクションに、雰囲気だけのサスペンス。大作っぽく見えて、緻密そうにも見えるけど、実は見せかけだけのハリボテに過ぎないって事が、今回よく判りました。

期待したのに、残念です。もう観ないので、真木さんと架純さんが脱ぐ時だけ知らせて下さい。


☆『MOZU/百舌の叫ぶ夜』最終回(2014年の記事)

ラストカットは映画『レイダース/失われたアーク』のラストとソックリでしたね。事件が闇に葬られた事を表現してるんでしょうけど、だったらそんな資料は燃やしなはれw

ていうか、さんざんハッキングとかデジタルなツールを使って来て、なんで最後だけそんなアナログやねんw 全てが万事、雰囲気優先のドラマ創りですよね。

予想通り何も解決しないまま、WOWWOWで放映される「シーズン2」に持ち越しとなりました。ずっと観続けて来られた方は、怒って良いと思いますよホントに。

それにしても、主役の西島秀俊くんと真木よう子さんが、いくら何でも無力すぎませんか? ウロウロ走り回ってるだけで、爆破テロは成功させるわ、ラスボスは「雰囲気だけジェイソン・ボーン(と言うより、もはやターミネーター)」の池松壮亮くんがやっつけるわで、結局な~んもしてないですよね?

いつも仏頂面で煙草吸いながら、言ってる事だけは格好良い西島くんだけど、結局あんたは今まで何をやって来たの? 断片的にしか観て来なかった私に言う資格は無いかも知れないけど、彼を見てるとイライラします。

ストーリー自体、ホントどーでもいい話で、結局「真実は常に闇の中」ってことを言いたいが為に、延々ダラダラと3ヶ月間やって来て、更にこれから3ヵ月続けて行くワケですか?

アクションシーンは一見、気合いが入ってるように見えるけど、かなり雑な作りだと私は感じました。

最終回におけるハイウェイでのカーチェイスと、空港のパニックシーンに対しては、制約が多すぎるこの国でよくぞここまで!って、拍手を送りたいと思います。

だけど格闘シーンはかなり雑ですよね。池松壮亮くんは全然ジェイソン・ボーンに見えません。少しは訓練して下さい。

第4話か5話あたりで、繁華街のアーケードでロケした大掛かりなアクションシーン(有村架純さんが変態オヤジに追われてました)も観ましたけど、凄い事やってるように見えて、実はそんな大した事はやってない。これもまた「雰囲気だけ」なんですよね。

裏番組の『BORDER』(テレビ朝日系列、小栗旬 主演) は逆に、サラッと見せてるけど実はけっこう凄いアクションをやってました。ホント『MOZU』とは真逆なんですよね。

あくまで私の勝手な憶測だけど、『BORDER』のアクションには綿密な設計図(絵コンテ)があって、出演者は何度もリハーサルを重ね、1カット1カットに時間をかけて、とても丁寧に撮影してる感じがしました。

それに対して『MOZU』は、やたらカメラを振り回してカットを細かく割って、俳優さんには「とにかくテキトーに動いて! 編集で何とかするから!」みたいな指示を出して、勢いでやっつけたみたいな印象があります。(最近のアクション物はそんなのが多い気がする)

特にアーケードの場面を観た時は「雑やなぁ~」って思いました。本当は綿密にやるつもりだったけど、時間と場所の制約で撮影現場に余裕が無くて、バタバタとやっつけるしか無かったのかも知れません。

それでも、雰囲気だけで凄い事やってるようには(編集で)見せられるんですよね。『MOZU』っていうドラマは、アクションに限らず全ての場面が、とにかく雰囲気で見せちゃう力技で成り立ってる。

冷静に脚本を読めば、中身が全く無いことがよく判るんじゃないでしょうか? 結局、テロを成功させる事で警察の無力をアピールし、新しい省庁を立ち上げるのが敵の目的だそうで、やっぱりスカスカだった『S/最後の警官』と似たような、何とも回りくどい話です。

こういうドラマを観て私が思うのは、とにかく「勿体無い!」って事に尽きます。あれだけお金を掛けて、あれだけのキャストを揃えて、そんじょそこらの番組じゃ出来ないロケをやってるのに、肝心のストーリーがスカスカって……

あんなアクションを撮れる制作環境があるなら、もっとシンプルで痛快な「善」vs「悪」の追跡ドラマをやって欲しいです。せっかく出来る環境があるのに、勿体無い!

