ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(60)『ティッシュ、トイレットペーパーが無かった頃』

2013年09月29日 10時49分52秒 | 日記

ちいチャンの町には、トイレットペーパーやティッシュペーパーというものが、あ
りませんでした。
鼻をかむ時などに使う箱入りティッシュペーパー、外出する時に持ち歩くポケツト
ティッシュ、トイレのトイレットペーパーなどは、全部に“ちり紙”が使われてい
ました。
“ちり紙”は、B5版ほどの大きさです。
茶の間の、ハエ叩きや新聞やメガネの置いてある出窓の所には、四角い箱が置かれ
ていて、その中に“ちり紙”が入れてあります。
四角い箱に入った“ちり紙”は、おじいちゃんの座るすぐ側や、おばあちゃんの鏡
台の側、そして、トイレにもそれぞれ置いてありました。
近くの雑貨屋さんには、“ちり紙”がひとまとめの束になって売っています。
紐で結ばれていて、1メートル位の高さです。
おばあちゃんは、両手にひとつずつ買って、持って帰ります。
ちいチャンのポケットには、四つ折りにした“ちり紙”が、いつも入っています。
家ではいつも、しわ加工をしたみたいな“ちり紙”を使います。
おばあちゃんは、街に出かける時や結婚式のお呼ばれの時などは、桜紙みたいな透
き通った“ちり紙”を、バッグの中に入れて行きます。
それは、しわ加工の“ちり紙”より、少し値段が高そうに見えました。
ちいチャンは、お姫様の“ちり紙”みたいな、おばあちゃんの“ちり紙”を、ちい
チャンも持ちたいなあと思いました。
おばあちゃんから少しもらって、鼻をかんでみるとその“ちり紙”は、フニャフニ
ャとはしてなくて、少し鼻が痛いでした。
(この“ちり紙”は、鼻が痛くなるからいらない。)
お姫様の“ちり紙”みたいな“ちり紙”は、おばあちゃんのお出かけ用で、ちいチ
ャンには、しわ加工の“ちり紙”の方が、使いやすいようでした。