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真壁智治『ザ・カワイイヴィジョン』発刊トーク×隈研吾×佐藤卓

2014-05-27 | 建築
この3月末に発刊された真壁智治さんによる『ザ・カワイイヴィジョン』
のことはここに書いたけど、発売記念トークがツタヤ代官山である。3人
の鼎談だったんだけど、建築家・隈研吾さんとデザイナー佐藤卓さんとい
う大御所をお招きするという豪華なもの。

隈研吾さんが本書の帯の推薦文を、佐藤卓さんが装丁でサインを手がけは
った関係なんだけど、真壁さんとは旧知の仲。




刺激的だったし飾ったところがなく本音トーク満載だった。とくに面白か
ったのが、まず本書の位置づけ。2000年以降の建築の新しい動きを「カワ
イイ」という言葉で真壁さんは考察してきはった。

それに対して、行動心理、メディア、人間関係をやってるサイドからはガ
ンガンくるんだけど、建築界からは殆ど反応がないことの理由がわかる。



もっとも語るにふさわしい、藤森照信(元東大教授)さんは建築史の専門
で脂ものった時に、自身で設計を手がけて売れっ子になる。設計をしだす
と他人の建築のことを書かなくなる、書けなくなるもんだそうだ。

反モダニズムとして、1960年代以降の建築を特徴づける『ポスト・モダニ
ズム』という言葉を生み出したチャールズ・ジェンクスはランドスケープ
の設計をするようになって、批評をしなくなったそうだ。

『錯乱のニューヨーク』『S,M,L,XL』を著したレム・コールハースもしかり。
小説家と小説批評家は兼任できないどころか対峙するものだから。



建築にはパラメータが多過ぎるから、設計プロセスを記述することは時間が
なくってできない、それをやってるのが真壁さんの作業だ、とか。

隈研吾さんも佐藤卓さんも所内でのワークではカワイイ、カッコイイ、モッ
タイナイという言葉は頻繁に使うけど、クライアントには使わない、とか。

歴代の東大建築教授がカワイイという言葉での批評を知ったらどう言うだろ
うかという真壁さんの妄想も大笑いだったし、新国立競技場への批判も的を
えていて共感。

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