場末の雑文置き場

好きなことを、好きなときに、好き勝手に書いている自己満ブログ。

おじさんの自覚

2015年12月30日 | ジェンダー・家族等

女性は20代後半くらいになると盛んに劣化した、劣化したと言われ始める。男性にこの言葉が向けられることはあまりない。せいぜい「老けた」と言われるぐらい。

こういうことを言う人は、自分が一方的に相手を採点できる側にいると思っているみたいなんだよな。男だからというだけの理由で。
決して整っているとは言えない容姿の男性が平気で女性をブス呼ばわりして、「ブスに人権なし」くらいの勢いで責めたてたりする場面は結構よく見るからな。容姿で人の優劣が決まるとしたら、誰よりも不利になるのはそいつ自身なんじゃないかといつも思う。

年齢についてもそう。同年代か、ひどい場合は自分より年下の女性をおばさん呼ばわりする男性は少なくない。
ネット上だと更に先鋭化して、おばさんじゃなくてババア(BBA)になる。で、女性のことはすぐBBA呼ばわりするのに男性は滅多なことではジジイと呼ばれないのな。
20代後半の女性をBBAと呼び、60代の男性をおっさんと呼ぶ。こういう表現を、ネットに毒されている男性たちの多くがなんの違和感もなく受け入れる。

年齢や容姿については自分のことを完全に棚上げできる、というスキルを多くの男性が身に付けているようだ。女がおばさんになる時期と自分がおじさんになる時期は違う、とナチュラルに思い込んでるんだよね不思議なことに。

若い子がいいっていう気持ちはよーくわかるよ。私だっておじさんより若い子のほうが好きだから。
でも、自分が年食ってるのに若い子と当然に付き合えるものと思っている人は、イタい。

ちょっと相手の立場に立って考えてみれば分かるだろ。自分は同年代すらおばさんに思えて嫌なのに、若い子が自分よりずっと年食ってるおじさんを受け入れてくれるだなんてどうして思えるんだ。
女より男のほうが老けにくい、男はいつまでも若い、なんて本気で思ってたりするんだろうか。まさかね。

自分がおじさんになった、という現実をどうしても受け入れられない男性って、案外多いんだよな。30過ぎても10代の子におじさん扱いされることを嫌がったり。
フィクションの世界では「自分の老いを認められない往生際の悪い人」の役割は女性に割り当てられることが圧倒的に多いけど、現実はその逆だ。女性は比較的あっさりと自分が「おばさん」であることを認める。下手したら10代の子までババア自称してたりするからね。それも悲しいことだけど。


夫婦別姓くらい選択させてよ

2015年12月22日 | ジェンダー・家族等

つい先日、「夫婦同姓の強制は違憲ではない」という最高裁の判決が出た。とても残念だ。まあ予想の範囲内ではあったけど。
夫婦別姓についてはもうずっと前から議論されていて、国連からの勧告も何度も受けている。なのに未だに何も変わらない、進歩しないこの国ってなんなんだ。

別姓制度がないってこと自体もアレだけど、どっちの姓を選んでもいいはずなのに96%の夫婦が夫の姓を選択しているっていうのがね。男女平等なんてただのタテマエだっていうのがこの事実ひとつとっても分かるよね。

最近、知人女性の結婚ラッシュがあったんだけど、みんな当然のように彼女たちに新しい姓を訊くんだよね。どっちの姓を選んだのかは訊かずに。
妻側の姓を選択すると、周りが不思議がって色々詮索してきたりする。夫の姓にするのが当たり前で、そうしない場合は特別な理由が必要だと言わんばかりに。

私にとって、姓は自分のアイデンティティの一部で、大事なものだから絶対に変えたくない。
姓を変えたときに待っているのは元の姓を失う、っていう喪失感だけじゃない。銀行口座その他諸々の名義を書き換えたりする必要があって、これがかなり大変らしい。当然お金だってかかる。

夫婦別姓制度の導入に反対する人たちってなんなんだろう。
みんな別姓にしろなんて誰も言ってないのに。同姓にしたい人は今までどおりできるし、誰もそれを止めたりはしない。ただ選択肢が増えるだけ。
どうして他人も同じようにさせないと気が済まないんだ。どうして他人の選択の自由を奪いたがるんだ。

