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ねがうこと、ゆだねること

#2 建築の潮目トークイベント槇文彦×塚本由晴×真壁智治

2015-06-26 | 建築
真壁さんが蔦屋代官山で建築本に関する鼎談イベントを
された。去年(2014年)5月の1回目に次ぐ2回目。建築
に関する本にまとわる話をしようという企画。

今回は大御所・槇文彦さん、中堅で人気のアトリエ・ワ
ンの塚本由晴さん、と真壁智治さんの鼎談。



槇文彦さんは建築界の大御所であり重鎮であり、名前は
わからなくても、彼が設計したヒルサイドテラス、京都
国立近代美術館、スパイラルといった建物は好きな方も
多いのでは。

問題になっているオリンピックに向けた新国立競技場へ
の代替案の提案をされたことでも話題になってはるが、
御年88歳!信じられない。

国内外で建築プロジェクトが現在も進行中だというし、
ゆっくりとユーモア交えながら、相手の話も受けなが
ら、本質を語ろうとする姿には感銘を受けっぱなし。



イベントの趣旨はこちらに譲るとして、建築物の話は殆
どなく、建築界や建築家のとりまく状況の変化がテーマ。

建築業界も産業化と専門化が進んでいることの危機感。
グローバリゼーションと移動の自由がその背景にある。

塚本由晴さん曰く、(その土地の固有のもの、固有の様
式である)バナキュラーな建築はどんどん失われていっ
ている。

建物の作り方に関心が高い依頼主はほんの一握りで、多
くは建物はお金を払い、建築家や建築会社(もしくは不
動産デベロッパー)に任せればできてしまう商品となっ
ている側面が強くなっている。

建築家は、コーチ役として依頼主の発想や家の記憶を探
しだすことではなく、ひたすら専門性の中に入って、機
能や便利性中心の建築に邁進していっている。



槇さんによれば、アトリエ建築家といわれる人達も、数
は力という産業化の論理に、特に海外はそうなっている
と。

新国立競技場のコンペに勝ったザハ・ハディド、アップ
ル新社屋等の設計したノーマン・フォスターはそれぞれ
700人、1500人の巨大設計事務所だと聞いて驚く。

ザハにとっては、東京の新国立競技場はワンオブゼンに
過ぎず、それをありがたがって、しかも高い税金を投入
することになれば、悲劇であり喜劇だと。

アトリエ建築事務所は、その名の通り少人数の世帯で、
コンペに挑むとなれば所員一丸となって知恵と情熱を注
いで入魂の作品を生み出す・・というイメージはそうい
った産業化し巨大化した設計事務所にはもはやあるまい。



彼らからの若い人たちへのメッセージが、民兵でいこう、
軍隊に入るな、ということだった。軍隊に入ると、上官
のいうことは無条件に聞かなければならないから。

言語や言語学、記号論が建築に与える影響の話も面白か
ったけど、勇気をもらったという若い設計家も多かった。

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