ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『BORDER/警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』2014

2019-09-22 00:00:08 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2014年の春シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜9時「木曜ドラマ」枠で全9話が放映された異色の刑事ドラマ。

2007年に『SP/警視庁警備部警護課第四係』を手掛けられた金城一紀さんの原案&脚本で、漫画、小説とのメディアミックスが話題になった作品でもあります。

警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係の優等生刑事=石川安吾(小栗 旬)が、犯人に撃たれて死んだら驚いた!……いや、一旦死んで生き返ったら驚いた!

摘出困難な弾丸が脳内に残ったままで、生と死のボーダーラインを行き来してる石川は、死者の魂を見、その声を聞く事が出来るようになってしまったのでした。そんな非科学的なことが有り得るのかって?

あるんだから仕方がない!

以降、石川は殺された被害者(の幽霊)たちから真犯人の名前を教えてもらい、全ての事件を楽勝で解決……とはいかず、誰が犯人か判っていながら証拠が掴めなかったり、幽霊に翻弄されたり騙されたり等、誰にも打ち明けられない苦しみを一人で背負う羽目になります。

また、被害者たちの無念や怨念をダイレクトに受けとめ続ける内に、石川は殺人犯への憎悪を抑え切れなくなり、やがて絶対に越えてはならないボーダーラインを越えてしまう。主人公が「絶対悪」の誘惑に負けてダークサイドへと堕ちる、究極のバッドエンドも大いに話題を呼びました。

石川に対抗意識を燃やす同僚刑事=立花に青木崇高、そんな二人の良き理解者である班長=市倉に遠藤憲一、石川の異変にいち早く気づくクールな検視官=比嘉ミカに波瑠、何でも知ってる情報屋に古田新太、便利屋に滝藤賢一、ハッカーに野間口 徹&浜野謙太、そして最終回で石川をダークサイドに引きずり込む「絶対悪」の連続誘拐殺人犯に大森南朋、といったキャストの顔ぶれ。

2017年には最終回ラストシーンの直後から始まる続編『BORDER/贖罪』と、波瑠さんを主役にしたスピンオフ『BORDER/衝動 ~検視官・比嘉ミカ~』がそれぞれ2時間スペシャルで放映されてます。

TBSがWOWOWと共同制作した大作『MOZU/百舌の叫ぶ夜』の裏番組として、同じ日にテレビ朝日系列でスタートした『BORDER』。

当時、金城一紀さん(原案・脚本)のことをよく知らなかった私は『MOZU』の方に期待し、刑事が幽霊と対話する『BORDER』にはイロモノとしての興味しか抱いてませんでした。

実際、第1話を観た限りだと作風が暗いし、なにせ主人公が脳内に弾丸を残したまま捜査する=激しい運動(アクションシーン)が期待出来ない=2~3回観たら飽きるだろうなと思ってました。

ところが期待してた『MOZU』の方が暗い、重い、話が進まない、主人公が動かない、たまに格闘シーンがあってもショボい、と完全な見かけ倒しだったのに対して、『BORDER』は展開がスピーディーで主人公がやたらよく走るばかりか、格闘シーンのクオリティーが異様に高い!w そんなに動いて大丈夫なの!?w

なにせ殺された被害者がすぐに犯人を教えてくれますから、謎解き要素がほとんど無い。おまけに何でも知ってる情報屋、どんな機密データでも掘り起こすハッカーまで味方につきますから、まどろっこしい捜査過程も全部省けちゃう。

そうなると描かれるのは逃亡と追跡に限定され、そりゃアクティブだしスピーディーにもなります。テーマがテーマだけに作風は暗いけど、常に人物が動き、画面が弾むから重くならないんですよね。適度にユーモアもあって面白い!

第2話ですぐ期待度も評価も逆転し、『BORDER』にはシーズンNo.1の称号を、『MOZU』にはズッコケNo.1の烙印を押す結果となりました。

もしかすると……いや、たぶん確実に、金城さんも「謎解き」一辺倒の刑事ドラマ群に辟易されてたんだろうと思います。もう謎解きは要らん、まどろっこしい聞き込みだの取り調べだのもウンザリ、そういうのをいっさいがっさい省略し、とにかく刑事が駆け回る姿だけを描きたい。そう考えて、殺された本人が刑事に真犯人を教える、という設定に行き着いたのかも知れません。

その発想も大胆なら、それを真正面から大マジメに描いちゃう姿勢も大胆。私が作者なら絶対コメディにしたと思いますw

そこはシリアス作家・金城一紀さんの体質なんでしょう、スカッと一件落着!っていうエピソードは1本も無く、警察側の完全敗北に終わったり、死んだ殺人鬼の幼い息子に狂暴なDNAが潜んでることを匂わせる等、意地でもハッピーエンドにしない姿勢はむしろ爽快ですw

暗い作風のドラマには滅多にハマらない私がどっぷりハマりましたから、そのクオリティーは相当なもの。ありきたりじゃない刑事ドラマをお求めの方には是非ともオススメしたい作品です。

なお、金城さんは2017年に『BORDER』の小栗旬と『MOZU』の西島秀俊にタッグを組ませ、革命的とも言えるアクションドラマ『CRISIS/公安機動捜査隊特捜班』(フジテレビ系列) を生み出すことになります。これまたイチオシの凄い作品です。
 

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2 コメント

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Unknown (キアヌ)
2019-09-22 21:27:22
これは本当に素晴らしいドラマです!!
実は数日前最終章をまたまた見返したばかりです!

アダルトなダークヒーロー!!!
最高です!!!

続編に期待!!!
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Unknown (harrison2018)
2019-09-23 01:04:36
なるほど、そうですね。本作は刑事物というよりダークヒーロー物。金城さんもそれを意識して脚本を書かれたのかも知れません。

続編はあれば嬉しいけど、最終回の続きはスペシャルでやったし、難しいかも知れませんね。
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