本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

乳牛哀れ?

2005-02-12 09:53:44 | 社会
 昨日の夕方、関西のローカル番組で乳牛の一生についての取材を紹介していた、という話をしようとしていたら、とんだ邪魔が入ったのであった。オホン。では、改めて。

(数字は正確ではないので、詳細については御自分でお確かめ下さい。)
 それによると、乳牛は生後16ヶ月で成牛と認められ人工授精させられる。強制妊娠させられるのである。乳牛とはいえ、妊娠しないことには乳は出さない。乳牛が乳を出さないと私たちは牛乳を飲めないから、乳牛には本人(?)の意思に関わらず、どんどん妊娠して貰わなければならないわけである。

 で、出産直前まで搾乳機による乳搾りが続けられ、いざ出産を終えると2ヶ月間の産後休暇の後またもや人工授精を施される。そういうサイクルが3~4回繰り返されると流石に乳の出が悪くなり、悪くなった乳牛は経済効率が悪く、同じ飼料を与え、同じ世話をするならより乳の出の良い乳牛に切り替えるのが当然の理となる。酪農家は何も動物愛護の慈善事業をしているわけではないのである。

 それで最早用済みとなった彼女にはされ肉牛となる運命だけが待っているのであって、市場に出回る牛肉の約50%はこれらの元乳牛の肉らしい。
 私のこれまでの記述はかなり牛を擬人化していたが、この取材に当たった牛乳大好きという女性アナウンサーも「同じ女性として身につまされる」とのコメントを挟んだ。しかし私たちはそこまで言ってはいけないかも知れない。

 他の生命を食べ続けることなしには一日たりとも生き永らえることの出来ない私たちであるが、かつて宮沢賢治は『ヴィジテリアン大祭』の中で、
「あなた方は肉食反対というが、あなた方がそうして呼吸しているだけでも、実際空気中のバクテリアを殺し続けているのだから、所詮程度の問題に過ぎないではないか?」という肉食派の主張に対しては、
「その、程度の問題こそが重要なのだ。哺乳類が同じ哺乳類を殺して食べるのと、空中の微生物を呼吸によって殺すのとでは全然意味が違う」と菜食主義者に反論させている。
(引用は全く不正確です。)

 いずれ人類が地球脱出を試みる時代が到来すれば、私たちは肉食はおろか米や小麦をも食さないで済むことになるに違いないと私は漠然と思っている。さもないと巨大なノアの箱舟が無数に必要になるからである。


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