ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(48)空白の瞬間

2017年01月05日 20時09分44秒 | 日記

ちいチヤンの家から少し離れた近所の家に、赤ん坊が生まれました。

おばあちゃんは、ちょくちょく赤ん坊の顔を見にいきます。

その日、

ちいチャンは、おばあちゃんと一緒に赤ん坊の家に行きました。

おばあちゃんは、赤ん坊を抱いて玄関の階段を下り、庭に出ます。

ちいチャンも、おばあちゃんに付いて庭に出ました。

少しして、おばあちゃんが、

「ホラッ!ちいチャンも抱っこしてごらん。」

と、言って赤ん坊をちいチャンに渡します。

ちいチャンは、赤ん坊を抱くのは初めてでした。

赤ん坊は、思ったよりも重くて、でも、頑張って抱いていました。

「おばあちゃん、重くなって来た...。」

と、ちいチャンが言うと、おばあちゃんは、

「じゃ、お母さんの所へ連れて行ってあげなさい。」

と、言います。

ちいチャンは、おばあちゃんに赤ん坊を渡したかったけれど、

(お母さんの方がいいのかな。)

と思い、玄関の階段に足をかけました。

玄関の階段は、ちいチャンの膝より高く、赤ん坊を抱いての階段は、上るの

が大変でした。

「よいしょ!」

なんとか一段目を上り、二段目に足をかけた時ちいチャンは、赤ん坊の重み

でバランスを崩し、赤ん坊を抱いたまま、階段から転げ落ちてしまいました。

家の中からは、赤ん坊のお母さんが、庭からはおばあちゃんが、慌てて飛ん

で来ます。

ちいチャンは、階段から落ちた後の事は覚えていません。

ちいチャンが、赤ん坊をしっかり抱いていたので、赤ん坊は無事のようでし

たが、ちいチャンはどうなったのか、ちいチャンは覚えていません。

数日後、肘や膝には広い範囲で、黒いかさぶたが出来ていました。

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