場末の雑文置き場

好きなことを、好きなときに、好き勝手に書いている自己満ブログ。

「逆転裁判」感想

2015年01月31日 | ゲーム

「逆転検事」シリーズをプレイしていたら、無性に過去作をまたやりたくなった。ちょうど「逆転裁判」の1~3が一本のソフトにまとまった「逆転裁判123 成歩堂セレクション」が出ていたので買ってみた。
GBA版は全てプレイ済みでまだ手元にあったんだけど、画像がどんな感じに綺麗になっているのかも気になったし、DS版に追加されたエピソードはまだプレイしてなかったし。

一番気になっていたグラフィックについて。
立ち絵は色がちょっと薄くて、線が細くなっていて多少違和感があったかな。一枚絵は違和感ない。多分綺麗になっていた。
でも意外に一番感動したのは、グラフィックじゃなくて文字。すごく綺麗。フォントが変わって、サイズも大きくなって、格段に読みやすくなっていた。これは目に優しい!

プレイアビリティは向上したと思う。2画面はこのゲームシステムに合ってる。スキップも早くなった。多分。

システムは「逆転検事」より本家のほうが面白いなやっぱり。好きな順番で捜査できるから、より「自分で動かしている」感じする。「逆転検事」シリーズの方は操作する場所の順番が固定で、そこで証拠を集めきらないと別の場所に行けなかったから「やらされてる」感は多少あったよね。
あと、「調べる」で捜査と関係ない、背景に関する無駄な会話ができるのが楽しい。逆転検事ではこの辺のお遊びが減っていて、本当に真面目に操作してるだけの感じになってたから。

特に捜査が楽しかったのは、第3話。撮影所を歩きまわって少しずつ新しい場所を開拓していくのも、みんなにいろいろなものを突きつけてみるのも楽しかった。なんでもなさそうな証拠品が物語を進めるカギになっていたりするので。
メインストーリーはそれほど印象にないけど、ゲームとしての面白さはこの第3話が一番だったかな。ギャグも一番冴えていた。

もう何年も前に一度プレイしたきりだったからか、予想以上に新鮮な気持ちで楽しめた。「逆転検事2」に山野星雄が出てきたとき、新キャラかと思ったくらいには前の話の記憶が薄くなっていたしね。

こうやって一作目を改めてプレイしてみると、やっぱり御剣はいいキャラだ。人気があるのもわかる。
御剣の魅力が一番出ているのはこの一作目だと思う。「逆転検事」シリーズよりも。
一作目では、御剣は一応「冷酷な検事」として登場する。でも御剣が憎たらしかったのって第2話だけだったような。
第3話ではギャグキャラになってたし、最後には助け舟を出してくれるし。第3話の御剣、オバチャンや少年にタジタジになっていて、むしろちょっと可哀想な感じすらした。熱いコーヒーの入った紙コップを握りつぶして大ヤケドしたりもしてたね。マヌケだ。
だからその負の面があまり発揮されていなくて、「冷酷でタチの悪い検事」と言われてもちょっとピンと来ない感はある。

御剣は若干ギャグキャラっぽいからこそいいんだろうな。あの気取った服装と口調で普通にかっこいいキャラだったら腹立つだけだと思う。
それにしても、子供の頃からあの口調だったのか御剣。可愛くない子供だ。「僕は弁護士になるのだよ」って。「のだよ」って!

ボリュームとしては、オリジナルのGBA版は第4話までしかないので、若干少ないかな。私は廉価版を買ったから気にならなかったけど、フルプライスだったら微妙な気持ちになったかも。面白いんだけどね。

そして、NDS版で追加されたらしい第5話は今回初めてプレイした。この第5話はあまり評判が良くないらしいけど、悪くはなかった。嬉しかったのは和解後の、ちょっとだけ丸くなった御剣と対決できたこと。そしてボリュームがすごかった。

難度は1~4話に比べれば高かった気がする。とにかく壷に悩まされた。それまで順調に進めてたのに、壷を組み立てるのところでまず詰まって。角度を変えてタイホ君の形にするのにも、何度も失敗した。

ラストで巴さんが、いずれまた警察だか検察だかに戻るつもりだと言っていたのにはちょっとガッカリ。自分のしたことを軽く考え過ぎなんじゃないかと。
警察関係者が私情で証拠を隠蔽するなんて、許されることじゃないと思う。妹を思ってのことだっていうのはわかるけど、それでも。脅されていたとは言え局長の悪事にも手を貸しているし。こういう人は永久追放するべきだと思うな。こういうことには厳しい態度で臨まないと、検察・警察関係者が犯罪を犯してももみ消され放題になるじゃない。

