ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『刑務所しか居場所がない人たち』『塩を食う女たち』

2019-02-20 21:29:15 | 
『刑務所しか居場所がない人たち 学校では教えてくれない障害と犯罪の話』 山本譲司 大月書店 
 刑務所と社会、障害者に優しいのはどっち?刑務所は、世間から排除され続けた障害者が最後に行きつく「福祉施設」だった――自身の服役経験から現実を知り、触法障害者や出所者の支援に奔走する著者が、福祉と司法のすきまに落ちる人々の実態を著す。
 軽度の知的障碍者の再犯率が多いからくりがわかった。社会でケアされず犯罪者になり(しかも、驚くほど軽微な罪で)、刑務所に入って、初めてケアされて安らぎを感じる人たちがいる。出所しても支援がなければ、また同じことを繰り返す可能性は高い。セーフティネットからこぼれ落ちた人たちをどうすればいいのだろうか?

『塩を食う女たち 聞書・北米の黒人女性』 藤本和子 晶文社
 アフリカから連れてこられた黒人女性たちは、いかにして狂気に満ちたアメリカ社会を生き延びてきたのか。公民権運動が一段落した1980年代に、日本からアメリカに移り住んだ著者が、多くの普通の女性たちと語り合った中から紡ぎだした、女たちの歴史的体験、記憶、そして生きるための力。
 黒人女性の聞き書き。彼女たちの気高いこと!ちなみに、塩を食う者とは、塩に例えられる辛苦を経験した者のこと。又は、塩を食べて傷を癒す者たち。(ヘビの毒は塩を食べて中和するから???)
 アフリカの女性が重い薪を運ぶのを見て、自分の中にある民族のすぐれた特質を発見するくだりは、印象的。アフリカから連行された過酷な船旅にも、奴隷時代にも、その後の差別や貧困にも生き延びたのだから、黒人は特別にすぐれているのだと。民族の中にある生きのびる力を信じて生きようとする女性。
 私にも自分の中にある力を信じているところがある。意味もなく「自分はラッキーなほう」「自分は大抵の苦難は乗り越えられるはず」と。自分の中に核があるということは、強いような気がする。
 黒人女性が「受けた教育は黒人が劣等であると信じこまされた」と言う。教育とは、大事だなと思った。今の子どもたちは、潰す教育ではなく、育てる教育を受けているだろうか。医学部受験で女子が不利に扱われているようではなあ。
コメント
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