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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『シン・ゴジラ』

2019-06-06 12:00:15 | 日本映画









 
脚本&総監督=庵野秀明、監督&特技監督=樋口真嗣という、日本オタク界の二大巨星が満を持して手掛けた、2016年公開、実に12年振りのジャパン東宝『ゴジラ』です。(庵野さん、『エヴァ』完結編はどうなった!?w)

世間では賛否両論みたいだけど、私はとても楽しめました。面白い!

まず、今までの『ゴジラ』映画とは全く異質であること。生粋のファンは「こんなのゴジラじゃない!」って言うかも知れないけど、ご本家・東宝さんが創ったんだから正真正銘のゴジラ映画です。

ただし、異質ではあっても根っこにあるものは1954年度版オリジナル『ゴジラ』に最も近いのかも知れません。そもそも何故ゴジラが怖いのか?っていう、原点を追究した映画なんですよね。

前回レビューした『ゴジラ モスラ キングギドラ 怪獣総攻撃』のゴジラも怖かったけど、あれは戦争犠牲者の怨念という理由ありきの怖さでした。

それに対して今回のゴジラは、全く得体が知れない。悪役であっても何となく人間味を感じさせるのがゴジラの魅力だと思うんだけど、今回のゴジラには人間味どころか生き物らしさすら感じられません。

従来のゴジラみたいな破壊衝動さえ見せず、原発に向かってひたすら歩いて行く。それだけで膨大な被害が出ちゃうワケですw

私は『エヴァンゲリオン』を知ってるから「これ、使徒やん!」ってw、ある意味ピンと来ちゃうんだけど、『エヴァ』を観たことが無い観客は度肝を抜かれるんじゃないでしょうか?

SF世界でありながら徹底してリアリティーを追究する内容も、まんま『エヴァンゲリオン』アプローチ。「ミレニアムシリーズ」も少なからず『エヴァ』の影響を受けてたと思うけど、なにしろ今回は産みの親が登板ですからストレートに『エヴァ』ですw

長谷川博己さん扮する主人公が政治家(若き官房副長官)っていうのも庵野さんならでは設定だし、米国大統領特使の石原さとみさんなんか、本来アニメにしか出て来ないキャラクターですよね。

予告編で石原さんの演技を観た時は「大丈夫なの?」って思うくらい浮いてたけどw、庵野ワールドだと有りなんです。ギリギリだけどw(石原さんの勇気に拍手です)

未曾有の災害時に政府がどう動いて、軍隊出動までに如何なるプロセスを要するか、といった描写は先に平成『ガメラ』シリーズでも見られたけど、この『シン・ゴジラ』はそこがメインというか、それしか描いてないのが新鮮だし、好き嫌いが岐れる点かも知れません。

従来シリーズやハリウッド版の『ゴジラ』にはあった、家族愛や男女間のドラマも一切排除。

日本政府と自衛隊が、正体不明の巨大生物を現実に目の当たりにしたら、どんなリアクションをし、一体どうやって戦うのか、それのみを徹底的に考察し、具現化したシミュレーション映画であり、リアルに体感できるアトラクション映画でもある。それが『シン・ゴジラ』かと思います。

だから、これまでのゴジラ映画とは全く異質なんですよね、良くも悪くも。少なくとも怪獣どうしのプロレス映画とは全然違う。あえて挙げれば最初の『ゴジラ』に一番近いワケです。

たぶん、今後のジャパニーズ『ゴジラ』もミレニアムシリーズと同じく、1作毎に作風や設定を変えて行くんだろうと思います。庵野さんにはちゃんと『エヴァ』に戻ってもらわないといけないしw

このテイストの『ゴジラ』が観られるのは今回だけ。だからこそ異質な描き方が許されたんじゃないでしょうか。

『ゴジラ』『エヴァ』双方のファンは勿論、それ以外の方にこそ、ぜひ一度観てみることをオススメします。きっと久々に新鮮な映画体験が味わえる筈です。
 

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『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』

2019-06-06 00:00:04 | 日本映画









 
2001年末に公開された、ゴジラ「ミレニアムシリーズ」の第3弾で、平成『ガメラ』三部作の金子修介監督が念願叶って怪獣映画の本流『ゴジラ』シリーズのメガホンを執った作品。

先の「VSシリーズ」と違って連続性が無く、1本1本違った世界観を持つ独立した作品であるのが「ミレニアムシリーズ」の特徴で、本作は1954年に一度だけゴジラが出現した世界という設定。つまりオリジナル版『ゴジラ』以外のシリーズは無かった事にされてます。

更に、ゴジラ=原爆の放射能により復活した古代の恐竜という基本設定は踏まえつつ、太平洋戦争による犠牲者たちの残留思念、つまり怨念の集合体なんだというオカルト解釈も加味され、シリーズ屈指の「怖いゴジラ」が描かれてます。(本作のゴジラは白眼を剥いている!)

