で、MD問題はどうなったの?
< ロシアとの関係「リセット」を主張するオバマ米政権は、サイロ
型の迎撃ミサイル基地を設置するブッシュ前政権時代のMD計画
を改め、イージス艦や地上配備型迎撃ミサイルSM3を地中海や
ルーマニア、ポーランドに段階的に配備しNATOのMD計画と一
体化させる方針を打ち出した。
新しいMD計画はイランの中距離弾道ミサイルを想定しているた
め、ロシアの大陸間弾道ミサイルを撃墜することは不可能だ。>
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(同上)
でも、なんでアメリカ、NATOはロシアと関係を改善したいの?
これは、イランの核問題やアフガニスタン問題でロシアの協力が必
要だからです。
↓
<一方、NATO側がロシアとの関係改善を急いだ背景には、パキ
スタン経由のアフガンへの物資輸送がイスラム原理主義勢力タリ
バンにより危険にさらされ、ロシアの領域通過が必要になってきた
事情がある。>
(同上)
ロシア側は、「ウクライナ・グルジアのNATO加盟」「MD問題」二つ
の問題が解決されたので、NATOと和解する。
欧米は、「イラン、アフガニスタンでロシアの協力が必要」なので、
ロシアと和解する。
で、今回何が決まったの?
<北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)は19日、ポルトガル
の首都リスボンで開いた首脳会議で、今後10年の活動方針を示
す新戦略概念を採択、イランなどの脅威から欧州全域を守るミサ
イル防衛(MD)の構築を明記した。
20日はアフガニスタン問題について協議、治安権限の同国側へ
の移譲を来年から開始し、2014年末までに完了する「出口戦略」
で合意した。>
(産経新聞 11月21日)
簡単に書くと、
1、欧州全域を守るMDを構築する
2、NATOは、2014年末までに治安権限をアフガニスタン政府に委
譲する
NATOにとってのアフガン戦争は14年で終わると。
▼状況の根本的変化
上に書いたNATO-ロシア和解の理由は、確かにそのとおりでし
ょう。
しかし、もっと根本的な理由もあります。
08年、プーチンの思惑どおり、アメリカ一極世界は崩壊しました。
世界の運営も、アメリカを中心とするG8から、G20に移行した。
多極世界の到来です。
しかし、天才的戦略家プーチンにも、一つだけ誤算がありました。
それは、リーマンショック以降、原油価格が140ドル台から30ドル台
まで大暴落したこと。
世界最大のエネルギー消費国アメリカ発の経済危機が起これば、
原油価格が下がることはわかっていた。
しかし、ここまで超大暴落するとは。
で、どうなったか?
ロシア経済もアメリカと一緒に沈んでしまったのです。
ロシア経済は1999年から08年まで、年平均7%程度の成長をつづ
けてきた。
それが、09年はマイナス7.9%。
一方、「倒幕運動」を共に盛り上げてきた中国。
こちらは、一人勝ちの様相。
アメリカから「これからはG2(米中)で世界を運営しましょう」などと
おだてられ、増長している。
そう。
ロシアにとって、没落したアメリカは仮想敵NO1ではない。
これからは、中国こそが仮想敵NO1である。
では、どうするか?
巨大化する中国に勝つには、ロシア一国ではどうにもならない。
欧米と和解し、共同で立ち向かうしかない。
日本人の大部分は、「中ロ関係は非常に良好」と考えているでしょ
う。
たとえば、尖閣漁船衝突事件の後に、メドが北方領土を訪問した。
中ロは、一体化しているように見える。
しかし、この二国の同盟は、決して強固ではありません。
一方、欧米もロシアと同じように考えている。
欧米は、「劉暁波(さん)のノーベル平和賞授賞式に出席するな!」
と全世界を脅迫する中国を、
「なんだろう、この国は・・・」
と「怪物」「異物」を見るような思いで観察している。
欧米にとっても、GDP世界2位に浮上した一党独裁国家・中国は、
仮想敵NO1なのです。
NATO首脳会議の直前、ロシアのテレビで欧州エリートのインタビュ
ーが流れていました。
ある人が面白いことをいっていた。
「われわれにとってロシアは重要だ。
アジアのクレイジーな強国が攻めてくる可能性だってあるからね」
アジアのクレイジーな強国。
もちろん、北朝鮮ではないでしょう。
日本であるはずがない。
インドでもない。
そう、アジアのクレイジーな強国とは、中国以外にあり得ない。
欧米がロシアとの和解に踏み切った背景には、「ロシアを中国の防
波堤として使おう」という意図がある。
NATOとロシアの和解。
これは、私が常々書いている「中国包囲網」はじめの一歩なのです。
ここまで↑
クライン孝子氏によると、
このNATO包囲網には、日本、台湾、韓国そしてインドをもくみこもうという動きがでてきているそうです。
更にアメリカは中国のライバルであるインドの国連常任理事国入りを本気ですすめようとしています。
着々と中国包囲網が広がっています。
< ロシアとの関係「リセット」を主張するオバマ米政権は、サイロ
型の迎撃ミサイル基地を設置するブッシュ前政権時代のMD計画
を改め、イージス艦や地上配備型迎撃ミサイルSM3を地中海や
ルーマニア、ポーランドに段階的に配備しNATOのMD計画と一
体化させる方針を打ち出した。
新しいMD計画はイランの中距離弾道ミサイルを想定しているた
め、ロシアの大陸間弾道ミサイルを撃墜することは不可能だ。>
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(同上)
でも、なんでアメリカ、NATOはロシアと関係を改善したいの?
