場末の雑文置き場

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地方選挙とトイレの話

2023年04月24日 | 政治・社会

数日前、区長と区議会議員の投票に行ってきた。そして区長の方には白票を投じてしまった。そのことが悔しかったが他にどうすることもできなかった。

現職の区長はホームレス排除を進めている区長で、消去法でも他の候補に投票して落選させたかった。それで選挙公報を読んで投票先を考えたのだが、消去法でも投票したい候補がいなかった。現職以外の三人の立候補者のうち、一人は日本第一党で、日本国籍者のみに生活保護を行き渡らせようと言っている。論外。一人は自民党で「女性専用トイレの廃止を見直す」などと言っている。これも論外。女性専用トイレが廃止されるなどという事実はない(そういうデマならある)。
そしてもう一人は無所属の女性候補。消去法でこの人に入れようかな、と思ったときに目に止まったのが、その候補がやろうとしていることのひとつに「女性トイレの増設」があったこと。そこにどうしても引っかかりをおぼえてしまい、消去法であっても入れたくない、と思ってしまった。その結果、区長は白票に。

女子トイレの増設になぜそんなに引っかかったのかと言うと、一言では言えないいろいろなモヤモヤがあって。
そもそも私の居住区で女子トイレが足りなくて困っているかというと、全くそんなことはない。ただ、身体的な障害を持った人たちは多分トイレの数で苦労しているだろうと思う。つまり、優先して増やすべきは「女子トイレ」ではなく「バリアフリートイレ」だろうと。でもその候補は誰でもトイレ、あるいはバリアフリートイレに関する言及は一切していなかった。

他にも公約に女子トイレのことをあげていた候補が何人かいたと思う。いままで公約でトイレのことに触れていた議員はほぼいなかったのに急にこうなった理由は大体見当が付いている。

渋谷区の幡ヶ谷に男性用のトイレ(小便器のみ)と性別問わず使える共用トイレができたとき、ちょっとした炎上騒ぎになったらしい。男子トイレはあるのに女子トイレがないのは差別だ、とか。この問題に関しては差別というよりもスペースを有効活用しようとしたらそうなった、というだけだったのに。男性用の小便器のみだったら大して場所はとらないので。男性でも大をしようと思ったら共通トイレに行く必要があるし。
私はこんなことで怒っている人たちに対して違和感しかない。女子トイレは今でも十分にある。でも誰でもトイレは現状では明らかに足りなくて、増やすべきだと思う。誰でもトイレしか使えなくて、トイレが少なすぎてずっと不便を強いられてきた人たちのことなんか眼中にもない連中が、大して困っていないくせに女子トイレの一つや二つ減らされたくらいで大騒ぎしているのが腹立たしくて。
そしてたったこれだけのことがここまで炎上したのは、トランスジェンダー(特にトランス女性)差別が絡んでいるからだ。差別の扇動者たちは女子トイレが廃止されようとしているというデマも流しているらしい。非常に悪質。トランス女性は女子トイレを使うな、男子トイレか誰でもトイレを使え、と言っておいて、実際に誰でもトイレが増えるとそれも叩く。無茶苦茶だ。

こういう経緯もあり、公約に女子トイレのことを書いている候補には要注意だと思った。トランス廃除派の議論に乗っかってしまっている、あるいは自身がトランス廃除派かもしれない。そうでなくても、少なくともバリアフリーやトランスジェンダーの権利問題には非常に関心が薄いのだろうとすぐに読み取れてしまう。トランスジェンダー排除の流れには、これまで左派やフェミニストだと思われていたような人たちも大量に乗っかっているので、なおさら油断できない。

ここまでどの候補にも入れたくないと本気で思ったことは初めてだった。今まで消去法だったら入れる先があったのに。私はわざわざ選挙に行って白票を入れてくるなんて実に愚かな行為で、だったら行かなきゃいいのに、と思っていたのだが、今回ばかりは仕方なかった。区議にはちゃんと投票したくて、そのためには行く必要があったので。その区議の方も誰に入れるか散々迷ったし、今でもその選択で良かったのか、迷ったもう一人に入れておけばよかったんじゃないか、とクヨクヨ考えたりしているけど。