M210706 ATOM スモールフランジQR 36H ハブ
フランス北部ノルマンディのInchevilleで1909年、モーリス・マイヨールによりマイヨール(メイラード)社は、フリーホイール・ハブ・ペダルの自転車部品を製造する工場として創業され、息子ピエールの時に社業は発展しました。第二次世界大戦中、ドイツにより工場は爆撃を受けるほどで、1960年代アトムとノルマンディを買収した頃には、住人を上回る2000人以上の労働者がおりました。1970年代莫大な量のハブとフリーホイールを生産し、スポーツ車の標準仕様としてラレーやドゥーズの大手メーカーに納入されていました。またこの時期、ノルマンディのラージフランジハブは大流行し、イギリスのロン・キッチンは、アトムとノルマンディのコピー製品をミルレモブランドの下、直接製造していました。ヌフシャテルアンブレイとアビービルに子会社を持っていましたが、その後、プジョーグループに売却されました。1980年代イタリア製コンポーネントパーツに対抗し、マイヨール700シリーズが登場。また、カンパニョーロ・シマノに対抗するフランスパーツメーカーの統合ブランド「スピデル」が発表され、プジョーの車体に使われてツール・ド・フランスで活躍しましたが、1990年代、セディス・ユーレー等と共にドイツ・ZFザックスに吸収されました。
出品のATOMのハブは、ハブシェル本体は軽合金、Q中空アクスル/Q貫通シャフト軸は共に鋼製、Q中空アクスル長・後122mm/前98mm、36H、実測重量526g。Q貫通シャフト軸レバーに「M.M ATOM」の刻印がありますが、ハブシェル本体には全くの「刻印無し」になります。本当に ATOMかな?……と思うところですが、1960年代初期の製品とAなりに行き着きました。
このハブは1969年頃、外国自転車部品輸入卸業者より購入したランドナー車(当時はツアー車)の車輪を構成していたものです。リムはアラヤのタコ穴3/8×26、1/2アメ色セミオープンタイヤが装着してあったと思います。そんなにも部品にこだわりがあった訳でもなく、ハブの銘柄にまで気にしませんでした。結構ハードな乗り方をしましたので、フランジのスポーク穴はそれを物語っております。
杉野鉄工所の1965年代頃のカタログには、
「輸入品 自転車のメッカ、本場フランスのトップメーカーM.MAILLARD社と日本の技術を代表する゛杉野 ゛が提携、ノックダウン生産を開始します」として、「スギノ アトム スポーツハブ QR(アトム M.M)サイクリング、レースに良し 51Og」
とのコマーシャルがありますが、Aはスギノ アトムを見たことはありません。時期的に前後しているATOMのハブ、出品の「刻印無し」ハブは何か関係があるのでしょうか? ATOMのラージフランジハブ、ノルマンディのスモールフランジハブはどこかにあるのでしょうか?
出品のハブは、同種のものを2つ所持しております。他のもう1つは、フリー側スペーサーが少し違っております。前後ハブのスポーク穴に使用感が多分に現れております。ハブシェルはコンパウンドで研磨、アクスルとQシャフト軸回りは真鍮ブラシ掛け、Qシャフトパーツは「花咲かG~」で浸け置き洗浄しました。リヤは回転滑らかですが、フロントはゴリ感があります。メッキ部分で一部くすみとザラつきがありますが、ブラシ掛けで著しいサビは見当たりません。グリースの状況はわかりません。年代物の中古品ですので、細かいキズ・サビ・擦れ・汚れにつきましては、ご理解願います。メイン写真のものが全てになります。ヒビ・割れなどは認められませんので、車輪組み付けは可能と判断します。他サブ写真等を参考の上、ご購入下さい。重ねて、M.M ATOM刻印のシャフトレバーは付いておりますが、ハブシェルにはメーカーを確定する刻印は全くありません。非常なレアものかも?
(ATOM SFQRハブ メイン写真)
(ATOM SFQRハブ Qシャフト軸のM.M ATOM刻印 サブ写真1)
(ATOM SFQRハブ フランジスポーク穴 サブ写真2)
(ATOM SFQRハブ 横写真 サブ写真3)
(ATOM SFQRハブ フリー側写真 サブ写真4)