中国貴州省で日本語教師

2007年春~2009年春、青年海外協力隊

雨読

2006年09月20日 | Weblog
連休中に読んだ本:
泉鏡花『高野の聖』15年ぶりに再読。やっぱりいけてる泉鏡花。

王雲海『「権力社会」中国と「文化社会」日本』集英社新書
…あ、ウチのがっこの先生だ。と、つい買ってしまった。わかったようなわからないような。でも、昔中国に留学した友人が同じようなことを言っていたなあと思い出した。いわく、中国人は欧米人よりも個人主義である。欧米人よりも日本人とかけ離れている。どうなんでしょ。ところで私は日本人よりも個人主義である。などと言うことにどれだけの意味があるのかは、その先に何を言いたいかによる。王先生がこの二項対立の先に何を言いたいのかはよくわかるし賛成だ。「日本人/中国人」本質主義的・戦略主義的ステレオタイプもその意味で有用。

梅田星也『日本語先生奮闘記』大修館書店
日本では高校の英語教師をやっていた人が、定年後に長沙大学の日本語教師になって経験したことなど。前半は異文化体験の軽妙洒脱なエッセイで、時に読みながら声を上げて笑ってしまうほど。なので、「奮闘記」というタイトルは編集者のセンスがよくないんじゃないだろうか。編集者が決めたと決めつけて言うのだが。いやいかにも大修館あたりの編集者がつけそうなタイトルだし(偏見?)。

北原保雄『問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?』
表紙の「こちらきつねうどんになります」のイラストがかわいくてつい。ちょっと前に本屋に平積みになっていたので気にはなっていた。明鏡国語辞典の編者たちが総力を挙げて書いたとのこと。いい意味で予想をうらぎられた。この言葉づかいは正しくないと糾弾するのではなく、この誤用≒変化はこういうふうに考えられると言語学上の解釈を教えてくれる。

近江誠『挑戦する英語!』装丁に品性がない。が、収録演説の選択は私好みだったので買ってしまった。亜流のシチュエーションで同じ表現を使う「モード転換」のページは不要だと思った。

林芙美子『放浪記』途中。ひきこまれる文だと思うが、分厚い上に、日記なので話の筋があるわけでもなし、最後まで読みきろうかどうしようか逡巡中。

ベンヤミン全集『パサージュ論』
これは趣味。いや、文学よりも血わき肉おどる感じ。ベンヤミン興奮病。ただあまりベンヤミンやヴィトゲンシュタインやデリダで興奮していると、現実生活に戻ってこれなくなるから…話が通じる友達がいないよう~という疎外感やら世界が虚像に見えるやら…困ったことになるから、温和な本を同時に読んで思考を中和させます。