さて、発足10ヶ月の民主政権への国民の中間総括だそうだが、端的に言って、メディアの大方の予想を覆しここまで自民党を押し上げてしまったのは管直人本人である。彼はかつて「官僚なんて大馬鹿ですよ!」とカメラの前でぶち上げたが、自分はそれに輪をかけた救いようのない超大馬鹿であることを今回図らずも露呈してしまったのである。私も管がここまでアホだとは正直思っていなかった。あれはもう老人ぼけが始まっているのではないか。ところでメディアが自分たちでこれまで幾度となく喧伝しておきながらなぜかこの間すっぽり欠落させてしまった重要な「世論動向」が一つある。それは十ヶ月前自民党の支持者たちは口々に「今回だけは自民党には入れない」「今回は自民党にお灸をすえる」と言っていたことである。つまり「次回も引き続き自民には投票しない」「これからは民主にする」などとは、彼ら保守層は一言も言っていなかったのである。枡添ら自民離党組はここを決定的に読み違え「自民にはもはや再生能力なし」と即断したが、それはメディアの表層的でおざなりな情勢分析を鵜呑みにしたからであって彼らは不明を恥じるしかない。彼らの連続離脱を受けてもなお自民は驚異的な回復力を示し、現有38から51へと大躍進を果たしてしまった。自民に唯一残ったスター「新次郎」が応援に入った選挙区では14勝3敗、逆に現首相・管が応援に入った選挙区では民主党候補は1勝14敗という結果である。管の一連の言行はこの「一時離反・緊急避難の保守層」を強烈に後押しして「自民回帰」へ向かわせてしまったのである。まさに「ばっかじゃなかろか」である。7月1日付の『週刊新潮』はなぜ管はここまで官僚に骨抜きにされてしまったのかを端的に暴露している。ある日国会答弁で簡単な経済用語を理解出来ず立ち往生した管に、大馬鹿呼ばわりされた官僚たちは一律サボタージュを決め込み、なんと一人も助け舟を出さなかったのである。これに懲りた彼は180度宗旨換えし、以後官僚らから日々経済学の初歩について今更ながら付け焼刃のレクチャーを受ける羽目に陥ったのであった。管の全面屈服である。財務官僚らからしてみれば、自分たちが改めて「尊敬」され国政に於ける「優位」が確保されるなら相手は自民でも民主でも構わないのである。「小鳩」を前線から放逐して以降の「民主党旧体制復古」はかくまでにもろく底の浅い体制なのであった。 . . . 本文を読む