hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

「書く力」と「事前準備」

2012-04-22 | スキルアップ 文章力
『原稿用紙10枚を書く力:斎藤孝著 
第1章:「書くことは考える力を鍛える」
第1節:「書く前に考える」』から。

メモ書きであれば、思いつくまま、書いていけばいい。
今のブログは、頭の中では多少考えているが、思いつくまま羅列しているにすぎにない。

氏も原稿用紙4~5枚程度であれば、思いつくまま書けばよい、といっている。
しかし、原稿用紙10枚を書くにはそれなりの準備がいる。


以下、氏の著書『原稿用紙10枚を書く力』からの引用である。
『「書く力」をつけるためには、「文章とは構築物である」ということをしっかり認識することが必要である。まず、頭の中に書くべきことを構築して、きちんと創作メモをつくり、それに基づいて書いていく。構築するためには、当然考えを突き詰めていかなければならない。』

報告書や企画書を書く場合、まず何を書くか、見出しを考える。
テーマ、結論、概要、現状、問題点、課題、対策等の見出しを書き、それぞれの項目の中に小見出しをつけて詳細に展開していく。
本を書く場合も同じであろう。どのようなテーマで書くか決めたならば、最終的に何を言いたいのか、結論を考える。その結論が決まれば、後は書くのみである。現状から様々なプロセスを踏まえ、具体的な事例を織り交ぜながら、結論に向かっていく。常に論理的に書くことで説得力が増していく。

では具体的に、「企業診断レポート」として報告書を書く場合はどうか考えてみる。

経営者とお話しする前に、事前準備がある。それは外部環境の調査である。
業界動向をはじめライバル会社の動向を調べる。国会図書館に行けば、それぞれの業界に関するデータが保管されている。またインターネットからの検索も可能である。

また、世の中の動きについてPEST分析を行う。
まずは政治(Politics)に関する分析を行う。法律や政治の動きを捉え、市場のルールの変化をチェックする。

次に、経済(Economics)について調べる。所得や消費の動きを確認し、価値連鎖にどのように影響しているか、分析する。

SはSocietyで社会に関することである。人口の動向や文化・流行である。需要構造にどう影響しているか確認する。特に人口動向は将来を予測することができる重要なデータである。少子高齢化による需要構造を推測することは重要なテーマである。

TはTechnologyで技術である。技術革新に注目することである。新しい技術がでることで、競争ステージに変化を及ぼされる。同業他社の技術革新も大切だが、業界外からの技術革新には、重要である。一番良い例がデジカメの出現である。それまでフィルムカメラで世界制覇していたコダック社は、デジカメの出現により、衰退の一途をたどったことは有名な話である。

次に内部環境に関して分析する。

経営者とお話をすることで、将来どのような姿になりたいのか、あるべき姿を聞きだす。それは売上だったり、利益だったり、販路拡大だったりする。

現状把握も重要なテーマである。経営者からも聞くが、そこで働く人々から話を聞く。工場であれば、管理部門、技術部門をはじめ、工場で働いている従業員からもヒアリングを行い、不満に思っていることや改善要望などを聞く。経理部門においては、過去3期または5期の財務状況を確認する。数字を見ることで、様々な問題点がわかってくる。さらに総務部門には、人材教育について確認する。従業員アンケートをとると、従業員の満足度がわかり、改善点が見えてくる。
商店であれば、顧客に対してアンケート調査し、問題点を抽出することが必要である。

外部環境分析と内部環境分析が終われば、クロスSWOT分析を行い、その企業の方向性をだし、具体策を検討していく。
このようなことを、文字にすることで、具体的なデータに基づいて、論理的な報告書が出来上がる。

もし、上記のことを「話す」だけだったらどうであろうか。
聞く方は、その場ではわかったつもりになるかもしれない。しかし、自分からメモを取っているなら別であるが、文字がなければ後で確認することができない。

氏の本の中に、次の一文がある。

『「話す」ことと「書く」こととは全く違う行為である。
「話す」ことは基本的にはプライベートな行為である。それに対して「書く」という行為は、文字として残る。よって、「書く」ことは公共的な行為である。』
まさに、報告書は、文字を書いた結果であり、そこには公共的な性質がある。
だからこそ、構成を考えて、項目ごとに詳細を検討し、ひたすら考えて書くことが重要である。

報告書を書く行為は、「企業診断レポート」であれば、経営者にとっても大切であるが、報告書を書いた本人にとっても重要なことである。

また、氏の言葉を引用する。
『「書く」ことの基本的な機能は、体験の意味、経験の意味をあきらかにすることである。書き言葉はその定着力に特徴がある。体験は放っておけば、流れ去ってしまう。それを言葉にすることによって、後で読み返せる形にして、その時の心の状態をつかみ取ることができる。書かれた言葉は定着し、時間を超えて残る。』

さらに続く。

『書けば書くほどアイデアが生まれる。一つの論文を書くと、次に各テーマが二つぐらい見つかる。当面の論文作成に使わなかった素材の中から、次の論文の素材になり得るものが必ず一つ二つみつかる。』

このように「書く」ことは、相手(経営者)にとっても、書いた本人にも様々な効果が表れてくる。

さらに引用する。

『パソコンで書けば、とりあえず書きたいことをアトランダムに書きはじめてみて、後で自由に修正したり、配列を入れ替えたりすることがいくらでもできる。
構築力を鍛えるためには、パソコンを使って文章をつくることは非常に適している。後で何度でも推敲ができる。
パソコンを積極的に活用して書く力を身につけていこう。』

まさにその通りである。