田母神や竹田恒泰も当然、夫婦別姓反対派だ。「結婚したら女性は夫の姓を名乗ることに喜びを感ずるものと信じていた」田母神。「初めて夫の姓で呼ばれ、『私は結婚したのか』と思い、頬を赤らめる」というのが幸せな結婚だと思っている竹田。

どちらも、女が姓を変えるという前提で話をしている。夫婦同姓はなんとしてでも維持したいから、女性が姓の変更を嫌がっている場合には男性が変える、なんて発想は彼らの中にはない。一切、ない。
自分は姓を変えたくないけど、女がそれを嫌がるなんて生意気だ、喜んで受け入れるべきなのに
ってことだよね。

彼らにとって女ってなんなの? 忠実なしもべなの?
相手に負担をかけるのを喜ぶのは、病んでるよ。


「天使とアクト!!」第1巻~第4巻感想

2015年12月19日 | 漫画・アニメ

サンデー本誌でも読んでるけど、単行本も出たら買ってしまう程度には好きな漫画。同じ作者の前作「國崎出雲の事情」より面白いと思う。……まあ今のところは。今後どうなるかわからないけど。

前作は、序盤はそうでもなかったけど、話が進んでくるとみんな主人公のことが大好きになって、主人公至上主義みたいな空気になるんだよな。それが苦手で。ブランクありだけど天才だから戻ってきてすぐ名演技ができる、っていうのも鼻についた。
どちらかと言うと、加賀人のほうが応援したくなるキャラだったな。加賀人以外のメインキャラはみんな梨園の御曹司で、結局、血筋が大事なのかなってモヤモヤさせられた。

今回の主人公、アクトはかなり個性的で好き。偉そうで他人を見下していても、根は真面目な努力家だし。邪悪な表情やひどい罵倒語も、主人公っぽくなくてイイ。
幼児相手にムキになるガキっぽさや、身近にいる女の子がどんなに可愛かろうが全く意識しないストイックさも好きだ。恋愛展開はナシの方向にして、最後までストイックでいて欲しいけど、無理なんだろうなあ。今でも恋愛展開の片鱗は見え始めてるし。

前作と一番変わった点は、女性キャラの扱いかな。前作では出雲を霞ませないようにするためか、女性キャラの出番が明らかに抑えられてたんだよな。出雲の幼なじみの女の子も、序盤はちょくちょく出ていたのに段々出なくなっていったし。
今回は女の子の出番も多いし、二人ともちゃんとキャラが立っている。特に天央ちゃんは可愛い。なりが中学生で大人気声優っていうのはあり得なさすぎて、その点はちょっと気にはなるけど。

でも一番好きなところは主人公のキャラとか女の子が可愛いとかそういうところじゃなくて、声優の仕事についての描写かな。全体的にギャグテイストだけど、声だけで演じることの難しさなんかについては真面目にしっかりと描かれている。私はアニメをあまり見ないけど、そういう人でも「お芝居物」として楽しめる。
オーディションの様子もきちんと描写してくれるのがいい。役の解釈についての話が出てきて、同じ台詞でも感情の乗せ方によって受け手の印象が180度変わってしまうっていう話も面白い。

あとは、主人公が急にスターになったりしないところかな。ちゃんと養成所からのスタートで、鍛錬の過程をちゃんと描いてる。
アクトは本当に必死に、がむしゃらに努力しているし、挫折もするし、態度は悪いけど応援したくなる。


BSジャパンの「山本周五郎人情時代劇」が意外に面白い

2015年12月18日 | BSジャパン時代劇

時代劇ってお金がかかりそうなイメージがあったから、テレビ東京の、しかもBSでどれだけのものが作れるんだろうっていう好奇心で見始めた。
そうしたらこれが意外と面白かったので、ずっと欠かさず見ている。今一番楽しみにしているテレビ番組はこれかもしれない。毎週放送じゃないのが残念だ。
同じ枠で松本清張の時代劇もやっていたけど、暗い話は苦手なのでこっちは見ていない。

