hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

100年企業からドラッカー氏の背景を考察する

2012-04-17 | 企業経営
今、ドラッカー氏の『マネジメント「エッセンシャル版」』を読んでいる。

ドラッカー氏の書物が600万部以上売れているという。
企業経営のバイブルとして、学ぶ価値があるからだと思う。

読むに従い、単純な疑問が湧き出てきた。

例えば、
「企業は営利組織ではない」とか、
「マーケティングは、顧客の要求からスタートする」とか、
「イノベーションは、新しい満足を生み出す」などがある。

一つひとつ言っていることは正しいし、納得することばかりである。

しかし、当たり前と思われることを本にしたため、その当たり前と思われる本が600万部以上売れていることに驚きである。

裏を返せば、当たり前のこと、つまり基本ができていない、いや基本を無視(?)して経営している企業が非常に多いいということなのか。


日本経済新聞には『200年企業「成長と持続の条件」』が毎週月曜日に掲載されている。
インターネットで100年企業を検索したところ、
日本には創業100年以上の会社が5万社以上で世界一でり、
2位はドイツの約1560社、3位はフランスの約330社とのことである。

さらに、創業200年以上の会社が日本には3100社存在すること。
しかも、世界全体総数の40%を占めている。
ドイツ800社、オランダ200社、アメリカ14社、中国9社、台湾7社、インド3社。
業種は、旅館、料亭、酒造、和菓子が4割をしめている。

200年企業の多くは、伝統を重んじる日本やドイツ・フランスなどに集中している。
5000年の歴史がある中国においては、たった9社である。

なぜなのか?
さらにインターネットで検索したところ、
「東都のれん会」60周年に関する記事があった。
「東京で創業100年以上の53店が集まり、それぞれの家訓心の教えを披露し、商いの理念を学び合っている」とのことである。
山本海苔店の店主の言葉に「伝統とは革新の連続である」

ドラッカー流にいえば、「伝統とは、良きものを守り、お客様に新しい満足を生み出すためのイノベーションの連続である」といことになる。


同時に、近江商人の『三方よし』という言葉が気になった。
『三方よし』とは、『売り手よし・買い手よし・世間よし』である。
この原点は、江戸時代中期(1750年頃)の近江商人の経営理念をわかりやすく説いたものである。
知らない他国を行商するには、信頼が第一である。そのためには相手が満足する商品を提供することが重要である。
売り手の都合ではなく、『買い手』の都合に合わせてビジネスを行うことになる。つまり『買い手よし』となる。
さらに、地域社会に溶け込み、貢献して初めて商いが成り立つ。まさに、『世間よし』である。


話はドラッカー氏に戻るが、氏が育った欧米諸国の経済政策は資本主義である。
投資家の関心は、対象企業の配当の高低であり、投資額に対する利益の大きさだけである。
そのため、資本主義経済制度下の企業は、顧客や社会的責任を考えず、ひたすら「利益」追求に走ったのだと推察する。

欧米の多くの企業は「利益」を追求するあまり、一時的には良いかもしれないが、結果的には100年企業になる前に、社会から淘汰されたのだと思う。

この他にも、そこには歴史的、政治的、民族的要因が多々あると思う。

そのような状況をみて、多くの企業に対する警告として『マネジメント』をはじめと多くのビジネス書を書いたのではないか、と一人思う次第である。