トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

Mr.A

2009-06-17 | Weblog
スペシャルニーズバンドのMr.Aディレクターは、その裏表のないストレートな人柄と職人気質とでも言える音楽バカぶりに、まわりから批判されることも多い先生です。

私は彼の一徹なところが好きで、このスペシャルニーズバンドを結成したとき、一番にMr Aに指導をお願いしました。

バンドはチームです。
チームワークを乱す子は許されません。
Mr.Aが他の先生と一番ちがうのは、クドクド説教をしないことです。
バシッと一言で決めます。
いちいちいちいち説明が必要な自閉っ子たちを一言で黙らせちゃうんだからすごいです。それも大声で怒鳴るのではなく。

彼は子供達に選択を与えません。
“こうしてみる?“ではなく”こうしろ“と、ほとんど命令調です。

“障害のある子たちなのに厳しすぎる”“ワンマンだ”“ちゃんと話してわからせなくちゃ”、、、そんな声が聞こえてもMr.AはMr.Aのままです。

障害児を持つ親のほとんどは、自分の子を守るために学校やコミュニティーといつも戦っています。

私もそうです。
でも時として、同じ障害児の親ながら“うちの子は障害児だから”を武器にして驚くほど身勝手でわがまま主張もあるのです。

このバンドを結成して以来、そんな親御さんたちとの人間関係にため息の連続です。

障害があろうとなかろうと、子供はみんなどの子もスペシャルです。
障害があろうとなかろうと、社会のルールは守らなければいけません。

音楽だけでなく、現実社会の厳しさも指導して下さるMr.Aに、私は感謝と敬意を捧げたい。


コンサート

2009-06-10 | Weblog
コンサートが大盛況に終わりました。
今回ほど見に来て下さった方々の支援を強く感じたコンサートはありません。
拍手も歓声もとても暖かく伝わってきました。

コンサート終了後には、ノリのいいおじさんがトニーのところへ来て「サインしてください」と言いました。
演奏者をスターに仕立てて下さるなんてシャレた方ですよね。

この不況時にたくさんの寄付金もいただいて感謝感激でした。

今日は昨日のコンサートに来て下さった方のひとりからメールがありまして、
“僕は障害があります。昨日のコンサートとてもよかったです。僕もぜひ仲間に入れてください。練習はどこでいつやっているのですか?費用はかかりますか?詳しいことを教えてください”とありました。

とにかく一度見学に来てみたら?とお返事しましたが、障害のある人が自分でメールしてきたことにとても感動しました。

私がこのバンドをスタートした理由のひとつは、“トニーが一生音楽を続けられる場所を作る”でした。
もし私がいなかったら、トニーはひとりで今日メールしてきた人みたいに、自分の希望を伝えられないのでは?と思ったからです。
多分、“音楽やりたい。でもどこでできるのかわからない。誰に聞けば教えてくれるのかわからない”っていうレベルだと思います。

自分のやりたいことを見つけ、そのためにはどうしたらいいかと考えられるまで成長してくれればいいなあ、、、と、このメールをいただいて思ったのでした。

写真はかなりボケボケですが、これがビートルズのSgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band を真似た衣装です。





絶対音感

2009-06-08 | Weblog
トニーのコンサートのリハーサルでした。

今回は衣装もあります。

触られるのが苦手な自閉っ子たちの衣装作りは大変でした。
サイズをはかるのも、仮縫いを試着するのも、最後の試着も、とても時間がかかりました。

衣装が出来上がるまでの過程は嫌でも、衣装を着ることにはみんな大満足で、うれしそうにショーオフしていました。

ジョンレノンと同じ“ヒゲとメガネが必要です”と誰かが言ったときは、「やっぱりね。絶対誰かが言うと思ったよ」と親達はうけていました。

そうそう今日のリハーサルではおもしろいエピソードがありました。

なんだか急に会場のアラームシステムが鳴り出したんです。

私達は「なんだろうね。この音」「気になるねえ」なんて言ってたんですが、うしろのほうからトニーが「このレのシャープ止めて!」と叫び、係りの人がピッピッピッとボタンを押して音を止めようとしたら、「そのドの音もやめて!」とバーナルドの声。

どうやらアラーム音は"レのシャープ"で、アラームのボタンを押す音は"ド"だったようです。

この二人は絶対音感があります。
たまに女の子たちがわざと「キャー」と叫んで「今の音なんだった?」と二人に聞くと
「○○の音」と二人とも冷静に口をそろえて答えます(笑)。




学校予算クライシス

2009-06-07 | Weblog
学校はあと1週間で今年度終了となります。

不況のせいもあり、私の勤めている私立学校も来年度の生徒数が減るそうで、何人かの先生は仕事を失います。

昨日は公立学校区の会議で解雇となった先生方と学区側とで怒声が衝突し、あわや乱闘か!?と、スタンバイしていた警察官たちも構えの体勢だったとか。

カリフォルニアは住みやすさでは全米のトップクラスでありながら、教育に関しては最悪の州ではないでしょうか。

教育にお金をかけることは、将来リターンが大きいなんてこと言ってられないほど赤字問題が深刻なんですね。

カリフォルニアの税システムには言いたいことがたくさんありますが、とりあえず私は来年度の仕事の契約ができて一安心。

あとは子供たちの学校でピンクスリップ(解雇の警告のこと)を受けた先生方の解雇取り消し署名運動のお手伝いをしながら、最悪の事態が起こらないことを祈るのみです



中学バンド リユニオン

2009-06-05 | Weblog
中学のときのバンド仲間が一年ぶりに再会しました。

久しぶりに友達や先生に会ってやや興奮気味のトニーはいつもよりハイパーでした。
でも昔の仲間と久しぶりにあって、一言二言かわしただけで音が合うんだからすごいじゃん。

なんだかすごーく普通の高校生っぽくて母は感動したのでした。


現代っ子の集中力

2009-06-04 | Weblog
勤めている学校にまるでマジシャンのように生徒を集中させる先生がいます。
声のトーンから話のうまさ、ツールも最大限に活用してテンポも速くて生徒をあきさせない

教師の鏡ですね。

今や教師もエンタテイナーでないと、生徒がついてきてくれないのです。

私も微力ながらわざと間違った音を弾いて生徒のウケを狙ったりして苦労しています

それで思い出したのが、トニーが小学生だった頃のこと。

算数を教えるのに、私がいろいろとあの手この手を使ってエンタテインしたことです。

「数字の何かあててね」とはじまって、

「それは偶数です」

「それは2より大きくて8より小さいです」

トニーの顔が引き締まってとても集中して見えます。

6」とトニー。

「答えはトニーの部屋の机の引き出しにあります」

とあらかじめ答えを机の引き出しに入れておいて私が言うと、一目さに探し当てます。

こんな風に問題ごっこをすると多動のトニーもかなりマジで私のペースにのってくれました。

このステップをもっと増やしてもっと複雑にすると、出題するほうも答えるほうもかなり盛り上がって今となっては楽しかった思い出です。

「勉強するのにそんなチープトリックは要らない」と、夫にはバカにされましたが(苦笑)。