goo blog サービス終了のお知らせ 

ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『刑事7人』シリーズ '15~

2019-11-01 00:00:07 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の夏シーズン、テレビ朝日系列の水曜夜9時枠で全9話が放映され、以降2016年夏シーズンに第2シリーズ全9話、2017年夏シーズンに第3シリーズ全10話、2018年夏シーズンに第4シリーズ全10話、2019年夏シーズンに第5シリーズ全10話が放映され、同枠における夏の定番となったテレ朝&東映制作による人気シリーズ。

妻子を亡くして以来やる気もなくし、遺失物センターでくすぶってるところを警視庁捜査一課12係に引き抜かれ、持ち前の鋭い洞察力と粘り強さでチームの中心人物となっていく主人公=天樹悠 巡査部長に、東山紀之。

天樹を引き抜いた12係の係長=片桐に吉田鋼太郎、クールな紅一点=水田に倉科カナ、肉体派の中堅刑事=沙村に高嶋政宏、情報収集担当のハッカー刑事=山下に片岡愛之助、シーズン2で殉職する永沢刑事に鈴木浩介、そして法医学者の堂本に北大路欣也、という7人でスタート。

以降、異動や殉職で退場したメンバーに代わり青山刑事(塚本高史)、海老沢刑事(田辺誠一)、野々村刑事(白洲 迅)らが新加入します。

『太陽にほえろ!』を観て育った私としては、こういうチーム物の刑事ドラマが一番しっくり来る筈なんだけど、残念なことに『刑事7人』シリーズを観て面白いと感じたことは一度もありません。

以下、各シーズン放映時に書いたレビューを再録します。なぜ私がこの番組を楽しめないのか、それを読めば解って頂けるかと思います。


☆season.1

東山紀之、高嶋政宏、片岡愛之助、倉科カナ、鈴木浩介、吉田鋼太郎、北大路欣也という、実力派キャストが揃ってます。

……………以上。

捜査→謎解き→人情という、何の変哲もない内容で、俳優陣の個性とアンサンブルだけが見所のドラマです。新しさはカケラもありません。

そんなドラマを創ってて、スタッフは一体なにが楽しいんでしょうか? 世間があっと驚くような番組を見せてやる!っていう、気概とか野心は全く無いんでしょうか?

これだけの役者を揃えれば、そりゃある程度は楽しめます。けど、そこで満足されちゃ困るんです。これだけの役者を揃えた=ある程度の数字が見込めるからこそ、もっともっと冒険して欲しかった。

これだけの役者を揃えた=絶対に失敗出来ないから無難に収める。それが今のテレビ屋さん達の思考パターンで、破滅です。

これだけの役者を……って、さっきから連呼してますけど、私が毎週観たいと思う役者さんは、筋肉バカ刑事役がハマり過ぎのw、高嶋政宏さんだけです。

皆さん素晴らしい俳優さんだし、そのお陰で苦痛なく観てられるんだけど、予定調和なんですよね。何もかもが想定内で、サプライズが無い。波乱が無い。

そういう意味じゃ『ドS刑事』の方が遥かに面白いですよw いやホントに、教科書みたいに端正なドラマより、失敗作を観てる方が絶対楽しめます。失敗するって事は、何かしらのチャレンジをしてるワケですからね。

100%安全パイで固めたようなドラマは面白くありません。破滅です。

(というワケでseason.2は完全スルーしちゃいました)


☆season.3

東山紀之、高嶋政宏、片岡愛之助、倉科カナ、塚本高史、吉田鋼太郎、北大路欣也ら7人のスペシャリスト達が再び召集され、東京臨海エリアを専従捜査する「最強の別動隊」として活躍します。

ごくありきたりな、ただ突っ立って謎解きするだけの人情捜査物だったシーズン1に辟易し、シーズン2は完全スルーしちゃったもんで、久々に観て作風がえらく変わってることに驚きました。

何だかよく解んないけど警視庁機動捜査隊と捜査一課12係の混合チームだそうで、前クールで話題を集めた『CRISIS/公安機動捜査隊特捜班』に近いテイストになってます。

つまりハードアクションが見られる替わりに、内容はぐっとシリアスに。アクティブだけど随分と暗いドラマになっちゃいました。アクティブで、明るい刑事ドラマが観たいんですけどね、私は!

