場末の雑文置き場

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イスラエルがこれからすべきこと

2023年10月29日 | 政治・社会

例の病院への爆撃は、やはりイスラエルの仕業だった。イスラエル寄りのニューヨーク・タイムズですらそう結論付けざるを得なかったようだ。
まあ最初からわかっていたことではあるが。イスラエルはこんなことをずっとやってきたから。それまではそこまで批判もされてこなかった。だからいつもの調子で同じことをやったら、今回予想外に非難されたのでパレスチナ側に罪を擦り付けようとしただけ。シリーン・アブ・アクレ記者がイスラエル軍に殺されたときも、イスラエルは同じようにパレスチナ側の仕業にしようとし、すぐにその嘘がばれた。この件でイスラエルの主張に寄り添ってきたキャスターは大いに反省してほしい。

この問題の発端はイスラエルによるパレスチナの占領であることは、まず皆が共有すべきことだと思う。イスラエルの「報復」はやりすぎだがそれはそれとして諸悪の根源はハマースである、という理解をしている人は多いように感じるが、それは間違っている。あとは、イスラエルもハマースもどっちもどっち、みたいな自称中立論者。普段「リベラル」的な主張をしている人の中にすらそんな人が少なからずいる。 

諸悪の根源は間違いなくイスラエルである。ハマースによる今回の攻撃は正しいとは言えないが、間違っていると声高に非難することも私にはできない。これはずっとパレスチナ人がイスラエルにやられてきたことに対する報復であり、植民地支配に対する抵抗だから。これをイスラエルの暴力と全く同じトーンで非難するのは違和感しかない。なぜかイスラエルの攻撃ばかりが「報復」と呼ばれるが、ハマースの攻撃こそ長年の抑圧に対する報復だ。
そしてパレスチナ側の暴力ばかりがメディアに「テロ」と呼ばれ、イスラエルによる虐殺が「テロ」呼ばれないのも非対称すぎる。少なくともイスラエルが「テロ国家」と呼ばるようにならなければ、「テロとの戦い」「テロ撲滅」のスローガンも虚しいだけだ。

パレスチナの苦境は日本人である私も決して無関係なことではない。なぜならこの状況に日本もずっと加担してきたから。日本はたしかにパレスチナの「支援」らしきこともしてきたかもしれない。だけどパレスチナの占領やガザの封鎖はむしろ支持する側だった。そんな日本の「支援」は、写真家の高橋美香さんの言葉を借りるなら穴の空いたバケツに水を注ぐようなもの。穴を塞ぐことはむしろ邪魔してきたのだから、日本は加害者側だ。

イスラエルによるガザへの空爆は終わらせなければならないし、地上侵攻は阻止しなければならない。でもそれだけで終わってはいけない。その先に進まなければ何も解決しない。根本的な解決がなされなければ、一度に殺される人数が減るだけで、パレスチナ人が日常的に殺されている地獄のような状況は変わらずずっと続いていくことになる。ガザの封鎖とパレスチナ占領は終わらせなければならない。

そして、その次の段階として、できればネタニヤフが逮捕され戦争犯罪人として裁かれること。「ユダヤ人国家イスラエル」が終わりをむかえること。これは、今住んでいるイスラエル人が全員去れという意味ではもちろんなく、イスラエルがユダヤ人以外も同じ権利を持った国民として扱う、自称ではなく本当の意味で民主的な国に変わってほしいということ。

パレスチナ人の国家をどうするか問題について。二国家解決しかありえないという意見の専門家もいるが、エドワード・サイードやイラン・パペは一国家解決論を唱えていた。私は部外者なのでこの件についてはこうするべき、ということは言えないが一国家解決ができればそれが一番いいのではないか、とは思っている。二国家にした場合は領土をどうするか、結局イスラエル有利な国境線が引かれてしまうのではないか、イスラエル側になってしまった土地に元いたパレスチナ人たちの子孫は結局帰還できないのではないか、という懸念もあるし。
もちろん、差別や憎しみや恨みもあるから一国家にするのは大変な困難を伴うとは思うけど。これも難しいことだが、イスラエル人は被害者意識を捨て去って自分たちが加害者側であることをきちんと認識してほしいと思う。もちろんそうしているイスラエル人もいるがまだ少数派だと思うので。

加害者側なのに被害者意識ばかりが先行している、という意味では日本人とイスラエル人って似ているな、と思う。日本の平和教育だって日本が他国を植民地支配していた事実よりも当時の日本人の苦境を伝えることが中心だったしな。