もうホント、残念で残念でたまりません。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『トクボウ/警視庁特殊防犯課』2014

2019-09-20 00:00:09 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2014年の春シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜「木曜ドラマ」枠で全13話が放映された、読売テレビ制作による異色の刑事ドラマ。高橋秀武さんの人気コミックを実写化した作品です。

とりあえず、タイトルの付け方があまりにワンパターンなのが残念です。何とかユニークなタイトルを捻り出して、是が非でも視聴者の興味を引いてやろうっていう、創り手の心意気が感じられません。

そういう部分一つを取っても、やっぱり『太陽にほえろ!』という番組は凄かったよなあって思うワケです。『あぶない刑事』しかり『踊る大捜査線』もしかり。アグレッシブな姿勢がタイトルに表れてます。タイトルは番組の顔ですからね。

とはいえ、もしかすると平凡なタイトルであればあるほど視聴者は取っつき易い、みたいな傾向があるのかも知れません。テレビは「ながら見」するものであるからして、新しい要素など邪魔にしかならないのかも?

絶望ですね……破滅です。あ~、死にたい!

いやホントに、ドラマの内容自体が結構ユニークなだけに、凡庸なタイトルが余計に勿体無いって思うワケです。

なんと言っても、警察庁生活安全局・特殊防犯課(略してトクボウ)に所属するエリートな主人公=朝倉草平警視(伊原剛史)の口癖が「あ~、死にたい!」ですからね。大いに共感しますw

冒頭からどんより暗い顔して、俯きながら「この世は、害虫で溢れかえってる……」って、慢性的に絶望しちゃってるマイナス思考ぶりが素晴らしい!(そのくせ健康オタクらしいw)

で、食品偽装のレストラン・オーナーやJK散歩(未成年の性風俗)、ブラック企業、脱法薬物といった身近な、だけど正当には裁きにくい俗悪=害虫を、逮捕ではなく「矯正執行」という名のキツいお仕置きをするのが朝倉警視のお仕事。

要は現役警察官による合法的『ザ・ハングマン』なワケで、初回のメインゲスト=お仕置きされる人の第1号は名高達郎さんでしたw(名高さんは元祖ハングマン俳優)

しかしハングマンの復活そのものは『ジョーカー/許されざる捜査官』や『悪党/重犯罪捜査班』等の近作がありますから、それほど目新しくもありません。だからこそ工夫を凝らして個性を主張しなくちゃ埋もれちゃうワケで、タイトルはつくづく残念だけど、朝倉警視のキャラクター設定はユニークで面白いと感じました。

お仕置きの仕方もなんだかSMプレイみたいでw、悪人があれでホントに改心するとは思えないのが、かえってツボかも知れません。

あと、朝倉警視をパシリ扱いしてこき使うドSな上司=叶警視正を、童顔の安達祐実さんに演じさせる歪んだセンスもまた素晴らしいですw

ほか、朝倉の相棒となる所轄署刑事に松下洸平、叶の上司である警視長に宅間孝行、FBIから来た捜査一課刑事に川平慈英、といったレギュラーキャスト陣。

どうしても低予算臭はつきまとうけど、ゴールデンタイムの番組じゃなかなか出来ないことをやれる強みが、深夜ドラマにはあるんですよね。

だんだん間寛平さんに似てきた伊原剛志さんのw、まるで絶望を楽しんでるみたいな歪んだキャラクターは面白いし、全編に漂うSM的な歪んだ空気も、観続けたら意外とクセになるかも知れません。

恒例のおしりショットは第1話ゲストの多岐川華子さん(我ら昭和世代のミューズ・多岐川裕美さんの長女)と、この時期から性格女優として再注目され始めた、叶警視正役の安達祐実さんです。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『福家警部補の挨拶』2014

2019-09-19 00:00:27 | 刑事ドラマ HISTORY







 
2014年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、フジテレビ&共同テレビの制作によるミステリードラマ。

大倉崇裕さんの短篇推理小説集『福家警部補シリーズ』の映像化で、本作に先がけ2009年にはNHKでも永作博美主演により『福家警部補の挨拶/オッカムの剃刀』が単発ドラマとして制作・放映されてます。

