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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

地がき論文、投稿完了

2008-01-18 | 研究ノート
・Iくんから地がき論文に関する修正ファイルが送られてきたので、投稿原稿の最終チェック。いよいよ投稿作業に入るが、結局、完了できたのは12時過ぎ。慣れているつもりでも、やっぱりこの電子投稿という作業は時間がかかる。しかし、今回の改訂で、この論文は主題がかなり明確になったと思う。審査者のコメントに対応したところと、対応しなかったところの両方があるが、いずれにしても、このような改訂ができたのは審査者のコメントによるところが大きい。素直に感謝しつつ、今度こそ、受理されることを祈って待つのみである。頑張れー!

・もう一つ、はまりまくっているヒノキ論文の修正作業。審査結果が送られたときには、頭が真っ白になっていたのだが、2人の審査者は実にきちんと見てくれている。そのコメントに答えていくと、しっかりとImproveされていくのが分かる。イントロはほぼ全面改訂となりそうである。色んな雑誌に出すうちに、研究動機をイントロで位置づけることを見失っていたので、ナンゴウヒを前面に出して、そもそもなんでこの研究をしたいと思ったかをがっちりと書く。さらに、クローン識別は既に行っているので、思い切って、マーカーの識別能力などに関する記述は削除する。

・結果について、Parentageを改めてやり直してみると、前回の結果で少しミスがあったことが分かった。なんと、20のうち半数以上がとあるクローンの子供である可能性がある。血縁度の値とも非常によくマッチしており、流れがよくなった。ついでに、ヌルアレルを考慮した解析も試みるが、結果は変わらないようだ。問題は、審査者の一人に指摘された”枝変わり”の基準のところである。これについては、茨城のTさんと相談し、計算をお願いすることに・・・。ここのところ論文執筆では苦戦続きだが、決して悪い評価ばかりではないので、闘いつづけることが一番大事(なはず)である。

静電気

2008-01-17 | 研究ノート
・昨晩から冷え込む予感がしていた。北国では、放射冷却は前日の夜から始まるのである。案の定、富良野の最低気温はマイナス25度であった。どんな世界かといわれると表現が難しいが、雪を踏んだときの音とか呼吸をしたときの鼻の感じとか全く違う。朝出勤するころまでは、すごい濃霧である。ライトを点灯しながらおそるおそる進む。

・地がき論文の修正続く。成木のNMSをやめて、更新木だけにした結果、自分で言うのもなんだが、実に分かりやすくなった。また、Total densityをGLMMに組み込んだことで結果的に流れが悪くなっていることが分かったので元に戻す。この2つの改訂でさらにタイトになった。印刷して見直していくと、アブストとかで細かいが致命的なミスを発見。危ないところだ。まだまだ注意が足りないなあ・・・。



・年末に”電子秤”の調子が悪くなったのだが、安定しないのはトレーに帯電した静電気のせいではないか、という噂(?)を聞いたので、とりあえず簡易型の除電器を購入。どんな仕組みになっているのか、取り扱い説明書をいくら読んでも理解できない。しかし、付録でついているセルロイドのたこの足を帯電させた後、この除電器を使うと足がまっすぐになるのは面白い。

・4時15分から帯広のH氏による講演会。菌根菌について分かりやすく説明していただくとともに、樹木園の苗畑で3年にわたって行っていただいた研究について解説していただいた。苗畑では、これまでにあまり知られていない菌類が優占しており、雪ぐされ病の拡大防止にも何らかのよい影響を及ぼしているかもしれないとのこと。野外の攪乱地と苗畑の菌種は異なっており、苗畑の菌種が卓越するのは、苗畑特有の栄養条件と殺菌剤によるセレクションが関与している可能性を示唆する内容となっている。土の中の世界も意外な事だらけで、実に興味深い。

データマイニング

2008-01-16 | 研究ノート
・育種センターのTさんとのブナ・データ解析の打ち合わせ。新しいデータが揃ったということで早速データ解析をしようとするが、データ形式がすぐに解析できる形になっていない。こんなときこそ、Rを使っての縦横変換的なデータマイニングが便利。・・・。Rを使い始めてだいぶ経つのだけれど、相変わらず、この作業が苦手なままである。既にIくんに書いてもらっていたコードをやりくり(?)しながら、ようやくデータ形式が完成。データ形式さえ出来上がってしまえばこっちのもんだ。後は”ちょちょいのちょい(死語?)”である。

・それにしても、データが勝手にカテゴリー変数に指定されてしまったり、今ひとつ、この辺りの対処法が分からない。いったん、csvファイルに書き出して、もう一度読み込むという荒技。うーむ、我ながら美しくない。サイトと調査年をランダム効果にして緯度とハプロタイプの効果を混合モデル(lmer)で調べる。最近の(?)lmerはとりたてて問題なく走っているのはいいのだが、固定効果の推定値はどこに仕舞い込まれているのか!?この辺りもどうにも苦手な分野だ。

・前回は混合モデルにしたとたんに、ハプロタイプやクレードの効果はちりと消えてしまったのだが、今回はいずれのモデルでもこれらの遺伝データが重要なファクターとして検出されるようだ。やはりデータがきれいに出揃ったことが大きいのだろう。産地の緯度だけでなく、遺伝データも表現型を予測するのに重要だという話になるのだろうか・・・。各ハプロタイプの分布や性質を考察すると、もう少し話は面白くなりそうだ。

シンクロ

2008-01-15 | 研究ノート
・岐阜と筑波からほぼ同時にブナに関するメールが送られてきて、一瞬、混乱してしまった。全く異なる依頼内容だったのだが、こういうことって、不思議とシンクロするもんだ。

・一つは投稿論文に対するコメントが欲しいということだったので、お昼前までにコメントをまとめてメールを送信。全体的によくできているし、プレゼンもいいと思うのだが、そもそも何のために研究をするのかがイマイチはっきりしない。やはり、論文の”売り”をもう一度はっきりさせた上で、研究の位置づけができれば”勝ち”だと思うんだけど・・・。

・それにしても、当方のチェックに慣れていない人にとっては、これらのコメントにはやっぱり”びっくり”しちゃうかも(けっして、悪くはないので気を落とさないよーに)。ところで、この原稿には、フィンランドのTeijo NikkanenからもらったD論が関係しそうである。ということで、改めて読んでみると、D論の第6章がまさに重要そうだが、この時点では投稿中になっている。ヤツ(?)のことだから、投稿中のままにするはずがないと思っていたら、案の定、ちゃんと論文になっていた。Nikkanen T., Pakkanen A. & Heinonen J. (2002) Temporal and spatial variation in airborne pollen and quality of the seed crop in a Norway spruce seed orchard. Forest Genetics 9: 243– 255.えらい。

・この論文で対象としているのは13haのヨーロッパトウヒ採種園で67の精英樹クローンで構成されている。ここに70個ものPollen samplerを設置して花粉密度の時空間的分布を押さえたのがこの論文である。そのほか、風のデータや種子の有胚率や他殖率などとの関係も調べている。これを見ると、かなり空中花粉というものが時空間的に変化することがわかる(ことに時間的な違いは明瞭だ)。地道な研究だけど、参考になりそうである。

・いよいよ地がき論文の修正にかかる。その前に、失われた3サイトの成木データを調べる。今まで見ていなかったファイルボックスからついに成木データを発掘。こんなところにまとめられていたとは・・・。しかも、糊付けとかされていて丁寧にかかれているのだが、こんなことでもなければ発掘されることはまずなかったであろう。当機関の古いデータは実に危ない状態である。

・とりあえず、データを差し替えてやり直してみる。だいぶ記憶が薄れているので、細かい解析の部分が分からずに悪戦苦闘。Iくんに連絡を取ろうとするもつながらず、よく見たら彼は遠く標茶にいるのであった。なんとか出てきた結果を見てみると、数値は変わっているものの有意な要因とその効果は同じだ。よかった。ということで、3サイトのデータ外挿の必要もなくなり、気分は爽快である。調子に乗って原稿の改訂も行い、こちらでできる部分は完了。明日、チェックをしてもらうことになった。

雪国暮らしの特権

2008-01-14 | その他あれこれ
・昨日までとは打って変わって、風がぴたりと止んだ。急にスキーにでも行くかという話になり、子供と二人で10時半にスキー場に向かう。わずかに10分で到着。こんなにいい加減な計画でスキーに行けるところは雪国暮らしの特権である。スキー場では、バスケット関係者といきなり遭遇してしまう。知り合いが多くなったもんだ。

・昨年までは、子供は一人では滑ることができなかった。そこで、今回は何とか一人で滑ることができるかが課題である。緩い斜面でいきなり曲がり方を教えて、一人で滑らせてみる。しばらく怖がっていたが、こけながらも果敢に挑戦するうちに、右や左に曲がる感覚をつかんだようだ。2回目の滑りでは、かなり長い距離を滑ることができた。



・今日は風もなく、スキー日和である。さらに、雪質も最高で、実に滑りやすい。それにしても、子供の1年の成長ってすごいねえ。去年は散々の”へたれ”だったのだが、急に楽しくなったらしく、子供はまだ滑りたがっていたが、気がついてみるともはや12時過ぎである。こうなりゃ、毎週スキー特訓だ。

くじ運

2008-01-13 | その他あれこれ
・中富良野にてバスケット練習試合。強豪Nチームとの対戦であったが、1点差まで迫る内容だった。少しずつ新チームの実力がアップしている(のか?)。いずれにしても、これからが楽しみである。1月末の冬季大会の抽選会に家族で行く。当方が抽選会に行っている間に、家族は近くのお店などで時間をつぶしていた。

・問題の抽選だが、抽選前の段階で既に2つのリーグは埋まっており、どちらかしかない状態。ここで狙い通りのリーグに入ることができれば文句なしなのだが、当方のくじ運は悪い。案の定、強豪ひしめくリーグに入ってしまう。会場はやや遠い上に、唯一の3日間みっちりの試合である(それだけたくさん試合することはできるわけだが・・・)。あまりの不運さに、ブロックの他のチームが同情してくれて、試合開始時間を1時間遅らせてくれた。

・さすが、おみくじ"平”は伊達ではない。とか言っている場合じゃない。みんな、すまーん。座布団試合を期待するしかないわけで・・・、頑張っておくれ。

ブリザード

2008-01-12 | その他あれこれ
・雪は少ないのだが、寒い。ことに今日は風が強く、こうした日には体感気温はぐっと下がってしまう。子供をプールに連れて行く途中でガソリンを入れようとすると、給油口が凍って開かない。街はブリザードで見通しが悪い。



・バスケットの次期役員への引継ぎ準備。H19年度の活動内容を眺めていると、実に色んな行事があったことに改めて気がつく。なんと言っても練習試合とイベントの数が飛躍的に増えたなあ・・・。そろそろ来期の活動計画と予算案も考えないといけない時期である。

・どうしても公園に遊びに行きたいということで、3時すぎに近くの公園へ。子供は雪を集めた山から滑り降りたり、雪だまを投げたり、転がしたりと実に楽しそう・・・。さすが、富良野生まれの雪ン子である。

モノトーン

2008-01-11 | Weblog
・今回の出張は長期間だったこともあり,荷物が実に多い。ということで,ホテルのある茅場町から浜松町に先に荷物を預けに行く。MSN路線によれば地下鉄2回とJRというのが一番よい行き方のようで,茅場町→日本橋→新橋→浜松町と乗り換える。幸い,そこまで混んでいなかったので何とか大きな荷物を抱えて移動できた。しかし,思ったよりも山手線が空いていて驚く。ちょっとした時間の差なのだろうか・・・。

・10時から学生のD論発表会を聴講し,そのプレゼンが終わると同時に講義へ急ぐ。スライド・プロジェクターを持っていったのだが,教室には既に備え付けられており,コードをつなぐだけでよかった。持って行ったコードが短くて悪戦苦闘していると,気のいい学生がさっと長めのコードを調達してきてくれる。それにしても,便利な世の中になったものである。

・講義は10時40分から12時10分までの1時間半である。学生の出席人数は7名。珍しく遅れてくる学生もいない。講義内容は,今までとは構成を少し変えて,遺伝的多様性の重要性とその計算方法から始めてみる。こうした計算はやはり実データが一番分かりやすい。ということで,アカエゾマツの遺伝子型データを使って計算をしてもらって,3つのタイプの集団を比較する。小数点以下の細かい計算だが,そこは東大生だけあって,涼しい顔(?)でやってのけている。中にはなぜか電卓をもっている学生もいる(何で持っているんだ??)。また時代を反映してか,携帯を計算機にして計算している学生もある。