イスラエルによる虐殺と西側の欺瞞

2023年10月14日 | 政治・社会

今、イスラエルはガザでの虐殺を続けていて、日本を含む西側諸国はそれを支持している。
本当に、イスラエル問題(敢えてパレスチナ問題とは呼ばない)では「先進国」と呼ばれる国々の勝手さ、ダブルスタンダードがはっきりとあらわれる。不当に攻撃されているウクライナの人たちを助けよう、などと言っているのも偽善でしかないことがよくわかる。自分たち側の国は何をやっても正しく、逆も然りということ。それだけ。この人たちの言う「人権」ってなんなんだろうな。

パレスチナは70年以上ずっと占領されている。そしてイスラエルの兵士や入植者たちのちょっとした気分で簡単に殺される。日常的に。子供も含めて。しかもそれがなんの罪にも問われない。ある日突然家が取り壊されたりもする。インフラもイスラエルに握られているし、イスラエル軍は医療従事者も記者も平気で攻撃する。そのことには声を上げずにずっと無視してきたくせに、イスラエル側に犠牲が出たときに限って声高に非難する。今回の、報復と称するイスラエルによる虐殺をハマースの攻撃と同じように非難することすらしない。クズすぎる。

フランスでもドイツでもイギリスでも、パレスチナ支持のデモが禁止されたらしい。民主主義が聞いて呆れる。ただ、デモに大勢の人が集まっていることには希望が持てるかな。

イスラエルとパレスチナは本当に非対称な存在で、占領と被占領という圧倒的な立場の差があるうえ、ホロコーストはみんな知っているのにナクバはほとんど知られていないということもある。ナクバというのは、イスラエル建国に伴ってパレスチナ人たちが虐殺され、故郷を追われた悲劇のことだ。しかもホロコースト自体にも、ユダヤ人だけがナチスに虐殺されたいう誤解が多くの人に共有されていたり(実際には障害者・性的少数者・ロマなども大勢殺されている)。
イスラエルは自分たちが攻撃的に振る舞うことを正当化するためにホロコーストの歴史を大いに利用しており、そういう意味でドイツはパレスチナの間接的な加害者だ。ドイツはアメリカらと一緒にイスラエルを支持する声明を出す前に、ユダヤ人だけでなくパレスチナ人に対する自らの加害性について省みるべきだ。

イスラエル問題の本質を知るためには、最低でもナクバの頃まで遡らないといけないと思う。起点をハマースにするのは根本的に間違っている。シオニストたちは「土地なき民に、民なき土地を」のスローガンのもとパレスチナに入植してきた。そこには人が住んでいて、「民なき土地」などではなかったにもかかわらず。なんでこんな認識になったのかといえば、西洋人以外を同じ人間とみなしていなかったからなのではないか。
そしてパレスチナの地はユダヤ人たちにとって2000年前からの約束の地だったという理屈をつけて先住民であるパレスチナ人を追い出したことを正当化したわけだが、2000年前なんて古すぎて今住んでいる人を追い出す理由としてめちゃくちゃすぎるうえ、当時移住してきた白人中心のユダヤ人たちは2000年前のユダヤ人の子孫ですらない。
そして、イスラエルは今、パレスチナ人たちは先住民ではなく後から侵入してきたのだという嘘の歴史を教えているらしい。日本と同じ、歴史修正主義を国家ぐるみでやっている。

よく誤解されるが、イスラエルはユダヤ人の代表ではない。シオニストの代表だ。そしてイスラエルに批判的なユダヤ人は少なくはない。ただそうしたユダヤ人の声はあまりメディアなどで取り上げられることはなく、残念ながらシオニストの方が圧倒的な権力を持っている。シオニストたちはユダヤ人とイスラエルをほぼ同一視させようとするキャンペーンを繰り広げていて、イスラエルを批判する者に「反ユダヤ主義者」のレッテルを貼る。このレッテルは欧米ではとても不名誉なものらしく、効果絶大だ。

私も暴力には反対だが、植民地支配され、希望を全て奪われている人たちの抵抗のための暴力を非難する資格は私にはない。ハマースを非難する資格があるのはパレスチナ人だけ、という意見も何度か聞いたが本当にそのとおりだと思う。
「武装組織」を悪魔視するのも違う気がする。最初は非暴力での解決を望んでいて、でもそれは叶わなくて絶望した、普通の善良な市民が武装組織に入ったりする例は多い、と聞いている。黙って殺されるのを待つくらいなら敵を巻き込んで死にたい、となってしまうのを、平和にぬくぬくと暮らしている人間が非難していいんだろうか。まずは、イスラエルによる占領と暴力を終わらせなければなにも解決しない。


