・来年の林学会や生態学会の登録や連絡など,バタバタと作業に追われる.今年は,生態学会ではシンポジウムで連続分布するトドマツの標高に対する適応反応について,森林学会では,多様性を配慮した森林管理のセッション(初参加)で,同じく標高別に設定した地がき試験地における樹木種の更新反応について,発表する予定となった.どちらも,過去の試験地を掘り起こす,「眠れる森の試験地」プロジェクトの一環(勝手に自分で言っているだけだが・・)である.考えてみると,どちらも遺伝マーカーとは無関係なところが何とも・・・.
・そういえば,先日の新春座談会で討論した内容をFさんがまとめてくれた原稿が届いていたのだった.締め切り間近ということで,自分の発言内容を慌ててチェックする.いやはや,録音テープというのは恐ろしいもので,不用意発言やら,挑発的発言やら,がしっかり掲載されている.このままではいくらなんでもまずいだろう,ということで,作為的にならないように気をつけながら,危険な発言を削除したり,説明不足な表現に必要部分を追加したり・・・.まさに,自業自得である.午前中にようやく修正作業は完了したが,これでも問題になりそうだ.しかし,もともと”不用意発言要員”として召集されたのであろうから,それも仕方なかろうと開きなおる.
・気分を変えて,倒木上トドマツの親子解析を進める.この研究では,葉緑体と核の両方のマーカーを使っているので,実生や稚樹の年齢にかかわらず親子解析ができるのが強みである.ついでに,小径木の親子判定もしてみると,大部分が候補木以外となっている.これには,二つの解釈が考えられる.一つは,実生から稚樹へとステージが進む段階で,近距離種子散布由来の実生に強い死亡率がかかり(逃避仮説的なもの),結果として5ha以外から散布されたものだけが残っているというもの.もう一つは,既に小径木の親は死亡し,世代が入れ替わっているというものだ.
・これらは二律背反ではないが,今のところ,2つ目の解釈の方がよりリーズナブルだと考えている(1つ目の解釈の妥当性は,小径木の遺伝構造を見れば想像がつきそうだ).Tさんによると,岩魚沢近辺では台風前は巨大なトドマツが多数あったが,1981年の台風でかなり消失したらしい.また,樹型から考えても,岩魚沢の成木個体群は割合と若いのではないか,とTさんは推測している.S氏とも,岩魚沢の森は,比較的最近(最近の定義が問題になるわけだが・・・)の攪乱後に成立したのではないか,という議論をしたことがある.
・ここで問題になるのは,トドマツの世代交代がどの程度で起こるか,ということである.こうした研究は遺伝関係の論文を調べてもなかなか出てこないが,個体群統計学の分野では,結構な蓄積があるようだ.北畠ら(2003,日林誌85:252-258)では,択伐施業によってトドマツ個体群の回転時間がどう変化するか,という文脈で回転時間に関する考察が行われている.ここでは,針広混交林の森林の回転時間として,125年(Kubota 2000)や222年(日浦ら1995)という推定値が引用されている.また,トドマツ優占群落では90-120年程度(浅井ら1986)であり,トドマツの寿命は150年~200年という報告(石川1993)もあるようだ.
・ここまで考えると,やはり小径木の年齢を知りたくなるな・・・.これも既存研究を調べれば,ある程度はサイズと年齢の関係に見当がつきそうだが,言うまでもなく,おかれた環境によって相当のばらつきがありそうだ.倒木上の稚樹では30cm程度になるのに既に15年を経過しているものも観察されていることを考えると,胸高直径10~15cm程度で50年生を超えるというのはざらにいそうだが,その先は想像の域を出ないな.しかし,うーむ,伐採木の円盤でも集めてみるか・・・.
・そういえば,先日の新春座談会で討論した内容をFさんがまとめてくれた原稿が届いていたのだった.締め切り間近ということで,自分の発言内容を慌ててチェックする.いやはや,録音テープというのは恐ろしいもので,不用意発言やら,挑発的発言やら,がしっかり掲載されている.このままではいくらなんでもまずいだろう,ということで,作為的にならないように気をつけながら,危険な発言を削除したり,説明不足な表現に必要部分を追加したり・・・.まさに,自業自得である.午前中にようやく修正作業は完了したが,これでも問題になりそうだ.しかし,もともと”不用意発言要員”として召集されたのであろうから,それも仕方なかろうと開きなおる.
・気分を変えて,倒木上トドマツの親子解析を進める.この研究では,葉緑体と核の両方のマーカーを使っているので,実生や稚樹の年齢にかかわらず親子解析ができるのが強みである.ついでに,小径木の親子判定もしてみると,大部分が候補木以外となっている.これには,二つの解釈が考えられる.一つは,実生から稚樹へとステージが進む段階で,近距離種子散布由来の実生に強い死亡率がかかり(逃避仮説的なもの),結果として5ha以外から散布されたものだけが残っているというもの.もう一つは,既に小径木の親は死亡し,世代が入れ替わっているというものだ.
・これらは二律背反ではないが,今のところ,2つ目の解釈の方がよりリーズナブルだと考えている(1つ目の解釈の妥当性は,小径木の遺伝構造を見れば想像がつきそうだ).Tさんによると,岩魚沢近辺では台風前は巨大なトドマツが多数あったが,1981年の台風でかなり消失したらしい.また,樹型から考えても,岩魚沢の成木個体群は割合と若いのではないか,とTさんは推測している.S氏とも,岩魚沢の森は,比較的最近(最近の定義が問題になるわけだが・・・)の攪乱後に成立したのではないか,という議論をしたことがある.
・ここで問題になるのは,トドマツの世代交代がどの程度で起こるか,ということである.こうした研究は遺伝関係の論文を調べてもなかなか出てこないが,個体群統計学の分野では,結構な蓄積があるようだ.北畠ら(2003,日林誌85:252-258)では,択伐施業によってトドマツ個体群の回転時間がどう変化するか,という文脈で回転時間に関する考察が行われている.ここでは,針広混交林の森林の回転時間として,125年(Kubota 2000)や222年(日浦ら1995)という推定値が引用されている.また,トドマツ優占群落では90-120年程度(浅井ら1986)であり,トドマツの寿命は150年~200年という報告(石川1993)もあるようだ.
・ここまで考えると,やはり小径木の年齢を知りたくなるな・・・.これも既存研究を調べれば,ある程度はサイズと年齢の関係に見当がつきそうだが,言うまでもなく,おかれた環境によって相当のばらつきがありそうだ.倒木上の稚樹では30cm程度になるのに既に15年を経過しているものも観察されていることを考えると,胸高直径10~15cm程度で50年生を超えるというのはざらにいそうだが,その先は想像の域を出ないな.しかし,うーむ,伐採木の円盤でも集めてみるか・・・.