hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

「マネジメント」と「企業理念」

2012-04-29 | 企業経営
小宮一慶著:「ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと」からの引用

今ドラッカー氏の「マネジメント」を勉強している。エッセンシャル版を解読しているが、わかったようでわからない。
そこで経営コンサルタントとして名高い小宮氏の著書「ドラッカーが『マネジメント』でいちばん伝えたかったこと」から、「引用」を行い、私なりに解釈をしたいと考えている。

「はじめに」から引用するが、書かれていることは、的を得ており、非常にコンパクトにまとまっており、さらにわかりやい言葉で表現されている。

難しいことをわかりやすい言葉で表現できることは、一流コンサルタントの証である。

『結論から言うと、ドラッカーの考え方や長期にわたって成功している経営者の考え方は本質的に同じである。ビジネスを成功させる本質は同じだ』と言い切っている。

さらに『ドラッカーのマネジメントにおけるキーワードは、二つしかない。
それは、「マーケティング」と「イノベーション」です。』と続く。

『その本質が何かをしっかり理解しなければ、経営の実践には活かせません。』

『「マーケティング」とは、お客様社会など「外部からの視点」を徹底させていくこと。』

『「イノベーション」とは、世の中が変わることを前提に、世の中の変化に合わせて、「現在と未来のバランス」をとりながら、今より良くするための企業活動をおこなうことである。』

マネジメントの基本は「マーケティング」と「イノベーション」という考え方がベースになっている。
その基本を踏まえた上で、
⇒ 1. 事業を定義する
⇒ 2. 目標を設定する
⇒ 3. 人を動かす
この3つを考えていくことが、マネジメントをすることになる。
なお、3つの考え方を詳しく説明する。

「1.事業を定義する」とは
・ 目的・使命(ビジョン・理念)
・ 市場のニーズ(外部環境分析)
・ 強み・弱み(内部環境分析)

「2.目的を設定する」とは
・ マーケティングの目標
・ イノベーションの目標
・ 経営資源の目標
・ 生産性の目標
・ 社会的責任の目標

「3.人を動かす」とは
・ 仕事と労働
・ 仕事を生産的なものにする
・ マネジャー育てる
・ マネジメントとコミュニケーション
・ トップマネジメントの役割

その際、常に意識することが『マネジメントの三つの役割』で定義している次の項目である。

1.自らの組織に特有な使命を果たす
2.仕事を通じて働く人たちを生かす
3.自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する

『成功している会社や経営者ほど、ビジネスの根幹をなす原理原則を守っている。』
逆にドラッカー氏は
『「基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する」とまで言い切っている。』

小宮氏はこの原理原則をわかりやすく説明している。
『「マーケティング」とは、徹底したお客様志向を貫き、良い仕事を目的とする』
『「イノベーション」とは、時代に合わせて最適化のために変わる』

『ドラッカー氏にせよ、松下幸之助氏にせよ、成功している経営者の根底に流れる思想や考え、ビジネスにおける原理原則は皆、共通している。』

『例外はない。戦略論や会計、財務などビジネスの技を身につけることは大切であるが、その前提には、ビジネスの原理原則を正しく理解しなければならず、それなくして成功はない。』

『お客様志向の対極にあるというべきものが、私利私欲である。「成功したい」という意味を「金儲けしたい」「権力を得たい」「地位を得たい」と捉えている人がたくさんいる。
しかし、ドラッカー氏は、これら私利私欲を徹底して否定している。
マネジメントは機能である。こうした慾を排除しなければ、真に成功することはできない、と説いている。』

昨日、ある会合があり、「企業の理念」について話題が盛り上がった。
いつの時代も松下幸之助氏をはじめ、創業者が社長をやり、「理念」がしっかりしている会社は強い。孫氏のソフトバンク、三木谷氏の楽天、永守氏の日本電産等々。業績の良い会社は、「企業理念」そのものが「企業文化」になっている。経営者の考え方や哲学が末端の社員まで行き届いている。

一方、日本を代表する大会社であっても、「企業文化」が「企業理念」と一致しないケースが多々ある。失礼な言い方かもしれないが、サラリーマン社長が、どこまで「企業理念」を理解しているか。
組織が大きいほど、途中の管理職の解釈が加わり、それなりの「企業文化」が築かれている。その結果、何のために企業は存在するのか、という「使命」が曖昧になり、「企業理念」の真意がわからなくなってしまっている。

組織が大きくなればなるほど、社長と一般従業員との距離は遠くになる。
その結果、職場の上司である課長や部長の解釈が「企業文化」となり、創業者の心が伝わらない。
今の時代、ITが発達しているのだから、社長が社内TV等を通じて、一般従業員に「自分の言葉」で「企業理念」を話すことは出来るはずだ。

社員も人間である。よく「ベクトルを合わせろ」という言葉を聞くが、経営者が篤き心を持って、自分の言葉で直に伝えなければ、社員の心を動かすことができず、「ベクトル」は一致しない。
その結果、社員の力は分散され、結果に結びつかない。

バランススコアカード(BSC)は4つの視点で、企業を捉えている。
・人の視点、・組織構造の視点、・顧客の視点、・収益の視点

この4つの視点は、階層になっており、
人の視点⇒組織構造の視点⇒顧客の視点⇒収益の視点
と、連動して反応する。

つまり、人が育たなければ、企業の組織が十分に活動しない。
その結果、お客様は満足しないので、他の店で買うことになる。
つまり、人が育たなければ収益が上がらない。
と解釈できる。

さらに、「人を育てる」ためには、やはりその会社の「存在意義」が必要である。
会社に勤めることは、社員にとっては、給与をもらうことでもあるが、自分の人生をその企業に託すのである。
経営者が、どれだけ真摯な気持ちで、社員の気持ちを動かす「哲学」が言えるか、である。

BSCは4つの視点であるが、ドラッカー氏の考え方を踏まえると、5つの視点になる。
理念の視点⇒人の視点⇒企業構造の視点⇒顧客の視点⇒収益の視点

多くの業界は、業績の「良い会社」と「芳しくない会社」の二極化している。
ドラッカー氏のいうように、基本の原理原則を守もれば、業績が上がり、守らなければ衰退するだけである。

このような、結論になった。