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古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

少女胸像 三坂制氏作「佇」

2010-07-08 07:05:37 | 静物(彫像・置物・人形など)
近くの川崎市・新百合ヶ丘エルミロード(イトーヨーカドー)の前にある、女性の胸像です。
夢を見ているような、幸せを感じているような、そんな、ほのかな気持ちを醸し出す雰囲気。
彫刻の作者は、三坂制氏。 作品名は「佇」と刻んでありました。

「佇(たたず)まい」とか「佇(たたず)む」ではなく、「佇」の一字。微妙な日本語。

「佇」の意味について、手もとの辞書やネットなどで調べてみました。

「佇まい」は、辞書には、立っている様子、そこにあるものの様子や雰囲気とあります。
ただ、この種言葉の専門家によると、上の意味にとどまらず、更に深くて味わいある言葉だと。

たとえば、その対象(ここでは胸像さん)には、
訴えている何かがあったり、
その場全体の雰囲気を作り出したり、その場と一体となったり、

・・・こういうことが大事であって、トータル、これらをも、ひっくるめた意味として初めて、「佇まい」という言葉が使えるのだ、とも。

「佇む」も、辞書には、しばらくその場に立っていること、立ち止まることとありますが、趣意は上と同じでしょう。

英語ではどうか。
「佇まい」は、“atmosphere”(空気、雰囲気)や“appearance”(外見、様子)といささか味気ない。
「佇む」に至っては“stand”や“stop”と全くそっけない。
日本語の微妙なニュアンスはむずかしいようだ。とても深い意味は出てこない。


また、ネットで調べていましたら、推理小説家の夏樹静子さんの作品に「湖に佇つ人」
というのが出ていました。
作品の名前は、「湖に立つ人」ではなく「湖に佇つ人」。
なぜ「佇つ」なのか? そこは、いかにも推理小説らしい。
“その湖には推理の謎を解く重要なヒントがありますよ”という一種の、暗示の“雰囲気”
を伝えるために“佇つ”なる漢字を当て、
これを<たつ>(standに通じます)と読ませている、との解説(趣旨)。
推理小説のネーミングに「佇」が一役かっているとは、面白い世界。


さてこの胸像さん、すくなくとも私は、客の一人として、彼女を見るたびに、
ほのかな、にっこりする雰囲気を感じながら、店に出入りしています。
おそらく、ほかの多くのお客さんもそうでしょう。

立派に「佇」の役割を果たしている。




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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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勉強になりました。 (mori)
2010-07-08 10:19:30
幸せそうな雰囲気がよく出いていると思います。それにしても漢字の奥深さというか持つ意味合いはすごいですよね。日本人独特のとらえ方かもしれませんが。イトーヨーカ堂も自分の店内でお客様に「佇」を期待したのでしょうね。
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