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えすみの日記

ふつーの主婦ですが、日本の未来を真剣に考えたい!

中国内部の深刻な分裂

2010-11-23 10:20:13 | 外交、国際関係
中国はウチもソトもガタガタになりつつあるという記事です。

以下転載↓


中国知識人の分裂状態は深刻
宮崎正弘

 ▽

 九月七日の事件発生以来、尖閣問題は日本ばかりか世界の関心を集める。
 とくに欧米ならびにアジアのマスコミは、傲慢中国を非難する傍ら、日本の弱腰な対応ぶりに批判的論調が目立った。
 船長釈放の交渉を有利にするため反日デモをやらせたり、フジタの社員を拘束したり、レアアース輸出を中断したりした。慌てて日本政府は船長を釈放し、ヴィデオの公開をためらい(あまりのことに画像がネットに流出したが)、ひたすら中国に平身低頭、この位負け外交は多くの国民を失望させた。いまや日本人の中国嫌いは世論調査をみても異様に高い。

 さて尖閣騒ぎの最中、ノーベル平和賞が08年憲章を立案した中国の知識人を代表する劉暁波に与えられるという椿事が発生し、人権批判の嵐に中国は世界に孤立した。
 しかも中国の国内世論が賛否両論、真っ二つに別れたことに注目すべきであろう。
 北京で知識人らが祝賀集会を行おうとすれば公安が妨害、劉夫人との接触も出来なくなりスウェーデンの受賞式典には代理人出席がなされるもようだ。
 だが中国の知識人のなかに劉暁波の平和賞を冷ややかにみているグループがある。
 「中国の知識人」と一括したが、ノーベル平和賞騒ぎで図らずも露呈したのは趙紫陽失脚以後の政治改革失敗のあと、経済繁栄にうつつを抜かしているかにみえた中国の知識人が三つに別れ、それぞれのグループが民主化のチャンスを待っていることだ。

 第一グループは体制内革新。つまり共産党が徐々に体質改善してゆき、政治が改革され、多数政党制に移行しうるという趙紫陽残党の流れである。ゴルバチョフ型改革を志向しており、政治改革を主唱する。この勢力に対して守旧派が陣取る人民日報などは凄まじい批判を展開している。江沢民ら上海派とも先鋭的に対立している。

 第二グループは「自由・民主・人権・法治」の中国民主化を実現しようとする思想的運動(海外に亡命した『中国之春』など)の流れで、その象徴的指導者=王丙章博士は無期懲役を受けて広東省で服役している。このグループは趙紫陽残党の体制内革新に興味がなく、共産党独裁体制の打倒。したがって劉暁波の受賞を冷ややかに見ている。

 第三グループは「新左翼」と呼ばれる毛沢東礼賛組だ。ややアナクロだが、権貴社会(権力者が富を独占し貴族化。貧富の差が拡大し矛盾が蔓延している)を批判するため農民、国有企業を馘首された人々、軍・警察OBなどの不満派を吸収し、この流れにのって次期指導者争いに乗り遅れた薄き来が一種のクーデターもどきに次期執行部中枢入りを狙う。
 つまりマルクス主義の理想、毛沢東の原理に回帰して腐敗堕落した現体制を旧態へ転覆させようとするラジカリズムが基本だ。
 突き詰めれば反政府姿勢にも見えるが社会の不満の吹きだまりである。警察と軍のOB、就労に溢れた農民工、職のない学生らがそれを爆発させようと機会を狙うアドホックで未組織な勢力である。しかし義和団的であり、ときに攘夷的、或いは暴力的な反日に熱狂し、むしろ権力闘争に利用されやすい。かくて中国知識人の混乱もつづく。

 (この文章は「北風抄」(『北国新聞』、11月16日からの再録です)