
1.天狗党
これは大映映画の昭和44年芸術祭参加作品。山本薩夫監督、主演仲代達也。
時代を幕末にとって、こういう血生臭い社会派映画(?)が撮られたというのも1969年という時代が反映されているということか。
天狗党というのは水戸藩尊皇攘夷派の実在した言わば撥ねっ返り分子の一派で、一時は百姓・町民を巻き込んでの総勢1,000名以上の挙兵は一種社会運動的体裁も帯びるが、やがては水戸藩から邪魔者扱いされ、幕府徳川慶喜からは『朝敵』とされ討伐の対象とされ滅びる。投降した残党らの、那珂湊での三百数十名に及ぶ斬首は有名。水戸というところは徳川御三家の一つだが近親憎悪的(?)内部対立が激しく外部と闘う以前に内部抗争で消耗してしまった印象が強い。
cf.水戸学・水戸幕末騒乱(水戸天狗党の乱)
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2.荒ぶる魂たち
前の週に見た『新・仁義の墓場』と同じ三池崇史監督作品である。あれよりはマシだったが、私はこういう映画は全然いいと思わないんだけど、かかる単純暴力物が持て囃される風潮も確かにある。私に言わせれば北野武作品も同列の部類で、私は彼の監督としての才能など全然認めていない。フランスやイタリアであんな素人映画を持ち上げるのは、彼の国々は既に斜陽で傾きかかっていて、活力も何もないからだろうと決め付けてかかっているのである。笑。
例えば、問答無用でいきなり銃で撃ち殺すといった映画の一シーンがそれほど衝撃的なのだろうか?
『事実は小説より奇なり』というが、ヴェトナムではかつて南政府側高官(?)が捕縛した解放戦線容疑者の頭をいきなり拳銃で撃ち抜く映像が世界に向けて発信されたこともあって私にはこちらの現実の方が比較にならない程衝撃だったのである。
欧米で評価されると日本でも評価されるというのは明治維新以来の(いやもっと以前からの?)わが国の慣行ではあるが・・。
『奴は敵だ。敵は殺せ』(埴谷 雄高)
敵を殺すと決めてかかっている側にあっては問答無用の射殺など別段珍しくはないだろう。むしろ殺す側と殺される側が最後に対峙する場面でああだこうだ能書きを述べ合うことの方が遥かに不自然かつ不合理で『説明的』過ぎるのである。そんなのはテレビの2時間ドラマの愚劣な世界だ。
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3.男はつらいよ『寅次郎恋愛塾』(1985年)
シリーズ第35作。マドンナ役は樋口可南子。
寅さんは最近一つずつ遡ってここでは上映されているが、12月はどうなるかな。w
寅さん映画では人の死とか犯罪とかいった人生の暗い側面を表立って扱うことはまずないが、この作品ではその禁を破っている。終わり方も正月のテキヤ稼業=いわゆるタンカバイを持って来ていなかったりで、ちょっと異色かも知れない。ご当地も二つある♪
そろそろ『釣りバカ』もやって欲しいなあ。笑。『釣りバカ』は漫画の原作を読んでいる人は漫画の方が良かったりするらしいが、私は原作は殆ど知らない。
『男はつらいよ』は元々テレビドラマが出発点にあって、何回まであったか知らないが恐らく数回で終わり、沖縄に渡った寅がハブに咬まれて最期を迎えるのである。
これが映画へ移植されて日本の盆と正月には欠かせない国民的行事(?)になってしまった。尤も監督自身の希望としては途中何回も『これで最後』としたかったらしいが、松竹の圧力に負けたのか、結局渥美清本人の死まで計48作も作り続けたわけである。
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天狗党 - goo 映画
荒ぶる魂たち(2001) - goo 映画
男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(1985) - goo 映画
これは大映映画の昭和44年芸術祭参加作品。山本薩夫監督、主演仲代達也。
時代を幕末にとって、こういう血生臭い社会派映画(?)が撮られたというのも1969年という時代が反映されているということか。
天狗党というのは水戸藩尊皇攘夷派の実在した言わば撥ねっ返り分子の一派で、一時は百姓・町民を巻き込んでの総勢1,000名以上の挙兵は一種社会運動的体裁も帯びるが、やがては水戸藩から邪魔者扱いされ、幕府徳川慶喜からは『朝敵』とされ討伐の対象とされ滅びる。投降した残党らの、那珂湊での三百数十名に及ぶ斬首は有名。水戸というところは徳川御三家の一つだが近親憎悪的(?)内部対立が激しく外部と闘う以前に内部抗争で消耗してしまった印象が強い。
cf.水戸学・水戸幕末騒乱(水戸天狗党の乱)
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2.荒ぶる魂たち
前の週に見た『新・仁義の墓場』と同じ三池崇史監督作品である。あれよりはマシだったが、私はこういう映画は全然いいと思わないんだけど、かかる単純暴力物が持て囃される風潮も確かにある。私に言わせれば北野武作品も同列の部類で、私は彼の監督としての才能など全然認めていない。フランスやイタリアであんな素人映画を持ち上げるのは、彼の国々は既に斜陽で傾きかかっていて、活力も何もないからだろうと決め付けてかかっているのである。笑。
例えば、問答無用でいきなり銃で撃ち殺すといった映画の一シーンがそれほど衝撃的なのだろうか?
『事実は小説より奇なり』というが、ヴェトナムではかつて南政府側高官(?)が捕縛した解放戦線容疑者の頭をいきなり拳銃で撃ち抜く映像が世界に向けて発信されたこともあって私にはこちらの現実の方が比較にならない程衝撃だったのである。
欧米で評価されると日本でも評価されるというのは明治維新以来の(いやもっと以前からの?)わが国の慣行ではあるが・・。
『奴は敵だ。敵は殺せ』(埴谷 雄高)
敵を殺すと決めてかかっている側にあっては問答無用の射殺など別段珍しくはないだろう。むしろ殺す側と殺される側が最後に対峙する場面でああだこうだ能書きを述べ合うことの方が遥かに不自然かつ不合理で『説明的』過ぎるのである。そんなのはテレビの2時間ドラマの愚劣な世界だ。
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3.男はつらいよ『寅次郎恋愛塾』(1985年)
シリーズ第35作。マドンナ役は樋口可南子。
寅さんは最近一つずつ遡ってここでは上映されているが、12月はどうなるかな。w
寅さん映画では人の死とか犯罪とかいった人生の暗い側面を表立って扱うことはまずないが、この作品ではその禁を破っている。終わり方も正月のテキヤ稼業=いわゆるタンカバイを持って来ていなかったりで、ちょっと異色かも知れない。ご当地も二つある♪
そろそろ『釣りバカ』もやって欲しいなあ。笑。『釣りバカ』は漫画の原作を読んでいる人は漫画の方が良かったりするらしいが、私は原作は殆ど知らない。
『男はつらいよ』は元々テレビドラマが出発点にあって、何回まであったか知らないが恐らく数回で終わり、沖縄に渡った寅がハブに咬まれて最期を迎えるのである。
これが映画へ移植されて日本の盆と正月には欠かせない国民的行事(?)になってしまった。尤も監督自身の希望としては途中何回も『これで最後』としたかったらしいが、松竹の圧力に負けたのか、結局渥美清本人の死まで計48作も作り続けたわけである。
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