ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『推し、燃ゆ』『ノースライト』『100歳の美しい脳』

2021-02-21 14:37:30 | 
『推し、燃ゆ』 宇佐見りん 河出書房新社
 逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。
 芥川賞受賞作。20代前半でこのクォリティー。すごい才能だと思う。ひっかかりなく文を読むことができるのだから。
 エイターである私は、主人公の気持ちもわかるから、おもしろかった。ただ、発達障害ぽい主人公は、空気が読めずに生きていくのが辛いだろうなと思う。

『ノースライト』 横山秀夫 新潮社
 一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。このY邸でいったい何が起きたのか?
 ノースライトとは?北側から入る柔らかな光。はじめ、Northern Light(オーロラ)と間違えていた。
 横山さんだから、警察小説かと思ったら違った。でも、さすがは横山さん。おもしろい。最後まで謎が分からず、ぐいぐい読ませる。バブル後のくすぶっていた時からの再生。所長の弔い合戦のようなコンペもどき。相変わらず情に訴えてくる。
 しかし、ブルーノ・タウトって、知らなかったな。どこかで見たことがあるかな?

『100歳の美しい脳 アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』 デヴィッド・スノウドン DHC
 678人の修道女の人生と脳を対象に、老化を多角的に研究する―。1986年にはじまり現在も進行中の「ナン・スタディ」はアルツハイマー病研究に多くの成果をもたらした。若年期のすごし方が老年期にどう影響するのか、アルツハイマー病の発病と発症の不一致の原因、さまざまな老化を防止する要素。このかつてない研究に、修道女たちは喜んで協力と献脳を申しでた。献身的で温かな“ファミリー”とともにすごす修道女の充実した日常が、単なる長生きではない「高齢という生き方」を問いなおす。最後まで充実したよりよい人生を歩むための、示唆にとんだ報告。
 これは、おススメ!!!アルツハイマーを患っていながら、症状がでない。ボケの症状があるが、アルツハイマーはそれほど進んでいない。この差は何か?
 健康な修道女は、人生の早いうちに語彙が豊富で子どもの時から様々な種類の文章を読んでいたという。親がアルツハイマー予防として子にしてやれることは、読み聞かせとか。今は、コロナでできないボランティアの読み聞かせだが、私も届けたい。と言っても、してあげるのではなく、子どもと一緒に楽しんでいる私だが。
 特に印象に残ったのは、シスター・ドロレス。彼女は、若い時からアフリカで奉仕をしたいという望みをもっていた。修道女会がアフリカへも活動を広げていた時に、彼女は、望んでアフリカへ行く。御年67歳!そこから80歳までアフリカで奉仕をするのだ。何をするにも遅くはないと勇気がもらえる。年をとるにつれて精神もすり切れてくるから、高齢になると頭がおかしくなるというのは、思い込みに過ぎないという言葉が希望になる。
 アルツハイマーの遺伝子があるという。「アルツハイマーの遺伝子を持っていると知ったところで何が変わるの?」という言葉は、恐れず前向きに生きる杖になると思う。
 アルツハイマー患者は反応に時間がかかるので、早口で話しかけたり、詰問調はNGとか。テストするときも「できますか?」ではなく「してみてください」がいい呼びかけらしい。ボケているではなく、人生の先輩として尊敬を持って接するのが大切なんだな。「温かい食事に温かい会話が加わってこそ、栄養が身につく」という言葉もいい。
 リコピン、葉酸、野菜や果物をとる。前向きに生きる姿勢。これで、ボケずに健康に老いたい。
コメント
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