場末の雑文置き場

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「ブーリン家の姉妹3 宮廷の愛人」感想

2014年01月31日 | 小説

エリザベスとダドリーにひたすらイライラし、ダドリーの妻エイミーがひたすら可哀想な話。

エイミーは誠実な人なのに、ダドリーみたいなロクデナシのためにいろいろ思いつめてしまうのが切ない。一度は毅然とダドリーに反旗を翻して、ダドリーが唖然となる。ざまあと思ったんだけど、結局はまた元に戻ってしまう。

ダドリーはエイミーを何も考えていないバカな女だと思っていたんだけど、本当は違った。夫と違う意見を持っているといろいろ問題があると思って黙っていただけだった。こういうの、現代でもありそうだよな。

ダドリーが本当に嫌な奴でな。傲慢で、自己中で。農民の仕事をものすごく見下してるけど、彼らが畑を耕さなかったら、こいつが食うものだって何もなくなるのにね。顔以外にこいつ何かいいところあるんだろうか。
前作(愛憎の王冠)ではもう少しマシな人っぽく見えたんだけど、こいつに憧れてるハンナの目を通して描かれていたからなんだろうなあ。

セシルは狡猾で冷酷だけど、本当に国と女王のためを思って行動している。ダドリーをはじめ大概の側近は私利私欲にまみれているけど、彼は違う。ときには耳の痛いことを言って女王を諌めたりもする。こういう人材は貴重だ。ダドリーはいらん。
このセシルとダドリーの二人が、表面上はお互い愛想良く振舞いながら、内心では火花をバチバチ散らしているところが怖い。けど面白い。

エリザベスは、ちょっと無能っぽく描かれすぎな気もしないでもない。性格は悪くても一向に構わないんだけど、あれだけ名君として名高い(多分)人なんだからもうちょっとこう……。
若さ故の未熟さ、なのかなあ。年取ったら変わるんだろうか。


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