岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

公開討論会と町づくりーその5 「雫石町の自殺行為」

2009年04月07日 | 「しずくいし銀河の森」
昨日記録した町民から町長への提言に加え、もうひとつ札幌市民の方から当時の増田岩手県知事と中屋敷雫石町長に当てた提言を記録したい。
2005年2月7日、町長の説明責任と立地の不適正さを求めた第1次署名を添えて県庁へも要望行動を行った際もこの提言を読み上げた。【小岩井農場隣接地に産業廃棄物焼却溶融炉】という問題は、沖縄から北海道まで知られることとなっていた。
多くの人々が驚きそして落胆したこの「計画」
提言者はこう述べた。「景勝地のど真ん中に作ることが、雫石町にとって自殺行為に近いものだと申し上げているのです。」
しかし町のリーダーであるはずの町長にとっては「後押ししたい」ものだった。

(地図写真はマイトリー社産廃溶融炉計画の場所。国道46号線から車で15分、小岩井農場隣接の土地5ヘクタールに「雫石クリーンセンター」は計画された)



小岩井農場隣接地における産廃施設計画についての提言

<私は雫石町民ではございませんが、表題の件につきまして、思うところがあり、提言させていただく次第です。
私は妻が岩手出身のため、何度も雫石町には訪れておりますが、毎回、雫石町、特に小岩井農場から岩手山に至る地域の景観の質の高さには脱帽いたしております。
私は先だってまで環境コンサルタントに勤務しておりましたので、消して素人考えで意見を述べているのではなく、プロの視点から見て、すばらしい景観であると申しているのです。

特に北海道の観光地と比較しましても、町並み、景観、観光資源としての質はきわめて高いと感じておりました。これは雫石町民をはじめとした、岩手県の方のすばらしい県民性から来るものと考えておりました。特に、歴史あるものが、現在もあるべくして厳然としてそこにあり、景観ひいては風土を形作っている様は、全国に多くある即席の観光地では決して見ることができないものです。

しかしながら、今回、景観の心臓部とも言える小岩井農場の隣接地に産業廃棄物施設を建設すると聞き、非常に落胆した気持ちでおります。

通常の環境アセスメントの手続きで進めれば、計画自体は難なく進めることが可能だと思いますが、もし工事が着工されることがあれば、雫石町の観光資源を致命的に破壊するものとお考えになったほうがよいかと思います。

特に首都圏を中心とする県外からの観光客は、都会のまずい空気と水にウンザリして、2時間半以上もかけて岩手に訪れ、うまい空気と水、そしてすばらしい景観を求めて来ているのです。首都圏の人間は環境問題に対して岩手県民ほど鈍感ではありません。
平たく考えて、ダイオキシンや医療廃棄物などの処理施設が隣にある牧場の牛乳を誰が好んで飲むでしょうか? そんなところに誰が休日ファミリーで余暇を過ごすでしょうか?考えられないことです。
牛乳も観光地も全国どこにでもあるのです。少しでも気に入らなければ、お客は他に逃げて行くでしょう。施設の温排水を利用して花壇をつくっても、何のごまかしにもなりません。消費者の目はそれほど甘くはありません。

今のままの雫石であれば、他県と比較しても、十分にレベルの高い観光地だといえるのです。
私は、環境基準のことを申しているのではありません。世の中が感じているイメージや、田舎の観光地に対するニーズのことを申し上げているのです。
この件は、町が主導となって建設のあり方を考えるほかは打開策はないと考えております。

私は廃棄物工場を作るなと申し上げているのではありません。景勝地のど真ん中に作ることが、雫石町にとって自殺行為に近いものだと申し上げているのです。少なくとも建設地の選定のところから計画を見直されたほうがよいと考えます。

景観や風土は現在の人間だけのものではありません。孫子の代まで受け継ぐものです。そして、一度変更してしまった土地利用は二度の元の姿に戻すことはできません。
一雫石ファンの意見としてお聞きいただき、よくお考えいただければ幸いです。>


のちに提言者から次のような便りをいただいた。

<農村景観が守られず、地域の方の健康な生活が脅かされなければならない元凶は、田中角栄氏の日本列島改造論に始まる、土建国家日本の呪縛を未だに政府が引きずっているためだと思います。
最初にこの件をニュースで見たときに感じたことは、スイスのハイジの山小屋の隣に廃棄物処理場を作るというイメージです。ですから、これは雫石にとっての自殺行為だと思ったのです。>


「日本列島改造論」
産業廃棄物焼却溶融炉計画がなぜ出てきたのか、その背景には かの時代の呪縛が大きく覆いかぶさっていたのだった。

なぜ町長はこの「自殺行為」を「後押ししたかった」のか
それは産廃施設計画を生んだ母体計画があったからなのである。

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