そして、ゴジラと戦うバラゴン、モスラ、キングギドラは「護国聖獣」、つまり古代ヤマトの守り神という設定。

ちょっと飛躍し過ぎの感あれど、聖獣たちと防衛軍(自衛隊)が力を合わせても簡単には倒せない、ゴジラの圧倒的な強さと恐ろしさこそがミソで、怪獣映画の醍醐味とも言えましょう。

主人公が地方ケーブルTV局のレポーター(新山千春)、つまり一井の市民である点も本作の面白さで、軍人としてゴジラに立ち向かう自衛官の父親(宇崎竜童)と、報道に命を懸ける娘との共闘がまた感動を誘います。

けど、それ以上に魅力的なのは、浮かれて遊ぶ大学生たちや暴走族どもに容赦なく天誅を下す、凶暴極まる怪獣=破壊神たち。ジェイソンやフレディも真っ青の恐ろしさですw

人間どもの愚行に警鐘を鳴らす、その本質を忘れない怪獣映画は、やっぱり面白いです。
 

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『ゴジラvsビオランテ』

2019-06-05 12:00:05 | 日本映画









 
1989年末に公開された、大森一樹 脚本・監督による東宝映画。

本作は1984年度版『ゴジラ』の続編で「VSシリーズ」第1弾。一般公募により選ばれたストーリーを原案にし、青春映画の名手だった大森監督や、音楽に『ドラゴンクエスト』のすぎやまこういち氏を迎える等、新しい怪獣映画の在り方を模索した意欲作でもあります。

川北鉱一 特技監督も本作が初登板。後にテレビ東京の特撮ヒーロー番組の仕事で、私も川北監督とご一緒した事があります。

マッドな科学者(高橋幸治)が遺伝子操作でゴジラの細胞を薔薇に注入、更に亡くした愛娘(沢口靖子)のDNAまで組み込み、意思を持った植物怪獣「ビオランテ」を生み出しちゃう。

それに呼応したかの様に、前作で三原山の火口に消えたゴジラが復活。いずれも人類のおごりが生み出した怪物であり、どちらか勝った方が人類の敵になるという皮肉。

SF色が強く、人間ドラマにも重きを置いた本作は、高評価を受けながら興行収入は伸び悩み、次作以降はファンタジー色を強めたファミリー路線にシフト。

公開当時、まだ若かった私もイマイチ楽しめなかったんだけど、今あらためて観ると創り手のチャレンジ精神がひしひし感じられるし、大人の観賞に耐えうる怪獣映画としてオススメ出来ます。

今回のゴジラが破壊するのは大阪の中心部で、私自身も長年慣れ親しんだ街。それが何故か嬉しくなっちゃうのも怪獣映画の面白さですw

主人公=バイオテクノロジーの若き研究者に三田村邦彦(ジプシー!)、その恋人に田中好子(スーちゃん!)が扮するほか、自衛隊の若きリーダーに高嶋政伸、その部下に鈴木京香と、皆さん実にお若い!

中でも要注目は、第2回「東宝シンデレラ」グランプリに輝いた、小高恵美さん(当時17歳)。

あらゆる生物の念波を読み取る超能力少女=三枝未希として「VSシリーズ」にレギュラー出演された他、アクションドラマ『花のあすか組!』ヒロインとしても注目された'80~'90年代のアイドル女優。はい、萌えましたw
 

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『怪獣総進撃』

2019-06-05 00:00:21 | 日本映画








 
1968年に公開された、東宝製作、本多猪四郎&有川貞昌 監督による日本映画。昭和『ゴジラ』シリーズの第9弾です。

近未来の1994年w、小笠原諸島に設けられた「怪獣ランド」に集められ、言わば飼育されてる状態のゴジラ、モスラ、ラドンといった怪獣たちが島を脱走し、ニューヨーク、ロンドン、モスクワなど世界の主要都市を破壊し始めたからさぁ大変!

それは地球侵略を企むキラアク星人の仕業で、怪獣たちは謎の洗脳装置によりリモートコントロールされてるのでした。

このプロットは東宝ミレニアムシリーズ最終作『ゴジラ/FINAL WARS』はじめ多くの作品に流用され、ハリウッド版『ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ』にも少なからず影響を与えたものと思われます。

最終的にゴジラたちは地球人の味方となり、キラアク星人に操られたキングギドラと対決するワケだけど、10対1という多勢に無勢のフルボッコ描写は集団リンチ以外の何物でもなくw、最大最凶の悪役である筈のキングギドラが気の毒に見えちゃうという困った事態。