その暗さを吹き飛ばすくらいハイクオリティーなアクションを見せてくれた『CRISIS』の直後だけに、そこそこ頑張ってくれてる東山くんのアクションも物足りなく感じちゃう。

伏線、ミスリード、どんでん返し等、よく練られた脚本で観てる間はそこそこ楽しめるんだけど、観終わったら何の後味も残らない。ドラマを観たというよりゲームをやり終えたような感覚。今の若い視聴者には向いてるかも知れないけど、私はそういうの好みません。

主人公の暗い過去や謎、組織内の陰謀とか裏切りとか、視聴者の興味を引っ張る為に仕込まれた数々の「記号」的要素にも、私はもうずっと前からウンザリしてます。キャラクターの人間味も薄く、ずっと活躍を見守りたくなる魅力的な人物が1人もいない。

『CRISIS』にはアクションの凄さ以外にも、作者の社会観や人間観、視聴者に伝えたいメッセージみたいなものが感じ取れたけど、この『刑事7人』は小手先ばかりでハートが全く感じられません。

だからシーズン1も面白くなかったワケで、いくら作風を変えても制作姿勢の根本が同じだから、やっぱり私のハートには何も響いて来ません。

ゲーム感覚のドラマがお好きな方には、もしかすると面白い作品になってるかも知れませんが、私はアウト。もっとハートのあるドラマが観たい。

だからと言って、お涙頂戴を求めてるワケじゃありません。小手先だけで作ってるヤツが、私はとにかく嫌いです。(乳首)


☆season.4

個人的には、このシリーズを面白いと感じたことは一度もありません。ただ、これも『絶対零度』シリーズ等と同じで1作毎に設定と作風を変えており、前作(season.3)はアクション路線になったもんで少しは期待したんだけど、やっぱり面白くなかった。

今回のseason.4は主人公(東山紀之)が資料係に異動し、解決済みとされた事件の洗い直しをするという、ありがちな謎解き路線にまた戻っちゃいました。

資料係なのに現場で捜査もする「二刀流」だとか言って、大谷翔平選手に引っ掛けてムリやり新しさをアピールしてるけど、結局やってることは「窓際部署の刑事たちが周りに煙たがれながら」「ただ突っ立ってひたすら謎解きする」いつも通りの内容ですから。

これが現在の刑事物の基本形だから仕方ないんだけど、それでも独自の世界観やキャラクターの面白さで楽しませてくれる番組はいくつかあります。けど、このシリーズにだけはどうしても魅力が感じられず、なのに10%前後の視聴率をキープしてシーズン4まで来ちゃったという不思議。世間と私との間にある、この大きな感覚のズレって一体何なんでしょう?

私が『刑事7人』をつまらなく感じてしまう最大の要因は、恐らく主役=東山紀之くんのキャラクターだろうと思います。端正でマジメ一辺倒でむやみに優秀で何ひとつ欠点がなく、人間味が感じられない。『太陽にほえろ!』で言えば殿下(小野寺 昭)みたいなもんで、女性にはウケるのかも知れないけど、男から見てこれほど面白味のない人間はいません。

主役がそうだと周りのキャラクターたちも(主役より目立つワケにいかないから)弾けようがなく、「次に何を言うか?」「何をしでかすか?」って楽しみになるような人物が1人もいないんですよね。

今回の第1話は吉田鋼太郎さんが捜査会議で「我々は資料係と捜査係の二刀流でいく!」って宣言するシーンが見せ場になってたけど、あれも演じてるのが吉田さんだから面白く感じるだけで、話としては別に面白くも何ともない。

上層部を相手にそんなワガママを通してしまう東山チームはカッコいいだろ?っていう趣旨なんでしょうけど、それが許されるのは吉田さんが「捜査一課長」にコネがあるからっていう理由で、そんなの痛快でも何でもないですから。(だけど大方の視聴者は雰囲気に流されて痛快だと錯覚しちゃう)

