おばあちゃんの誕生日

今日はおひな様。
と同時に一緒に長年住んでいたうちのばあちゃまの誕生日だ。
毎年、実家の両親から送ってもらうお祝い金で近くにあるステキなフランス料理のお店でフルコースを食べてお祝いしていた。
当日は粋なワンピースとアクセサリーを身につけて、玄関にハンドバックを置いて”いつでもＯＫよ”と言わんばかりに私の帰りを待っていた。

フォークとナイフもとても上手に使い、前菜からお肉、魚・・・デザートまでしっかり食べていた。

８７才まで気丈に生きた明治の生まれのこの祖母は、終戦のちょっと前にパートナーを亡くし、その後子ども二人を女で一つで育てました。
父に聞くと、色々苦労はあったものの亡くなるその日まで、毎日毎日をとても丁寧に送っていたような気がします。

お嬢様だったこともあり、身だしなみはきちんとしていて、年を取って家から出ない日でも朝起きると、毎日鏡の前できれいにお化粧して髪をといていました。
誰にも会わない日など化粧など絶対しない私なのでとても感心していました。
家の中もいつもきちんと整頓されていたので、たまに２階へあがって私の部屋を見て「○○さん、まあどうしたの、この部屋は？掃除をないと」とよく言われてたなあ。

祖母が亡くなって、家の中を整理していたらおじいさまの遺品がたくさん出て来たのですが、その中に直径１センチにも満たない消しゴムがありました。おじいさまが使っていた５０年前の消しゴムです。いつも筆箱に入れて自慢げに私に「これはおじいさまが使っていたものなんよ」と大事にお守りみたいに入れていました。

ほんの１０年も満たないくらいにしかおじいさまと一緒に過ごせなくてその後半世紀以上も１人でいたのに、思い出しては食事の時に話をしていたのを思い出しました。

傍から見たら、淋しそうに見えても祖母にとってはいつも１人ではなかったのだなあと思いました。

大事に思える人がいることはその人にとって本当に大きな力となります。
大事な人を大切にしたいですね。