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世界体操inアントワープ 男子団体決勝の感想

2023年10月04日 | スポーツ

ちゃんと2時半に起きてリアルタイムで見た。目覚まし時計のセットは上手くいかなかったけど奇跡的に起きられた。

中国はアジア大会で本気を出しすぎたせいであわや予選落ちの危機だったけどなんとか決勝に残れて良かった。張博恒や雛敬園は出ていないとは言え、こちらも良い選手が多いし、やっぱりいないと物足りないので。
中国チームは若手中心かと思いきや大ベテラン31歳のヨウハオもいるし、ほとんど知っている選手だった。見たことない選手は蘇煒德だけ。身長高そう。鉄棒で2回も落下していたけど、引きずらなくてよかった。この演技以外はほぼ過失なしだったかな中国チームは。予選は散々だったけど、結局2位に入ってくるあたりは流石。層が厚い。
アジア大会にも出てこちらにも急遽出場になったチャオパンが吊り輪以外の5種目で出ているのを見て、体力すごいなと思った。体操選手としては結構ベテランなのに。あと、ヨウハオのあん馬は初めて見たかもしれない。

今回は余裕で日本チームが勝つだろうと思っており、実際その通りだったので、どこが優勝するかのドキドキ感は特になかった。その分穏やかな気持で見られはしたが。

話は変わるが、個人総合の予選で橋本が日本選手の中で3位になり、2位の萱が辞退して橋本出場となった件。橋本の実績と安定感を考えればそうなるのかな、とは思いつつも、当事者からしたら納得行かないところはあるだろう、と坂本が北京五輪当時の複雑な思いを語っていたツイートを見て思った。当時はそんなに気にしてなかったけど、下ろされた方の気持ちを考えてみればそりゃそうだよな。


杭州アジア大会の体操・種目別も最高だった

2023年10月01日 | スポーツ

アジア大会の体操、テレビではカットされまくりで物足りないのでユーネクストに入会してしまった。全員分の演技が見られるところがとてもいい。テレビ放送分では結構カットされていたから。入場シーンや表彰式も含めても含めて全部見てしまった。入場シーンではちょっとゲームっぽい演出もあったりして面白かった。
平行棒決勝中の谷川翔と鄒敬園の会話や表彰台での3人ハートという、テレビでは決して放送されないレアなシーンを見られたのも良かった。何語で話してたのかな。英語っぽくは聞こえなかったんだけど気のせいだろうか。

ユーネクストで見ていると解説の流れない沈黙の時間が長かったりするのは少し気にはなったかな。点数を待つ間とか。この辺はアナウンサーもうちょっと頑張ってくれたらな、とは思った。技のことなど詳しくてよく勉強していたのは素晴らしいけど。TV版はこの辺上手く編集されていたな。

亀山耕平さんの体操愛あふれる解説、とても素敵だった。日本以外の選手にも「頑張れ」って言うし、良かった演技は興奮気味にベタ褒めするし、全ての選手に対するリスペクトが感じられた。表彰式で「この選手のファンになりました」みたいなことを素直に言ってたのも良かった。

本題の競技に関して。個人総合も良かったけど種目別も最高で興奮してしまった。特に印象に残ったのは、李智凱(推し)と谷川航。李智凱は相変わらず開脚旋回主体で攻めきって圧倒的スコアで勝利してくれてとても嬉しかったし、谷川航の2本とも着ピタの跳馬も素晴らしすぎた。両方とも難しい技なのに。解説の亀山さんの言う通り、レアだよな。本当にカッコよかった。あと、リ・セグァン2が迫力あってとても好き。
個人的に、マレーシアの選手が跳馬で3位だったことも嬉しかった。テレビ放送ではカットされていたのが残念。メダル獲得者なのに。
鄒敬園はさすがの安定感で、いいもの見せてもらったなって感じ。張博恒はお疲れだったのかな。団体と個人総合をこなした後、吊り輪と跳馬以外の全ての決勝に出ていたからとても大変だったんだろう。難度を上げて挑戦していたけど失敗、という場面が多く見られた気がする。でも鉄棒はしっかり決めて金メダルをとってくるところはやっぱり流石。綺麗な演技だった。

あと、競技と関係ないことだけど、谷川兄弟とユン・ジンソン、いいキャラしてるなと思った。ユン・ジンソンはいつもニコニコしていて、演技では失敗が多かったけどその笑顔に惹かれた。谷川兄弟は華がある、気がする。二人で同じポーズをとったりして仲が良さそうで、カメラを向けられたときのパフォーマンスもサービス精神旺盛って感じでいいな。この二人が揃って安定して世界選手権代表になれて、その上で結果も残せたら日本での体操人気も少しは上がりそう。