おまけに初回は枠を拡大した割りには凡庸な事件で、そのくせ更に「次回へ続く」で終わっちゃう。2週かけて描くような話かよ?って思います。

このドラマの一体どこが面白いのか、もし楽しみに観ておられる方がいたら是非教えて頂きたいです。本当に私は分からないのです。

やけに見せ方(雰囲気づくり)だけは上手いドラマだと思うけど、それは表面的なもんですから騙されちゃいけません。やっぱり、脚本力が致命的に足りてないんだろうと思います。

東山くんと吉田さん以外のメンバーは、倉科カナ、塚本高史、田辺誠一、白洲 迅、北大路欣也、といった面々。新加入の若手刑事=白洲くんのキャラがまた超絶ウザくて、もう二度と観ませんw

(というワケでseason.5もスルーしました)
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『最強のふたり/京都府警特別捜査班』2015

2019-10-31 12:00:23 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の夏シーズンにテレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠で全8話が放映された、テレ朝&東映の制作によるミステリードラマ。

同枠の名物シリーズ『京都迷宮案内』の橋爪 功さんと、『京都地検の女』の名取裕子さんという、二大看板スターが競演するテレ朝・京都ミステリー版『バットマンvsスーパーマン』。

既に、両シリーズでお互いがゲスト出演するクロスオーバー企画が実現しており、いよいよ満を持しての合体レギュラー番組って事だけど、それほど話題にならなかったですねw

橋爪功さん扮する東雲尋八は既に定年退職しながら、団塊の世代が一斉に退職し、捜査技術の継承が急務と考える京都府警により「嘱託刑事」として呼び戻された、男ヤモメの元・鬼刑事。

一方の名取裕子さん扮する夏木朝子警部は、実験的に起用された捜査一課の新任班長。交番勤務から特殊部隊まで、ありとあらゆる部署でキャリアを積んだプロ中のプロ。

上からの命令をいっさい聞かず、一人で気ままに動く東雲と、そんな彼にイライラしながらも的確な陣頭指揮で若手を動かし、彼をフォローする朝子。

両者とも長年のキャリアで培われた洞察力と捜査技術、そして何より幅広い人脈という武器を持ち、若手が束になっても到底敵わない「最強のふたり」ってなワケです。

つまり重ねた年齢=経験こそが何にも換えがたい武器となることをあらためて説いたドラマであり、ターゲットはそれこそ団塊世代以上の年配層って事なんでしょう。

そうしたテーマは現実の世相を如実に反映してるし、また実際にベテラン俳優のお二人がタッグを組むことで、作品のクオリティーがグッと底上げされてるんですよね。ハンパじゃない安心感があります。

脇を固めるメンバーも、夏木班の刑事に和田正人、酒井美紀、捜査一課長に羽場裕一、鑑識課員に田中要次、池田夏希と、地味ながら安定感バツグンです。

私も歳を取りましたからw、斬新な企画や迫力あるアクションを求める一方で、こういう落ち着いた番組も好むようになって来ました。

勿論、だからと言って、凡庸な謎解きのみに終始されちゃ困るんだけど、味のあるキャスト、魅力的なキャラクター、そして明確なメッセージを有した『最強のふたり』は、一見の価値が充分にあると私は思います。

セクシーショットはシェアハウスで東雲の隣室に住む女の子を演じた、柳ゆり菜さんです。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『婚活刑事』2015

2019-10-31 00:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY








 
2015年の夏シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜「プラチナイト木曜ドラマ」枠にて全12話が放映された、読売テレビ制作によるコメディータッチのミステリードラマ。安道やすみちさんの同名小説シリーズが原作になってます。

いくら刑事物と言えども「婚活」がテーマのドラマなんか普通なら観ないんだけど、伊藤 歩さんが主演って事で興味が湧きました。

子役時代から見てる女優さんですが、前年放映された『隠蔽捜査』で堅物の主人公=杉本哲太さんが恋をしちゃう、知的な女性官僚を演じた歩さんがとても魅力的だったもんで、今頃になって萌えてますw