新キャラでお気に入りは罪門さん。日本人なのにカウボーイ風の、とっても変な人。何故か専用曲まで用意されている。面白くて結構好き。
犯人はいろいろあくどいことをやってきたけど、あの最後の潔さは好きだな。


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所謂リベラル派の無自覚な傲慢とユーロセントリズム

2015年01月25日 | 政治・社会

今、アパルトヘイト時代の南アフリカのことを描いたノンフィクション、「Cry Freedom」を読んでいる。

この本のメインは、目を覆いたくなるような黒人たちに対する酷い迫害や、差別と戦う人々の姿なんだと思う。だけど私にとって特に印象的だったのは黒人の指導者、ビコが白人の、リベラルと呼ばれる人たちの傲慢さを指摘するシーン。

あからさまな差別主義者はもちろん一番の敵なんだけど、リベラル派の人たちの考え方にも賛同できない。
彼らは基本的に、自分たち白人のような社会のありかた、物の考え方が正しい、優れているのだと思っている。そして白人たちと同じようになることが黒人たちにとっても幸せなんだと思っている。でも我々は(白人社会の良い面も受け入れつつも)我々自身でありたい、自分らしさを失いたくないんだ。

……というような感じのことをビコは言っているんだと思う、多分。

これ、わかる。欧米人はこういうナチュラルな傲慢さを未だに持っているように見える。特にアメリカ。世界をアメリカみたいにするのが正しいことだと本気で信じているような感じの人もいるし。

日本の所謂「リベラル」にも、ヨーロッパ的な価値観ばかりを高く評価して、他のアジア諸国やアフリカ諸国のことをどことなく見下している人は多い。

大学生の頃、東洋史の先生も言っていた。ヨーロッパ諸国が先進国になったのはつい最近だということをあまり認めたがらず、ヨーロッパ諸国がイスラム諸国や中国から受けた影響を軽視する人が歴史学の教授仲間にもいると。ギリシア文明が過大評価されがちなことも。

私が中学・高校時代に受けた歴史の授業を振り返っても、ヨーロッパ文明を必要以上に持ち上げているような感じがして、違和感があった。ルネサンスの三大「発明」の話も、「いやこれ全部、それより前に中国が発明してんじゃん」と思ったし。

その東洋史の先生に勧められて読んだエドワード・サイードの「オリエンタリズム」はそういった西洋中心主義に対する批判がこめられていた。

最近、ネットのどこかで「日本はアジアで唯一の先進国として~しなければならない」という、リベラル派らしき人の意見を見た。
その人の言いたかったことの趣旨は忘れてしまった。全体的には建設的な、私も賛同できるような意見を言っていたと思う。だけど、「日本はアジアで唯一の先進国」という部分がどうしても、どうしてもひっかかってしまったのね。
こんなことをナチュラルに言ってしまうような人の言うことを、それ以外の部分でいいことを言っていたとしても私はきちんと聞く気になれない。

韓国は? シンガポールは? 普通に先進国でしょ。特に韓国はOECDその他、ほとんどの基準をクリアしている。でも、このことを頑なに認めたがらない人がなぜかいる。アジアの中で日本だけは特別、と思いたい気持ちがどこかにあるからかな?

日本社会の保守性を指摘して、「日本は先進国じゃない」と言っている人も時々見るけど、そういう意見にも首をかしげてしまう。
まず先進国の基準は生活水準だとか、経済的なことがメインなわけで。先進国=国民性も立派というわけでもない。そんなもの、数字で測れるものでもないし。

口癖のように「欧米では~」と言う「リベラル」も結構よく見る。
それ以外の国からも学ぶべきことがあるはずなんだけど彼らの視界にはあまり入らないみたいだ。ひたすら欧米欧米言っているのがなんだかな、といつも思ってしまう。

だからといって日本中心主義に凝り固まるのもよくないけどね。
最近、日本すごいすごい系のテレビ番組や本をよく目にするようになってげんなりしている。そしてこういうものをありがたがる人たちがヨーロッパ中心主義に反発しているかというと、どうもそうでもないみたいなんだよね。こういう番組に登場する「日本を誉めてくれる外国人」に白人が妙に多かったりして、白人様に認められたいという強烈な白人コンプレックスを感じてしまう。

あからさまな差別主義者やネトウヨのような連中のほうがずっと偏見に満ちているのは言うまでもない。だけど、「リベラル」と呼ばれる人たちでさえアジアやアフリカを見下し、ヨーロッパを持ち上げる傾向があるのは否めないな、と私は思う。

私自身もまだそういう偏見にとらわれているかもしれない。どこかに白人コンプレックスを抱えているかもしれない。意識して、少しずつでも考えを改めていきたい。


自己責任論なんてくそくらえ

2015年01月24日 | 政治・社会

ISISの人質事件について思うこと。ISISについても後藤さんや湯川さんについても大した知識がないので詳しく論じるのは無理だけど、これだけは言える。

こういう状況でジコセキニンジコセキニンうるさいやつはクソだ。

知人がこんなことを言い出したら、私はその人と距離を置く。

そして、今回のことは、それだけじゃないにしてもやっぱり安倍の責任も大きいと思う。彼らを刺激しないように、最大限にうまく行動した、とは言えない。迂闊なこともやっていた。
twitterによくいる、安倍に対する批判を頑ななまでに拒む人達はなんなんだろう。「お上には逆らうな」って感覚なのかな? 

