ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(11)「おばあちゃんのミシン」

2022年02月11日 18時55分11秒 | 日記
ちいチャンの家には、ミシンがあります。
ミシンは机のようになっていて、イスに腰かけると足を乗せる所が、四角になっています。
その四角い足のせ台を前後に踏むと、ミシンが動くのです。
足のせ台を踏む前に、ミシンの右側にある丸いドーナッツみたいなものを、手前にクルッ!と回さなければいけません。
ミシンには、自転車のタイヤのようなものが付いていて、そこにベルトが掛けてあります。
ベルトは、丸いドーナッツみたいなものにつながっていて、おばあちゃんがミシンを踏むと、グルグル回ります。
時々、そのベルトは外れたりするので、おばあちゃんは、掛け直すのが大変です。
そのベルトは、びろ~んとのびてる時があって、その時はベルトの交換です。
ある日、おばあちゃんは、大きな巻物のような布を、部屋の奥から出して来ました。
布の端を持って、巻物をころがし、何枚かの大きな布に切り分けました。
それから、ミシンでカタカタと縫い始めました。
(何を作るのかなぁ。)
ちいチャンは、おばあちゃんのミシンの側で、おばあちゃんが何かを作っているのを見ていました。
おばあちゃんのミシンは、朝から始まり、昼が過ぎ、夕方までかかりました。
何枚かの大きな布、それは、縁側のカーテンでした。
おばあちゃんは、踏み台に上がると、1枚1枚取り付け始めました。
新しいカーテンです。
縁側は、ずうっーと長いので、カーテンが何枚も必要です。
それから長さも、長く必要です。
おばあちゃんは、両開きにはしないで、柱から柱までを1枚、柱から柱までを1枚、と、作りました。
これは、カーテンを開けたり閉めたりするのに、とても便利でした。
閉める時、カーテンを持って、ずんずんずんと縁側を歩きます。
すると、ふたつめのカーテンにたどり着き、またそのカーテンを持って、ずんずんずんと歩きます。
朝、カーテンを開ける時は、一番奥から開けて行きます。
閉めた時と、反対方向へ歩きながらカーテンを開けて行きます。
すると、ふたつめのカーテンがそこにあるので、カーテンの端を持って、また開けて行きます。
新しいカーテンが嬉しくて、ちいチャンは、カーテンの裏へまわると、モコモコモコとカニさん歩きをしました。
カーテンは、新しい布の匂いがしました。

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