警視庁捜査一課強行犯第13係の主任で、寝食を忘れて捜査に没頭するマニア気質の主人公=福家警部補に連ドラ初主演の檀れい、その上司で彼女とは犬猿の仲の係長=石松警部に稲垣吾郎、福家にこき使われる鑑識係巡査に柄本時生、といったレギュラーキャスト陣。

そこに反町隆史、富田靖子、片平なぎさ、古谷一行、室井 滋、岩城滉一、八千草 薫etc…といった豪華ゲストたちが絡んでいきます。

『刑事コロンボ』の大ヒットにより広く知られるようになった「倒叙法」による本格ミステリーってことで、『古畑任三郎』『実験刑事トトリ』に次ぐ人気シリーズになるかと期待されたのですが、残念なクオリティーにより主演の檀れいさんがバッシングを受ける羽目になっちゃいました。

不人気ゆえか再放送もレンタルビデオも見当たらず、あらためて観直すことが出来ないので、本放映当時に書いた記事を以下にコピペしておきます。ほとんど憶えてないんだけど、よっぽど残念な出来だったみたいですw


☆『福家警部補の挨拶』#01(2014年の記事)

倒叙法、つまり最初に犯人が犯行に及ぶ姿を視聴者にハッキリ見せてから、刑事や探偵が鋭い洞察力で逮捕に辿り着くまでの過程を描く『刑事コロンボ』方式の作劇。

これは上手くやれば普通の謎解き物よりずっと面白くなるんだけど、ハードルが高いせいかチャレンジする創り手が少ない、みたいな事を以前『実験刑事トトリ』の記事に書きました。

『福家警部補の挨拶』の初回を観て、如何に『トトリ』や『古畑任三郎』が良く出来ていたか、そして如何に『コロンボ』が偉大な作品であったかがよく分かりました。

あらためて書くまでも無いと思いますが、この作劇は犯人が誰なのか最初から判ってるだけに、犯行のトリックや動機、それを解き明かしていく刑事のキャラクターを如何に面白く見せるか?が重要になって来ます。

檀れいさんならすこぶるチャーミングな変人刑事像を見せてくれそうな気がしたんだけど、観たらあまりに実直すぎる役作りと演技で、とんだ肩透かしを食らいました。

古畑やトトリは、コロンボの飄々とした人懐っこさをアレンジして魅力的なキャラクターを創り上げたワケですが、福家警部補はあえて二番煎じ三番煎じを避けたのかも知れません。

初回の犯人はセレブな人気脚本家(反町隆史)って事で、コロンボ方式を踏襲するなら主人公の刑事は大抵、その作家の大ファンだったりするんですよね。

だから最初は純粋に尊敬しつつフレンドリーに犯人と接する事になり、ちょっとした友情も芽生えたりする。犯人を追い詰めながら、刑事自身も内心は傷ついたりするからドラマになるんだと思います。

その辺り、古畑やトトリは臆面もなく真似してました。それがあるからこそコロンボは面白いって事を、創り手が充分に理解してたからだと思います。

対して福家警部補の作者さんは、それに気づいてないのかあえて模倣を避けたのか、刑事の個人的な心情をまるで描かないもんだから、主人公がただの捜査マシーンにしか見えない。人間的な魅力がちっとも伝わって来ないんです。

さらに、稲垣吾郎くんが演じる福家の上司ですよ。福家の存在を極端に疎んじ、その推理をことごとく否定する割に、彼女が犯人を特定したらすかさず逮捕に踏み切って、100%信頼してるじゃないすかw 言動が矛盾しててキャラが見えて来ません。

「刑事さん」とか「係長」って呼ばれるといちいち「警部です」って訂正するくだりは面白かったけど、稲垣くんが演じればこそですよね。基本的には、わざわざ稲垣くんが演じるほどのキャラクターじゃないと感じました。

福家にこき使われる鑑識係の柄本時生くんも、なんだか薄っぺらいキャラクターで観てて痛々しかったです。

せっかくの倒叙法も、これじゃあ台無しだと思います。キャラクターの魅力や掛け合いの面白さが無かったら、単に最初からネタがバレてる底抜けミステリーに過ぎないですから。

俳優さんの役作りも工夫が見えなくて残念だけど、これはそもそも原作からして凡庸なんだろうと思います。倒叙法ミステリーの典型的な失敗例じゃないでしょうか?
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする