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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

1959年に設定された試験林の整備

2007-01-12 | フィールドから
・1959年に設定された東山の育種樹木園へ総勢8名で出かける。昨年末から系統名を記載した看板がだいぶ取れているというのは確認していたので、その整備と間伐の方針を決めるための現地検討。

・ところで、本州の人たちからしてみると、富良野の冬は雪に閉ざされており、技術スタッフはゆったりと室内作業しているようなイメージがあるかもしれない。が、実はここにとっては、冬こそ野外の仕事の本番である。ササが雪の下に隠れて、見通しも最高。スノーシュー(要するに、かんじき)を履いて、ほとんど毎日、現場へと通っているのである(冬は雨で行けないということもほとんどないし・・・)。



・この育種樹木園は、種数、系統数が多く、細かく配置されている。中でも、カラマツ類、カンバ類、トウヒ類、マツ類が主である。カラマツ類は長野や信州産の産地試験林となっており、ずいぶんと樹高成長がよい。こうした試験地では系統ごとの個体数が少ないことが多い、うかつに間伐すると貴重な系統が消滅してしまう。かといって、手を入れないと間伐手遅れとなりがちである。試験地のわきに育種種子採取用の採種園があったらしいという情報があり、聞いたことがないねえといいつつ行ってみる。



・おそらく大正時代に植栽したのではないかと思われるカラマツの大径木がちらほらとあり、そのうち1本は接木してクローンを保存した番号がついている。確かに、採種園として使われていたらしい。そのうち1本にははしごがかけてあり、これを使って何度も木登りをしたらしき気配。先人たちの仕事の一端を見ることに・・・。

・マツ類では、ヨーロッパアカマツやヨーロッパクロマツだけでなく、レジノーサマツ、コンコルタマツなどもある。さらには、センブラマツ、ポイケマツなど聞いたことがないような変わったマツも登場。細々と生き残っているんだが、こういう変なやつに限って「採取したい」などというリクエストが入ったりして、「どこにあったっけ?」と大騒ぎになるんだよねえ。



・ゲートのすぐ左脇にモミ属の交雑試験地なるものがあり、看板があったりする。トドマツとシラベの交雑など。うーむ、こんなものがあったのか。ちょっと歩くと、色んなものが飛び出してくるものだ。Iさんからモミにつく”膏薬茸(こうやくたけ)”なるものがあり、これがついている林は暗すぎることの証である、という話を聞く。これまた初めて聞く話であるが、ちょっとフィールドに出ると色んな発見があって面白い!