やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

吉水弁財天のご利益

2010-03-21 | 
東山の朝はうぐいすの声で目が覚めた。
あまりに大きく聞こえたので夢かと
思ったくらい。

東山の旅館吉水をチェックアウトして、
出たところに小さな弁財天があった。

ひょいと入って拝んで出ようとした時に
竹ぼうきで掃いているおじいさんがいた。

「ご苦労さんです」って声かけたら、
「ここは舞妓はんとかお参り来はるんですよ。
裏に重要文化財があるけど見はりました?」
って言われたので、ついでに見に行くことにする。



細い路地を通って裏に出ると、
山際になっていてこれまた細い小径。

12体の小さなお地蔵さんが並んでいる。
眺めていると、いつの間にかさっきの
おじいさんが傍に来ていた。

「この仏さん達は2年前に近くの工事現場で
見つかりましてね。ここにちょうどおく場所が
あったので、お坊さんとも相談して並べさせて
もらったんですわ。」

「その頃バイクと接触事故をして足首が
ひん曲がりまして、痛くて医者にみせたら
手術せな治らんって言われまして。」

おじいさんは左足の足首あたりを、
指で示してはった。



「バイクの人は保険に入っていたので、
手術代とかは問題なかったんですが、
この歳で手術はかなわなんなぁと」

「この12体の仏さんに祈ってましたら、
不思議に治りましてん」
「それは、よかったですねぇ」
そういうことって起こるんだなぁ。
祈りの強さとだけで説明できないものを感じる。

「それから毎日掃除に来るようになったのです」
「それはいい話ですねぇ」



その後もおじいさんは、隣の水遣り場が枯れたので
修験する人も来なくなったこと、法然上人の時代から
使われていた井戸の蓋を開けながら、もう井戸水が
枯れてしまったことを教えてくれた。

この界隈が吉水という名前の由来は、よい水がでるから
だそうだ。吉水も枯れるとは、何かを僕に知らせ
たがっているのだろうか。

「世の中変わりました、もうロボットの時代ですから」
「ロボットのおかげで便利になっても、水がなくなったら
生きていけませんで」

おじいさんと出会ったおかげで、記憶に残る
弁財天になった。ますます吉水が好きになっていく。

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