イラクで人質事件が起こったときも、同じような感じだった。
このとき掲示板で見た意見が未だに忘れられない。イラクの子供たちの支援をしている高遠さんに対して「なぜ遠いイラクに行くの? 日本にも困っている人たちはたくさんいるんだから、そっちを助ければいいじゃない」って。
本当に困っている人たちのことが心配ならお前がやれよ。自分は何も行動を起こさないくせに。
人を叩くダシに、困っている人たちを使うなよ。多方面に失礼だよ。

日本社会にはいいところもたくさんある、と思う。だけど、時々ゾッとするほど冷たい。私は基本的には日本が好きだけど、今回みたいなときは本気で「こんな国大嫌いだ」と思ったりもする。


「逆転検事2」感想 その2(第5章)

2015年01月11日 | ゲーム

その1

第5章では、おバカで役立たずだった一柳にもきちんと活躍の場が与えられていた。父親が犯罪者であること、自分が本当は馬鹿であること。残酷な現実を一度に突きつけられて、そのショックで一度は無気力になってしまうんだけど、そこから立ち直っていく描写が良かった。
現実の人間はあそこまで簡単に立ち直れないとは思うけど、そこはゲームだし、じっくり描写してる時間もないからね。

慕っていた父親が犯罪者で、その父親にいいように利用されて、役に立たなくなったら捨てられる。この一柳万才と弓彦の親子関係が、風見と草太のそれとよく似ていた。これは意図的に似せたんじゃないかと思っているけど。

ラスボスがその草太なのにはビックリした。そんな重要キャラだと思ってなかったのもあるけど。一度助けた被告人がラスボスってパターンは多分初じゃないかな。
風見と氷堂の息子が草太と内藤っていうのも、全く気付いてなかった。全然別のキャラが新しく出てくるものだとばかり思ってて。今になって思い出してみれば、二人は幼馴染で両親がいないとか、内藤の指輪とか、割とわかりやすい伏線があったのにね。

御剣から追求されたあとの草太の突然の豹変ぶりにはちょっと笑ってしまった。いかにもな悪役ヅラで。
でも、悪そうな顔はしてるんだけど、どうしても草太のことを憎む気にはなれなかった。というよりも、可哀想で可哀想で仕方なかった。追い詰めていくときの爽快感なんか一切なかった。
両親を失って、施設で虐待を受けて、その後はずっと追われる身だった。追っている側が権力者だから、公的機関に助けを求めることもできない。絶望的な状況。そりゃ性格歪んじゃっても仕方ないよねって思う。生きていてもいいことなんかないし、復讐を人生の目標にしなきゃ生きられなかったんだろうと想像すると切なくなる。

それと、草太のしたことがそこまで極悪とも私には思えなかった。
人を騙しはしたけど、脅したわけでも命令したわけでもない、殺さざるを得ない状況に追い込んだわけでもない。みんな、結局は自分の意思で殺した。
本当に何の罪もなく殺されたのは第1章の外城さんだけで、この件には草太もそこまで関与していなかった。籠目さんは気の毒だったけど、万才を殺そうとして返り討ちに遭ったような感じだったからこれも完全な被害者とも言えないし。
そう考えると、不幸な過去のことを差し引いても、万才のほうがよっぽど悪い奴だよ。

草太と了賢の擬似親子的な関係はなかなか良かった。
了賢は残忍な暗殺者だけど、子供を助けてその後も交流を続けたりしていたという話を聞いて、優しい一面もあるんだろうなと思った。それで、草太がコロシヤに命を狙われていること、了賢が「コゾウ」のことが気になって脱獄してきたことから、了賢が草太をかばって死ぬという展開を妄想した。血も涙もない暗殺者が、息子のように思っている青年のために死ぬ。ちょっと泣けるんじゃないかって。
そうしたら、これがそんなに外れてもいなくて自分でもビックリ。了賢は死んでないけど。

体を張って守ってくれる人がいたことで、草太にも少しは救いがあったのかな。
内藤との友情は悲しい結末になってしまったけど、刑務所では了賢と一緒で良かったね。今までずっと一人だったもんね。

