最近の『週刊金曜日』の記事には、「豊かさ」があると思う。その「豊かさ」とは、怒り、悲しみを抱く現実社会との関わりのなかで、報じなければならないことを、多様な視点から浮き彫りにしようとしているように思われる。
昨日届いた『週刊金曜日』11月24日号、今までのなかでとりわけ「豊かさ」を感じた。
その一つは、ガザに対するイスラエルの許すベからざる蛮行の記事である。今、アメリカの支持を得ながら行っている軍事作戦は、ガザからパレスチナ人を一掃するために行われているもので、それはシオニズム運動が当初から企んでいたことであることを明確に記していることだ。ユダヤ人を迫害していた西欧社会が、このイスラエルの蛮行に「寛容」であることの問題性、しかし今イスラエル国家が行っていることは、ナチスドイツがユダヤ人に対して行ったことと相似形であること。だからこそ世界の良識ある人びとが、どこでもイスラエルを批判しているのである。
もう一つは、古謝美佐子さんが今度出すアルバムのこと、古謝さんへのインタビューもまた「豊かさ」にあふれている。古謝さんのうたそのものが「豊かさ」にあふれているからでもある。よいインタビューである。
「福田村事件」についてのインタビューもある。私は映画を見ていない。見ていないのはなぜかというと、ベッドシーンがあると聞いたからだ。この事件を描くのにベッドシーンは必要はないだろうと思ったし、見た人からの感想を聞いて、みなくてもよいと判断した。『週刊金曜日』では、この事件について地元で調査をしている市川正廣さんへのインタビューが掲載されていて、市川さんはこの映画に違和感を持っているという。いろいろな意見があってよいが、見た人の評価は概ね良いからこそ、市川さんの意見は重要だ。
またイギリス人平和活動家のアンジー・ゼルターさんのことが紹介されている。アンジーさんの『非暴力で世界を変えるー活動家という生き方』という本が来年出版されるという。読まなければならないと思う。
今週号の『週刊金曜日』は多彩な内容で、読み応えがあった。