本家ヤースケ伝

年取ってから困ること、考えること、興味を惹かれること・・の総集編だろうか。

2010年日本映画:『アウトレイジ』。

2014-08-27 21:55:22 | 
 全員悪人
下克上、生き残りゲーム・・・北野武が描く究極のバイオレンス

製作: 2010年/日本
監督: 北野武
出演: ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、三浦友和
再生時間: 109分

 巨大なやくざ組織『山王会』の幹部が集まる総会で、池元組の組長は本家の若頭の加藤に呼び出され釘を刺される。池元は弱小ながら姑息なやくざ村瀬組と陰で組んで動いていたのだ。加藤は池元に村瀬を締めるよう指示される。そんな厄介事が起こると呼び出されるのが池元の配下にいる大友組の組長である大友。大友は村瀬のシマに事務所を構え、嫌がらせを開始した。村瀬組の若頭の木村は不祥事を起こした若い組員の指を持って大友に謝罪に出向くが、大友に顔面をめった切りにされてしまう。そんな弱小のやくざたちの諍いを、陰でコントロールしているのは山王会会長の関内。大友たちは関内の手の中の駒にしか過ぎないのだ。調子の良い事ばかり言っては、大友を振り回す池元にたいして、大友はついにブチ切れる・・
c2010『アウトレイジ』製作委員会

 cf.公式サイト
 ☆画像

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 昨日バケツリレーに関するたけし発言を取り上げた関係で、ああそうだ、pictionにもまだ見ていない映画が何本か残っていたなと、今更ながら思い当たった。私はスルーしていたがpictionには北野武監督作品の特別枠があったのだ。あれは確か今回見る予定の後編「ビヨンド」の方だったか、私は一度見始めてすぐ中止したのだった。ヤクザたちがなんやかや最初からごたごた密室で言い争う場面の連続が、私には煩わしく鬱陶しかったからである。5分くらいで切ってしまったように記憶している。

 彼の監督としての才能の有無については私自身はやや懐疑的である。というよりも、「世界の北野」と日本で騒がれること自体が何となくいかがわしく感じられるのだ。もし欧米でこんなにまで騒がれることがなかったなら、彼の作品は日本国内でこれ程までに認知され絶賛されることなどあったろうか。そもそも、ではヨーロッパでもアメリカでも構わないが、なんでまた「キタノ」なのか?以前見た『CUT:映画のために死ね』ではないが、チャップリンやゴダールの伝統ある名画ではなぜいけないのか?キタノ作品では能書きをごたごた言う前にまず拳銃や刃物でいきなり殺してしまう。それが欧米人には衝撃であり脅威だったなどと評論家っぽい連中は我々に解説してみせるのだが、私はそのような辻褄合わせなど「そんなの有りかよ?!」と突っ撥ねたくなってしまう。そんなのは彼ら欧米人たちの『精神力』がそもそも総じて衰弱し退化しているだけの話ではないのか。

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 見終わって、特別意外という感想は持たなかった。予測していた通り、ヤクザ社会の血で血を洗う殺し合いの連続だった。『CUT』ではないがこれも「娯楽映画」の部類に入る作品なのだろうか。「殺しの方法」も私はどこで学んだのか予め教えられていた通り、「なぜお前は殺されなければならないか?!」などと欧米ギャング映画伝統の理詰めの「能書き」をグダグダ並べ立てることもなく、いきなり殺してしまうという単純明快な殺人に徹していた。しかし脚本も担当したという武監督がなぜこんな映画を撮りたかったのかという、真意というか根源的欲求は私には不明だったし、更に言うならば、なぜ欧米人たちがこぞってこのような彼の作品群に「躓いて」しまったのかという謎は私には解けなかった。こういう映画を彼らは見たかったのだろうか?

>下克上、生き残りゲーム・・・北野武が描く究極のバイオレンス

 というpictionの前口上はどうか?
 最後は確かに下克上かも知れないが、途中までの展開では「トップ」の意のまま命ずるままに云わば「上意下達」で兵隊たちは殺し殺されていった。「究極のバイオレンス」という言葉も、そう言われれば確かにその通りだろうが、私にはしっくり来なかった。
 終始陰惨で残忍な描写の連続だったが「ホラー映画」のジャンルに組み込むには無理があり、「映像美」という点では海岸風景の描写など優れた映像が随所に散りばめられていた。

 cf.今タイトルの”OUTRAGE”をYahoo翻訳にかけたら「非道行為」と出た。これをたけし風に言うならば「ひでえことしやがる」とでもなるのだろうか?w


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