内藤については、第2章で草太が内藤の気持ちを疑っているような描写があったけど、これは演技だった。実際は逆で、草太は友達のふりをしているだけ、内藤のほうは本気で草太を親友だと思っていたようなのがまた切ない。
内藤から草太への手紙で、「チェスならお前に負けない」といったようなことが書かれていたけど、もしかしてチェス以外では叶わなかったのかな? 実はかなり優秀な猛獣使いっぽいし、何をやらせても器用にこなせる人なんだろうか。

草太の境遇が、御剣が検事に戻る決意をする話につながってくるのもいい。御剣は草太が被害者でもあることをきちんと認識していて。

最後に。どうしても納得いかないことがある。逆転裁判2のときから思ってたけど、どうしてコロシヤを誰も追求しないのよ。何人も人殺してるのに。おかしいでしょ。


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「逆転検事2」感想 その1(第1章~第4章)

2015年01月10日 | ゲーム

シナリオはとても良かったと思う。とにかく構成がうまい。パズルのピースがカチッカチッとはまっていくように、伏線がきれいに回収されていく。序盤は正直それほどでもないんだけど、物語が進むにつれ尻上がりに面白くなっていく。
ちょっと偶然が重なりすぎるような気はするけど、そこはフィクションなんだから割り切るしかない。

第5章にシシユリという花が出てくる。花言葉は「親子の絆」。多分これがこのゲームのテーマ。いろいろな親子が出てきて、その関係性もそれぞれ異なる。実の親子であっても冷えきった関係だったり、血は繋がっていなくても強い絆と信頼関係で結ばれていたり。
なお、調べたところ、シシユリという花は実在しないらしい。

1・2章は伏線をばらまいたり登場人物を紹介するための導入部ってところかな。これ単体ではそんなに面白くないのも仕方ない。白クマのマークが可愛いところくらいしか見所がなかった。
第2章で出てきた囚人の山野星雄。シリーズの過去作のキャラだったんだね。逆転裁判もプレイしたけど忘れてたよ。ミリカのことは覚えてたけど、この人の存在は記憶から完全に抹消されてた。いたっけこんな人。
新キャラの了賢は、もうこの人がラスボスでもいいんじゃないのと思うくらいのアクの強さだった。過去のエピソードとして了賢を逮捕したときの話がこの先見られるのかなと思ったけど、残念ながらそんなものはなかった。

第3章は過去と現在を行き来する構成が面白い。御剣父がプレイヤーキャラで、若き日の信楽が見られるのもいい。長すぎてちょっとダレてしまったけどね。
昔の信楽、別人すぎ。デリシーさんの言う通り、18歳のときは可愛い少年だったのに、なぜあんなむさ苦しいおっさんになってしまったんだ。あの頃は純粋で、セクハラなんかするような子じゃなかったのに。天然パーマくらいしか共通点が見当たらないよ。

この章の被害者には1ミリも同情できなかった。犯人もいろいろ問題ある人ではあったけど、被害者はもっとタチ悪かったような。最終章では息子を脅して友達を監禁させていたことまで判明して、更にイメージが下がった。
私の予想ではツカサが犯人だったんだけど、全然違った。健気ないい子だったんだね。疑ってごめん。天海さんもツカサも、お互いをすごく大事に思っているのがわかった。実の娘のように思っている子を使用人にするなよ、とはちょっと思ったけど。

よく考えると、綺麗な氷菓子の中に死体が隠れてる状況ってすげえホラーだな。うしろに立つ少女並みに怖いよ。

第4章は記憶を失ってキャラが180度変わり、しおらしくなったミクモちゃんの姿が新鮮。髪を下ろしたミクモちゃん可愛いハァハァ。

これまで鬱陶しいだけだった水鏡と一柳の好感度も一気に上がったし、見所の多い回だった。一柳がアホなのに検事になれたことにも、ちゃんと理由があったんだね。水鏡がミクモじゃなくて万才に向かって木槌を振り下ろすシーンは、予想できてはいたけどテンション上がった。
犯人はとってもわかりやすくて、鈍い私でも出てきた瞬間「コイツだ!」と思った。というか、隠す気全くないよね。本当に憎たらしい犯人だったので、追い詰めるの楽しかった。ラスボスではないけど、本作で一番の悪党はコイツ。

この章のラストでコロシヤから黒幕が別にいる、という話を聞かされた時、その「黒幕」はきっと18年前に消えた氷堂か風見の息子だろうと思った。二人がどこに消えたのか、第3章でも第4章でも結局謎のままだったけど、そのうち出てくるはずだと思っていた。

その読みは当たったけど、それがあの人だとは微塵も予想していなかった。

その2へ続く。