浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

三池炭鉱

2023-02-21 12:47:37 | 映画

 アマゾンプライムに「三池 終わらない炭鉱の物語」(熊谷博子監督)という映画があると知り、早速みた。

 九州の三池炭鉱といえば、三池争議、事故で有名である。三池争議は、資本と労働者との激しい闘いが繰り広げられた、戦後最大の労働争議である。おりしも60年の安保闘争が闘われていたなかで、全国からも注目され、全国から労働者が支援に行き、また三池炭鉱労働組合の組合員らが全国に「オルグ」にまわったことで有名である。歴史学的には、戦後高揚した労働運動の天王山と言われ、この争議で労働者側が敗北したことから、民間企業における労働運動が資本の優位におかれるようになり、戦後の労働運動の行方を決定づけたといわれる。

 この争議は、石炭から石油へとエネルギーが転換する中で、炭鉱労働者の首切りに始まった。労働組合は馘首撤回を求め、徹底抗戦で臨んだ。しかし資本の側も徹底的に弾圧し、また第二組合を結成させて労働者を分断した。映画の中で、資本の側はこの争議に220億円を費やし、労働組合は全国からのカンパなど22億円を集めた。こうした争議が起きると、その争議にかかる費用は、経営側と労働組合側とは10対1と言われている。会社側はその潤沢な金で、右翼暴力団を雇ったりした。もちろん警察などの国家権力も、経営側の味方である。

 この映画には、当時の会社側の人間、第二組合を結成した人、そして第一組合の中心人物、さらに闘いを支えた家族の回顧談が語られる。

 この点においても、戦後の労働運動の分岐点となった三池争議のあらましを、この映画で見ることは大切だと思う。

 また炭塵爆発で、炭鉱夫に犠牲者が出、また一酸化中毒となった人たちもたくさん出された。しかしそうした犠牲者に対しての補償はなく、患者やその家族が座り込みなどを行って獲得していくのだが、しかしその補償はまったく十分ではない。

 これを見ていて、日本の資本主義の「発展」は、労働者たちの犠牲の上に行われてきたことがよくわかる、と思った。

 今、労働運動が下火となり、経営者と仲良しの組合の全国組織である連合が統一教会党である自民党と気脈を通じるようになっているとき、過去のこうした争議を振り返ることは重要であると思う。

 

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