今回も両国警察署刑事課に勤めるやり手の巡査部長=花田米子というキャラクターに説得力を持たせつつ、婚期を逃しそうな30代ワーキング・ガールの焦りも、実に自然かつチャーミングに演じておられます。

好きになって結婚を考えた男性が皆、後に犯罪者だと判明しちゃうというw、気の毒にも程があるジンクスを持ったヒロインが、毎回ステキな相手と出逢い、恋をし、今度こそ結婚しそうになるんだけど、最後には必ず逮捕する羽目になる。

クドカンさんの『うぬぼれ刑事』を男女逆転させたような設定だけど、歩さんの魅力と演技力によりちょっと切ないラブストーリーに仕上がってます。私はグッと来ました。

ただ、このパターンを毎回繰り返すとなると、あっという間に飽きちゃうのは目に見えてますw

どうやらその辺り、本庁から転属して来たエリート警部の小池徹平くんが鍵を握ってるみたいで、警察上層部の大杉 漣さんと何やら企んでそうです。

ほか、ヒロイン直属の上司となる課長に鈴木砂羽さん、課長補佐に升 毅さん、交通課婦警に森カンナさん、地域課巡査に加藤 諒くんと、堅実なキャストが揃ってます。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『 64 (ロクヨン) 』2015 

2019-10-30 00:00:17 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の春シーズン、NHK総合の土曜夜10時「土曜ドラマ」枠で全5話が放映された、横山秀夫さんの警察小説をドラマ化した作品。

翌'16年には瀬々敬久監督による劇場版が二部作として公開されますが、そちらはTBSの製作でこのドラマ版との関連はありません。

わずか7日間で幕を閉じた昭和64年に発生し、未解決のまま時効が迫りつつある少女誘拐事件の哀しい結末が、「D県警」に務める広報官の視点から描かれます。

事件後、捜査一課から警務部への異動を命じられ、不本意ながら広報室のキャップを務める主人公=三上警視にピエール瀧(映画版は佐藤浩市)。※以下、( ) 内は全て映画版のキャストです。

元婦警である三上の妻に木村佳乃(夏川結衣)、父に似てしまった自分の容姿を嫌悪する三上の娘に入山杏奈(芳根京子)、三上の部下となる広報室メンバーに新井浩文・永岡卓也・山本美月(綾野 剛・金井勇太・榮倉奈々)、記者クラブのリーダーに永山絢斗(瑛太)、三上を操る狡猾な警務部長に平 岳大(滝藤賢一)、三上と同期の警務部調査官に吉田栄作(仲村トオル)、刑事部長に中原丈雄(奥田瑛二)、かつてロクヨン捜査班を束ねた捜査一課長に柴田恭兵(三浦友和)、その後も事件と深く関わることになる捜査班メンバーに萩原聖人・水澤紳吾(吉岡秀隆・窪田正孝)、そして誘拐殺人犯に尾美としのり(緒形直人)、被害者の父親に段田安則(永瀬正敏)、といったキャスト陣。ドラマ版で永山絢斗くんが演じた役を映画版で実兄の瑛太くんが演じてるワケですw

私は、同じ横山秀夫さん原作による映画『クライマーズ・ハイ』も『半落ち』もそれほど面白いと思わなかったし、この『64』は作風が特に暗く重そうだったもんで、ドラマ版も映画版も完全スルーして来ました。

けれどブログで「刑事ドラマHISTORY」を銘打つ以上、無視を続けるワケにもいかないと覚悟を決め、まずストーリーを把握するため映画版二部作を先に観て、それからドラマ版の第1話&第2話を観るという、邪道にも程がある観方をしちゃいましたm(__)m

でも多分、普通にドラマ版全話→映画版の順に観たとしても、私の感想は変わらないと思います。映画版は結末を大胆に改変してる(おかげで原作ファンにさんざん叩かれた)らしいけど、私にとってそれは大した問題じゃありません。重要なのは刑事物として面白いかどうか、ただそれだけ。