・しばらくテキストとスライドで講義をした後,今度は種子のサイズの多様性と散布能力について,実際のタネの飛び方を見せながら簡単なレポートを作成させてみる。この問題については,最終的な答えは言わずに宿題にする(というか,時間がなくなった・・・)。こうしたことをやっているとあっという間に時間が過ぎて,最後の林木育種の部分はかなりの駆け足になってしまった。

・今回の学生達は例年に比べて,とても熱心だったこともあるのだろうが,今までのこの講義の中では,最後まで一番ちゃんと聴いていてくれたのではなかろうか。やっぱり実物があるといいし,参加型じゃないと寝ちゃうよね。もっと工夫をして,さらに面白い仕掛けを考えていくべきであろう。

・2時半過ぎの飛行機に乗り込む。気がつくと既に飛行機は北海道の上にある。これまで華やかな世界にいたのが、急に色が白と黒の世界になっている。東京ではダウンジャケットをほとんど使わなかったのを考えるとこの差はでかい。

ロードレース

2008-01-10 | その他あれこれ
昨晩、近藤史恵著のサクリファイスという小説を読んだ。サクリファイスは”犠牲”という意味でどんな内容なんだろうという気にさせるタイトルである。

・この小説の存在を知ったのは、「このミス」で上位にランキングされたからである。元々スポーツを題材とした小説は大好きなので、これも好きではないかと思って手に取ったものだ(単行本なのでちょいと高い、1500円)。案の定(?)、ページを開いたとたん、あっという間に引き込まれて一気に読んでしまった。

・題材としているのは、自転車ロードレース。ロードレースには”エース”と”アシスト”という役割があるのだが、その役割分担の”非情さ”や”強い想い”を主軸に物語は展開していく。二転三転とする真実。内容を書いてしまうと、まだ読んでいない人に悪いのでこれ以上は書けない・・・。

・なぜかは分からないのだが、小説を読み終えた瞬間、ばたんと閉じた小説を持ったまま、意味もなく部屋を歩き回ってしまった。そして、目頭が熱くなった。こういう小説が書けた時って、どういう気持ちになるんだろう・・・。ともかく、おススメです。スポーツ小説が好きな方はぜひ!

自転車専用道路

2008-01-09 | 研究ノート
・昨日はD論審査会。午前に1つと午後に1つ。2つとも採種園に関連するテーマだったでので、久しぶりに育種にどっぷりとつかった感じである。それはいいとして、コメントや質問を英語で言わなければいけないので、こっちの方が緊張してたりして・・・。とにもかくにも、審査会自体はつづかなく終了し、ほっと肩の荷が降りた気分である。終了後には、育種センターの面々と久しぶりに再会。近況など聞くことができて、なかなか楽しかった。わざわざD論発表会のために上京してくれたとのことで、有難いことである。

・再び、講義に気持ちを切り替える。が、あまり切り替わらないままに、遅々として準備は進まない。とりあえず、FEMの審査を片付ける。reviewer loginをすると、今回の査読をあわせて2個の論文、4件のレビューを完遂したことが分かる。これだけ貢献しているんだけど・・・、ねえ。次いで、Hくんのトドマツ更新論文、要旨が字数オーバーということで、もう一度削りなおして送信。今度こそ、ほぼ”いける”のではなかろうか。



・東京駅界隈をそぞろ歩いていると、何やら見たことのない看板が・・・。うむ?歩行者と自転車を分けるラインのようだ。そういえば、朝のTVニュースでやっていたような・・・。しかし、歩行者達はラインを気にするでもなく、どちらのゾーンも適当に歩き、方や自転車もそのような暴走歩行者をすいすいと避けており(むろんラインを超えて・・・)、何やら不思議な光景である。

・地がき論文を再チェック。全体として”Improve”されたように感じる。指摘事項を検討する中で、だいぶタイトになってきたのではないだろうか。イントロの一部など、少々ミスがあったので修正。考察の構成も一部練り直し。更新密度の表を復活させた方が良さそうということで、体裁を整える。一通りできたので、Iくんに送る。こうして往復する中で少しずつ完成度が高くなっている(はずだ)が、最終的には北海道に帰ってからの過去のデータと文献のチェックが必要である。