フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

愛犬が亡くなった

2022-10-05 06:43:43 | 美しく生きるという事

前回書いてから、翌30日金曜日は休みを貰い、1日愛犬のそばに居ました。

前の日におむつとトイレシートを購入し、お漏らしに備えました。

静かな息をしていましたが、突然はあはあと荒くなることもありました。

病院に連れて行ってまた強い薬を注射されたくなかったので病院には行きませんでした。

横になって首をもたげてはしばらくそのまま、頭を戻す力が無いのだろうか、私が戻してやりました。するとすぐにまたもたげるのです。

そしてそれを繰り返すうちに布団からはみ出して、フローリングに頭をゴンと打ち付けるのです。

お風呂のマットやリビング用のマットを周りに置いて、床にぶつけないようにしました。

 

10月1日土曜日1:00頃、大量のうんちが出ました。

横になっているので、おむつからはダダ漏れ。お尻は毛ですから拭き取るのが大変でした。何回も何回も濡れシートで拭いて、またおむつを着けてやりました。

お休みと言って布団の上に置いてやり、寝に行きました。

朝、まだ愛犬は横になっていました。良かった生きていた。

その日は夫と一緒に病院に連れて行く予定でした。家事を済ませてから電話してここ数日の様子を話して出かける支度をしました。

そしてシートにくるんで『病院に行くよ』と声を掛けて抱き上げ玄関まで行ったとき、またすごい音でうんちをしたようでした。

あららら…。また床に下ろして、綺麗にしなきゃ、と拭くものやおむつを取りに行き、まさにお尻を拭こうとしている時、そばにいた夫が、舌の色が変だよ、と叫び、息をしてない、と泣きそうな声で言いました。

え?愛犬の胸を触りました。まだ暖かい。でも動いていないかも。鼻の先に手を当てました。確かに息をしていない。

恐る恐る顔を見ると、もう表情が固くなっていました。あ、死んだのだ。と思いました。

私はそれから病院に電話をしたのです。

初めての飼い犬で、どうしたら良いか分らなかったのです。

受付の女性が、息はしていませんか、と聞き、先生に見て貰うので連れてこられますか?と言ってくれました。私が愛犬を抱き車に乗りましたが、愛犬はぐにゃりとたれてしまうので、腕の中に上手く収めるのが大変でした。

生きているときも動かなくなってからは抱き上げてもぐにゃりとしていましたが、亡くなってからはさらにぐにゃぐにゃでした。ああ、あの子がこんなになってしまうんだ、ととても悲しかったです。

病院で先生は、経過が早かったから脳の方だったかな、と言って、お尻を綺麗にし、白い箱に入れて見送ってくれました。

その一週間の私の行動を改めて思い返してみると、いろんな思いがこみ上げます。

本当は病気では無く、老衰だったのではないか。だとしたら強い薬を投与せずそれなりの最期を向かえる世話が出来たのではないか、とか色々です。

そして最後に病院に行こうとしていたときですら死ぬとは思っていなかったこと。それが、飼い主としてとても傲慢だったのではないか、とか。

病院でペット葬儀屋さんを紹介して貰い、その日のうちに火葬し、お骨となって家に戻りました。

もっとお別れの時間を取っても良かったのかな、と思いますが、次の日は暑いというし、体が悪くなるのも耐えられなかったのです。

翌日曜日はゲージのあった場所に愛犬の祭壇を作りました。写真も置いて、向き合える場所が出来て良かったと思いました。

 

愛犬は私たちの仕事の事を考えて、土曜日に亡くなったのではないか。

この先介護が続くとしたらどうしよう、と考えてしまった傲慢な私がいました。

この数日間、後悔の念にさいなまれています。

先週はまだ生きていた、戻って欲しい、とそればかり考えます。

仕事場では笑いますが、家に戻ると無表情になるのが分ります。

愛犬を亡くし、これまで彼に関わっていた時間が無くなり、私たち夫婦の毎日も変わっていくのでしょう。

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