フィクション『同族会社を辞め、一から出直しオババが生き延びる方法』

同族会社の情けから脱出し、我が信ずる道を歩む決心をしたオババ。情報の洪水をうまく泳ぎ抜く方法を雑多な人々から教えを乞う。

思い出を視界に入れない

2021-09-24 07:25:39 | 美しく生きるという事

第4金曜日は不燃ゴミ回収の日。

それと、古着も持って行ってくれる。

長年着た寒い時期の上着。

すれたり、黒ずんだり、もう着ないと決めたが、

しばらく和室に放置していた。

長い間お世話になったものを処分するのは本音を言えば嫌なのだ。

ずっとそのままにしておきたい。

袋に詰めたり、古着と書いた紙を貼ったり、手間がかかる。

ずっと和室に転がっているのかなあ、と思っていたら、

不燃ゴミを片付けるついでに、服も出してしまおう、と言う気になった。

和室が少し片付いた。

雑誌を縛ったものもいくつかあったので、ゴミ捨て場まで何度か往復するか、と考えていたが、

少しずつ持って何度も往復するより一度で済ませようと思いつき、カートを出した。

そこに、雑誌、段ボール、不燃ごみを積み、古着は手で持ってゴミ捨て場にGO!

 

我が家は夫婦と犬以外誰も住んでいないので、子供達が残していったものが多少あっても私たちの生活に支障は無い。

しかし、残されたものが視界に入るに付け、いちいち当時の思い出がよみがえる。

しばし、思い出に耽る。

そこで時間が消費されてしまう。

もう生産的な時間を過ごす必要も無いのだが、思い出に浸って1日潰れてしまうのはさすがに気が引ける。

そういう意味で、子供達の残したものもだんだんに処分していくつもりだ。

まあ、ほとんど、そのうちに持って行くだの、整理に来ますだの、そんなことを言われてそのままになっているのだ。

しかし、私ら夫婦が死んだら、この家を片付けるのは子供達。

そこで彼らは、自分達が使っていた雑貨や買い集めた漫画、雑誌、それらのものを目の当たりにするだろう。

そしておそらく記憶の片隅にも残っていなかったであろうものに再会して呆然と立ちすくむだろう。

先日遊びに来た次男がそのことに気づき、これは早めに整理しないとやばい、と言っていた。

そうそう、早く整理してくれ。

 

人は、忘却してナンボの存在。

年を取って忘れっぽくなるのは良いことなのだ。

これまでの良いことや悪いことを全部覚えていたら生きるのがとても辛くなる。

そのために、身の回りの要らないものを捨て、自分の記憶の要らない部分を削除して、

軽々と生きていきたいものだ。

 

 

 

 

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