これは、イランの核問題やアフガニスタン問題でロシアの協力が必
要だからです。
↓
<一方、NATO側がロシアとの関係改善を急いだ背景には、パキ
スタン経由のアフガンへの物資輸送がイスラム原理主義勢力タリ
バンにより危険にさらされ、ロシアの領域通過が必要になってきた
事情がある。>
(同上)
ロシア側は、「ウクライナ・グルジアのNATO加盟」「MD問題」二つ
の問題が解決されたので、NATOと和解する。
欧米は、「イラン、アフガニスタンでロシアの協力が必要」なので、
ロシアと和解する。
で、今回何が決まったの?
<北大西洋条約機構(NATO、加盟28カ国)は19日、ポルトガル
の首都リスボンで開いた首脳会議で、今後10年の活動方針を示
す新戦略概念を採択、イランなどの脅威から欧州全域を守るミサ
イル防衛(MD)の構築を明記した。
20日はアフガニスタン問題について協議、治安権限の同国側へ
の移譲を来年から開始し、2014年末までに完了する「出口戦略」
で合意した。>
(産経新聞 11月21日)
簡単に書くと、
1、欧州全域を守るMDを構築する
2、NATOは、2014年末までに治安権限をアフガニスタン政府に委
譲する
NATOにとってのアフガン戦争は14年で終わると。
▼状況の根本的変化
上に書いたNATO-ロシア和解の理由は、確かにそのとおりでし
ょう。
しかし、もっと根本的な理由もあります。
08年、プーチンの思惑どおり、アメリカ一極世界は崩壊しました。
世界の運営も、アメリカを中心とするG8から、G20に移行した。
多極世界の到来です。
しかし、天才的戦略家プーチンにも、一つだけ誤算がありました。
それは、リーマンショック以降、原油価格が140ドル台から30ドル台
まで大暴落したこと。
世界最大のエネルギー消費国アメリカ発の経済危機が起これば、
原油価格が下がることはわかっていた。
しかし、ここまで超大暴落するとは。
で、どうなったか?
ロシア経済もアメリカと一緒に沈んでしまったのです。
ロシア経済は1999年から08年まで、年平均7%程度の成長をつづ
けてきた。
それが、09年はマイナス7.9%。
一方、「倒幕運動」を共に盛り上げてきた中国。
こちらは、一人勝ちの様相。
アメリカから「これからはG2(米中)で世界を運営しましょう」などと
おだてられ、増長している。
そう。
ロシアにとって、没落したアメリカは仮想敵NO1ではない。
これからは、中国こそが仮想敵NO1である。
では、どうするか?
巨大化する中国に勝つには、ロシア一国ではどうにもならない。
欧米と和解し、共同で立ち向かうしかない。
日本人の大部分は、「中ロ関係は非常に良好」と考えているでしょ
う。
たとえば、尖閣漁船衝突事件の後に、メドが北方領土を訪問した。
中ロは、一体化しているように見える。
しかし、この二国の同盟は、決して強固ではありません。
一方、欧米もロシアと同じように考えている。
欧米は、「劉暁波(さん)のノーベル平和賞授賞式に出席するな!」
と全世界を脅迫する中国を、
「なんだろう、この国は・・・」
と「怪物」「異物」を見るような思いで観察している。
欧米にとっても、GDP世界2位に浮上した一党独裁国家・中国は、
仮想敵NO1なのです。
NATO首脳会議の直前、ロシアのテレビで欧州エリートのインタビュ
ーが流れていました。
ある人が面白いことをいっていた。
「われわれにとってロシアは重要だ。
アジアのクレイジーな強国が攻めてくる可能性だってあるからね」
アジアのクレイジーな強国。
もちろん、北朝鮮ではないでしょう。
日本であるはずがない。
インドでもない。
そう、アジアのクレイジーな強国とは、中国以外にあり得ない。
欧米がロシアとの和解に踏み切った背景には、「ロシアを中国の防
波堤として使おう」という意図がある。
NATOとロシアの和解。
これは、私が常々書いている「中国包囲網」はじめの一歩なのです。
ここまで↑
クライン孝子氏によると、
このNATO包囲網には、日本、台湾、韓国そしてインドをもくみこもうという動きがでてきているそうです。
更にアメリカは中国のライバルであるインドの国連常任理事国入りを本気ですすめようとしています。
着々と中国包囲網が広がっています。