こんなに面白いのに、twitterで検索しても言及している人はほとんどいないんだよな。なんだか寂しい。
視聴率がかなり低いのか(BSだしね)、SNSに興味がなさそうな人生の大先輩方がメイン視聴者だからなのか。まあその両方だろうな。

一話完結で、登場人物は毎回一新される。腕の立つ武士とかじゃなく、素朴な町人が主役。
みんな、強かったり特別有能だったりするわけでもない、本当に普通の人。チャンバラも基本的にはない。

第一話(「なみだ橋」)は評判もいいし、実際面白かったんだけど、本当の息子は死んでしまって、母親はそれを知らないままっていう結末はどうしても辛くて、若干モヤモヤしてしまったところはあった。だから第二話(「夜の辛夷」)、第三話(「釣忍」)のほうが私は好きかな。
第四話(「お美津簪」)は……演技力って大事だなって改めて感じさせられた回だった。続く第五話(「追いついた夢」)もイマイチに感じられて、若干不安になったんだけど、第六話(「こんち午の日」)は面白かった。今までで一番好きな話かもしれない。ストーリーも良かったし、主人公がとても好感の持てるタイプだった。

出てくる役者の絶妙なマイナー感も、私がかなり気に入っている要素。有名俳優をたくさんキャスティングできるほど予算がないからっていう理由でそうなっているだけなんだろうけど、見飽きた人があまり出てこないところが私は好き。よくテレビで見る人気俳優が演技が上手いかっていうとそうでない場合も多いし、知名度はそんなに高くないけどいい演技をする役者だっていくらでもいるしね。

第六話(「こんち午の日」)で主演していた伊嵜充則、初めて知ったけどいいね。男前には程遠いけど愛嬌のある顔立ちで、真面目で人の良いキャラがはまっていた。おすぎ役の大西礼芳は、「花子とアン」の優等生や「美女と男子」の気の弱そうなプロデューサーとは180度違う悪女を演じていてインパクトがあった。 
第二話(「夜の辛夷」)は最近気になっている秋元才加が主演だった。すごくメジャーっていうわけでもないけど好きな俳優が出てきたりして、なかなかいい人選だと思う。……第四話(「お美津簪」)以外は。


「ガラスの仮面」が百合漫画だったら

2015年12月11日 | 漫画・アニメ

「ガラスの仮面」は面白い漫画だと思う。ただ最近は、マヤと速水さんがくっつくのくっつかないのでウダウダやっていて、かなり退屈な展開になっている。
芝居部分は本当に面白いんだけど、恋愛要素が私にとっては邪魔でしかなくて。

恋愛は芸の肥やしになるし、ある程度必要なのかもしれない。それはわかるけど、わかるんだけどさあ。ストイックに演劇に打ち込んでいるマヤの姿が私は好きだったんだよ。

恋愛パートが鬱陶しいのは、速水さんに一ミリも魅力を感じていないせいもあるかもしれない。馬面のロリコンおっさんにしか見えないんだよな。だから速水さんに惚れてるマヤに対しても全然共感できない。
もし速水さんが、恋愛感情抜きでマヤの才能を買っていろいろアドバイスしてくれる頼れる兄貴、的な立ち位置だったら、私も好きになれたかもしれない。反抗的なマヤに対して、芸能界で生きていくための真面目なアドバイスをしてくれるところなんかはかっこよかったし。下心さえなければね。

だけどもし、相手が速水さんじゃなく亜弓さんだったら、恋愛パートも食い入る様に見ていたと思う。ライバル同士で、お互い対抗意識燃やしまくりで、ときには取っ組み合いの喧嘩までしちゃう百合カップル。いいね。萌える。
ヘテロにしろGLにしろBLにしろ、捏造カップルは基本あまり好きじゃないんだが、マヤと亜弓さんの百合妄想はしたくなってしまう。

作者は女性なのに、なんで少女とおっさんをやたらとくっつけたがるんだ。マヤばかりか亜弓さんにまでおっさん(フランス人だっけ? のカメラマン)の魔の手が迫ってきそうな気配がするし……勘弁してくれよ。