結論から言えば、愛する娘を殺された父親の復讐ストーリーとしては見応えあったけど、刑事物として観るとムダな描写が多すぎて、かったるい。総合的には面白いけど、やっぱり私好みの作品じゃなかったです。

ドラマ版のクオリティーはすこぶる高いと思います。「ながら見」ではついて行けない複雑なストーリーを、説明的なセリフや映像を極力排除して見せきった、視聴者に媚びない制作姿勢がまず素晴らしい。

そしてバイプレイヤーだったピエール瀧さんを主役に抜擢したチャレンジングな姿勢。それは原作に「鬼瓦みたいな顔」って書いてあるからなんだけどw、集客優先で(ぜんぜん鬼瓦じゃない)佐藤浩市さんをキャスティングせざるを得なかった映画版の弱腰を思えば、さすがはNHKと言うほかありません。

もちろん何もかも原作通りにする必要は無いワケだけど、主人公の娘が「父親に似てしまった自分の顔」を嫌悪して「整形する」って言い出す場面を、佐藤浩市さんが演じるのはさすがに無理がありました。でもピエールさんなら納得ですw

あと、ドラマ版は音楽も良かった。大友良英さんが『あまちゃん』や『いだてん』とはまるで違うハードボイルドなサウンドで我々を魅了してくれます。(あんまりカッコいいからサントラCDを買おうと思ったのに、売ってないみたいです)

ただ、いかんせんストーリーが……

主人公の三上が広報官=警察とマスコミを繋ぐ窓口の立場なんだけど、誘拐事件とは全然関係ない交通死亡事故の報道に関して、加害者の実名を公表するかしないかで記者クラブと揉めるシーンが延々と続くんですよね。

加害者が政治家の娘か何かで警察上層部が匿名扱いを指示し、それを通達する三上に記者たちが猛反発し、怒号を飛び交わせる描写がとにかく長い。それって必要?って思うし、事件記者ってあんなチンピラみたいな輩ばかりなの?とも思っちゃう。特に映画版は大勢でアホの一つ覚えみたいに怒鳴り散らすばかりで、芝居としても全く面白みが無い。

まぁ、記者たちがあんなにストレスを溜め込むほど警察の隠蔽体質が酷くて、それが誘拐事件の被害者遺族を復讐に走らせるっていう作劇上の繋がりは解るんだけど、それにしたってここまでしつこく描く意味が本当にあるのか?

その辺りの描写を必要最小限に抑えれば、たぶん映画版は前後編に分けなくても済んだはず。もしかしたら逆に2本分稼ぐためにムリやり引き延ばしたのかも?って思うくらい、異常に長かったです。

そもそも、警察が組織ぐるみで不祥事を揉み消すドラマはもうさんざん、辟易するほど我々は観せられて来たワケで、またここで誘拐事件の顛末と同じ(下手すりゃそれ以上の)比重で描く必要がどこにあるのか?って思う。

で、板挟みに遭ってひたすら翻弄されるばかりだった主人公が、やがて刑事魂を取り戻し、上層部の制止を振り切って誘拐事件の真相に迫っていく。刑事物としてはそこが見所になるんだけど、警察内部の内輪揉めと遺族の復讐ストーリーの強烈さ、重苦しさに押されてイマイチ熱くなれない。

あくまで私個人の好みの問題として、やたらゴタゴタ・ドロドロした描写をばっさり省いて、主人公の再生ストーリーにもっと力点を置き、そこに焦点を絞ってくれてたら、もしかすると2015年ナンバーワン作品に挙げるほどハマった可能性もあるだけに、残念です。

ドラマ版は前半しか観てないワケだけど、結末以外は映画版と大きな違いは無さそうなので、最後まで観ても感想は変わらないだろうと思います。ドラマ版の方が尺は長いですから、バランス的には映画版ほどゴタゴタ場面をしつこく感じないかも知れません。演出的にも、ドラマ版の記者たちは映画版ほどアホには見えませんでした。

