やまねこマッサージ

ねがうこと、ゆだねること

ケーキとsweets

2010-08-05 | 
いろいろたてこんでてかなり忙しい。
とくに映画は〆切の連続を迎えている。

そういうときに限って本に手が伸びる。
頭が逃避したいのかもと理由をつけながら
ちょっと罪悪感をかかえながら読むのが
楽しいんだなぁ。この意識は学生の試験
勉強の時とあまり変わってない。



ぱらぱら読んでたのは江國香織のエッセイ
『とるにたらないもの』そう、この
ささやか感がたまらなくいい。
その短い一篇に「ケーキ」がある。

ケーキという言葉が喚起する幸福感が
好きだという話。「それは、具体的な
一個のケーキとは、いっそ無関係と
いっていい。」と。



この一文がデンマーク人に
いわれた一言を思い出させた。
その頃デンマークへ打合せに数回いける
という幸運な仕事をしていた。

好きなものの話になった時に、
デンマーク人の若い女性が
I love sweets!
と歯を横に大きくあけて
幸せそうに叫ぶように言ったことを。

それ以来ぼくにとっての「ケーキ」は
「sweets」だ。その甘美な幸せ感が
デンマークの思い出とあいまって
僕を包む。

ちなみに『とるにたらないもの』は
「すばる」に1998~2003年と長きに
わたって連載されたもの。手元にあるのは
2003年7月30日発行初版。ちょうど
7年前のものだ。