『忠臣蔵』をモチーフにした原案からキラアク(吉良・悪)星人というネーミングになったらしいけど、江戸時代の仁義を怪獣映画に持ち込むのはちょっと無茶だったかも知れませんw

そんな一発アイデアと勢いだけで突っ走っちゃうフットワークの軽さも昭和『ゴジラ』シリーズの魅力かと思いますが、さすがに現在ほど怪獣映画のクオリティーが進化してしまうと、あの時代の作品をマジメに論評しても仕方ないですよね。

おかしな点をあげつらって笑うのも楽しみ方の1つだし、CGでは絶対に味わえない手作り特撮の温かみや、明るい未来を皆がまだ信じてた時代の近未来描写にノスタルジーを感じるのも一興。

いや、だけど当時としては、1本の映画にこれだけ沢山の怪獣が出てくることや、彼らが宇宙人に操られて……っていうアイデアは画期的だったかも知れません。

実に50年後にハリウッドの最新技術で創られた『ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ』も、侵略宇宙人を環境テロリストに置き換えただけで大筋はほとんど同じですから、よくよく考えてみれば凄いことです。

キャストは久保 明、小林夕岐子、愛 京子、佐原健二、土屋嘉男、アンドリュー・ヒューズ、田嶋義文、田崎 潤、といった顔ぶれ。後に刑事ドラマでお見かけする佐原さんや土屋さん、田崎さんはかろうじて知ってるけど、さすがに'60年代作品ともなると俳優さんのお顔とお名前が一致しません。あの頃、私は若かった。(3歳ですw)
 

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『女バトルコップ』

2019-02-11 11:11:17 | 日本映画









 
1990年にリリースされた東映Vシネマの1編で、Vシネマ愛好家の間じゃ「カルト作」として知られる作品です。

元ネタはハリウッド映画『ロボコップ』のオリジナル版ですが、最新技術で蘇ったリメイク版『ロボコップ』を観た後にこの『女バトルコップ』を私は観たもんで、あまりにチープ過ぎて涙が出ましたw

近未来都市のネオ東京でロボット警官を密かに開発する研究所が、犯罪組織「カルテル」の襲撃を受け、イケメン研究者(北詰友樹)の恋人であるテニスプレーヤー=かおる(中村あずさ)が巻き込まれて銃弾を浴びる。

死ぬくらいなら恋人の役に立ちたいって事で、かおるはサイボーグ開発の実験台を志願。改造直後に彼もカルテルに殺され、かおるは女バトルコップとなって復讐を開始する。

サイボーグ開発研究所からして、どう見てもその辺の会議室だしw、TVドラマ『西部警察』(の1エピソード)製作費の半分もお金かかってなさそうなんだけどw、女バトルコップが身にまとうバトルスーツはなかなかの完成度で、デザインはロボコップより格好良いです。(そこにお金かけ過ぎた?)

そう、バトルコップのボディーはあくまで装甲で、中身は人間の肉体そのまんまな点がロボコップとは大きく違います。人間の肉体を残した理由はたぶん、彼女のシャワーシーンを入れる為ですw

この女バトルコップが素晴らしいのは、えらく弱い点ですねw ブルドーザーで押し潰されそうになったり、逆さ吊りにされたままマシンガンやショットガンで蜂の巣にされ悶絶したりと、けっこう悲惨な目に遭ってます。

『マジンガーZ』もそうだったように、女性型ロボットの被虐はレイプを連想させるエロス表現なんですよね。そこんとこが『ロボコップ』には無い魅力で、Vシネマの歴史に名を残したカルト作たる所以かと思います。

もちろん最終的にはカルテルを皆殺しにして復讐を果たすワケですが、そんな彼女のどこがコップ(警官)なのかよく分かりませんw そもそもテニスプレーヤーなんだし(だから弱くて当たり前)。

でも、そこが本作の良さなんだと思います。職務とか正義感とかじゃなく、恋人の生命と自分の人生を奪った者たちへの、怒りと憎しみに突き動かされる彼女の姿には哀愁がある。

確かに泣けてくるほどチープなんだけど、爆破はCGじゃない本物だし、日本映画のお家芸であるミニチュア特撮も今となっては逆に新鮮だったりします。

女バトルコップがバイクで移動するのはリメイク版『ロボコップ』を先取りしてるし、もしかすると影響を与えてる可能性だってあります。(そもそも『ロボコップ』は日本の特撮ヒーローがモデルと云われてます)

最強の敵(和製シュワちゃんこと松田 勝)がサイコキネシスで、ピラミッドで瞑想したり念動力で物を動かしたりするチョー非科学的な存在なのも面白いw

こんな作品が大真面目に創られ、世の中に流通してた時代なんですよね。あの当時のサブカル文化を振り返る意味でも、機会があれば是非観て頂きたい作品です。(若き日の佐野史郎さんも出ておられます)
 

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