最後まで観なくても、どうやら映画版よりドラマ版の方が優れてるのは明らか。ピエール瀧さんと新井浩文さんの演技がもう新作では観られない可能性も含めて、最初からドラマ版だけ通して観とけば良かったですw

ただ、何度も言うように好みの内容じゃない事には変わりなく、横山さんの小説がなぜそんなに人気なのか、私にはよく解りません。

セクシーショットはドラマ版『64』を彩る女優陣=山本美月さん、入山杏奈さん、木村佳乃さんです。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ヤメゴク/ヤクザやめて頂きます』2015

2019-10-29 00:00:57 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2015年の春シーズン、TBS系列の木曜夜9時「木曜ドラマ劇場」枠で全10話が放映された連続ドラマ。櫻井武晴さんのオリジナル脚本で、『ケイゾク』『SPEC』に続く堤 幸彦さん演出による第三の警察ドラマです。

警視庁組織犯罪対策部すなわち「マルボー」の中に新設された、暴力団離脱者相談電話=通称「足抜けコール」係の活躍が描かれます。

要するに足を洗いたいヤクザの相談に乗り、組との交渉や就職先の斡旋を引き受け、更正を後押しする部署ってワケです。

勿論、そう簡単にヤクザの世界から抜けられるワケが無いので、大島優子さん演じるヒロイン=永光麦秋(ながみつ ばくしゅう)がヤクザどもをコテンパンにやっつけ、組長を脅迫して強引に離脱契約書にサインさせるという、かなり漫画チックな世界です。

その麦秋のド派手な大立ち回りを描いた第1話の序盤を観て、私は「おっ、これはハマるかも!」って思ったのですが……

それが後半になると、足抜けした元ヤクザ(でんでん)の就職先に暴力団が嫌がらせに来たり、足抜けに協力した病院が近隣住民たちから吊し上げられたり等、えらくシリアスかつ現実的な世界に変わっちゃうんですよね。

それはそれで興味を引かれる問題ではあるんだけど、序盤の漫画チックな世界とアンバランスなもんで、イマイチ乗り切れない。どっちがメインなの?って思っちゃう。

麦秋はヤクザ絡みの事件で父親を亡くしたみたいで、その憎しみから情け容赦なくヤクザどもを叩きのめす。実に素晴らしい設定ですw

なのに、足抜けするヤクザには全力のサポートを惜しまない彼女。ヤクザを1人でも減らしたいからっていう理屈は解るんだけど、なんかスッキリしません。憎いなら憎いで、全てのヤクザへの復讐目指して一直線に行ってくれた方が、少なくとも私は楽しめる気がします。

例え改心して足抜けしようが、ヤクザだった過去の罪は絶対に消えやしない。だから彼女は、苦しんでる元ヤクザを見てほくそ笑むキャラであって欲しい……って、それじゃドラマにならないかも知れないけど。

大島優子さんは堤幸彦ワールドの中で新境地を開拓すべく、頑張っておられます。今後、女優として生き残って行けるか否か、まさに正念場でしょう。

だから応援したいと思うんだけど、『ケイゾク』の中谷美紀さんや『SPEC』の戸田恵梨香さんと比べてしまうと、ちょっとストイック過ぎて面白みに欠ける気もします。あの2人が凄すぎたのかも知れないけど。

そこんとこの弱さをカバーすべく、北村一輝、田中哲司、庄野崎 謙、勝地 涼という芸達者な男優陣が「足ぬけコール」メンバーに扮する他、本田 翼、山口紗弥加、名取裕子、岡田浩暉、遠藤憲一etcといった人達が脇を固めてます。

前述のとおり漫画チックな世界観と話のシリアスさが釣り合ってないのは残念だけど、堤監督の人を食ったような脱力系ギャグは好きだし、ヒール履きでハードな立ち回りを毎回披露してくれる大島優子さんの心意気、関西弁丸出しで楽しそうに三枚目を演じる北村一輝さん等、見所は多いです。
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする