住めば公園風田舎町

「住めば都」と言われるがわたしゃ田舎の方がいい。町全体が公園のようなそんな田舎町に住みたい。

221 「仕合せ」か?「幸せ」か?

2006-12-28 00:13:27 | 風景
仕合せ
幸せ
221-1 幸せ、仕合せ


 「さくら新聞」の校正のときに、「仕合せ」は「幸せ」が本当ではないかと言う意見が出た。
 そういう議論をするのは嫌いではない。これからも些細なことでも意見をぶつけ合って、切磋琢磨したいものだ。
 この場合、「どちらでも良いのだ。」と言っても、すっきり納得した風ではない。仕合せを見たことがないのであろうか?

幸という字に、しあわせという意味はあっても、しあわせという読みがあった筈がない。
 読みは仕合せから来ている筈だ。「仕合せ」は「為し合わせる」から来ているという。グッドタイミングに為し合わせたから、ラッキーだったのだ。
 「仕合せ~」というのはこのタイミング、あるいは幸運にめぐり合わせたと言う意味からきている。

 その意味からいうと「仕合せ」は為し合わせると言う意味から「し合せ」の方が本当だろう。
 為すという意味の「する」の連用形の「し」は漢字の仕が当てられることが多い。仕事、仕組み、仕送り、仕込む、仕方など。しかし、元の意味からすると、仕えるのではなく、為すのであるから「し」が本当である。
 「し合せ」より「仕合せ」、「仕合せ」より「幸せ」の方が使う人が多くなると、前者がいつの間にか間違い扱いされ、特に試験などで間違いとされるようになると、差別視されたように排除される。

 「仕合せ」はそのまま残したが、「剪定のし方」と言う使い方をしていたのは、指摘されて「剪定の仕方」に直した。guuchanは直す必要性はないと思ったが、一般的には「仕方」の方が多いのだ。

 「仕合せ」と「幸せ」はどちらが「しあわせ」に感じるか?
 それは、その人の経験の差による。色々な文学の中で、「仕合せ」や「幸せ」と書いた表現に出会って、そのときの主人公の幸福感の印象の強い方が、より「しあわせ」と感じるのではないだろうか?
 あるいは、ラブレターの中で、相手が「仕合せ」を使っていたか「幸せ」を使っていたかによっても決定的な差が出るかもしれない。
 
 
 
越す
超す
221-2 越す、超す

 「200本を越す」と書いていたら「200本を超す」ではないかと言う意見があった。
 どちらでも良いはずだが、そう言った人は「越す」は間違いで「超す」でなければならないのだ。
 辞書では「越す」・「超す」を一緒に扱って説明しているものも多い。超越というくらいだから、超も越も同じ意味なのだ。

 恐らく、中国ではどこかの国では「超」を、どこかの国では「越」を「こえる」意味で使っていたのだろう。
 文化交流が起こると、同じ意味を持った文字が二つ存在することになる。
 どちらが正しくて、どちらが間違いだと言うことはない。
 東京弁だけを正しいと考え、方言を笑うのは文化の多様性を否定して、多様な文化の存在を許さない偏った考え方なのだ。
 昔の人は、そういう場合、同じ意味の言葉や文字を重ねて使っていると思うことが多い。公平なのだ。それで平和が保たれる。
 たとえば「居ます」ということば「居る」と「在(ま)す」が重なっているように思うのだが。「まします」が「いまします」となる。
  

 
一所懸命一生懸命221-3 一所懸命、一生懸命

 これは「さくら新聞」とは関係ないが、あなたはどちらを使うだろうか?
 たいていの人は無意識に話し言葉で「イッショウケンメイ」と発音しているので、書くときも「一生懸命」と書くのではないだろうか?
 辞書を見ると両方あるはずだ。

 「一生に命を懸ける」ということであまり疑問に思わないかもしれない。しかし、一生に命が掛かっているのはあたりまえのことであるから、それ以上懸命のし様があるまい。
 もともとの意味は、一所に命を懸ける。一つの城、一つの町などを命がけで守備する意味から、一所懸命が出たと考えられる。
 しかし、今では本当のはずの一所懸命が間違い扱いされかねない。
 その傾向は古典を読まなくなったので、ますます拍車が掛かりそうだ。

 一所懸命と関係ないが、
 また、近年は言葉狩りというものがある。これは差別用語だから使用してはならないと言う。だれがそれを決めているのか?いつも不思議に思う。
 言葉狩りが、古典を読む力を失わせている。
 言葉狩りを行えば差別がなくなると言うことはない。
 別の差別用語が生まれるだけである。
 差別意識や、罵り合いは、海面に波が絶えないようになくなる事はない。
 かって差別用語でののしられた人間の痛みや苦しみを、どうやって表現したらよいのか?
 その苦しみを、ののしられた言葉を使わずに、どう理解することが出来るのか?
 いつも思っている疑問である。