トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

Sensory Overload この場を乗り越える

2006-10-29 | Weblog
感覚刺激をいっさいシャットアウトして日常生活を送ることはトニーにとって不可能です。だったらせめて彼の感覚貯蔵タンクがFullになる前に少しずつリリースしてあげる環境をいつも心がけてあげるのが私達の役目だと思います。大きな声では言えませんが、私は面相くさがりで子育てもめいっぱい手抜きです。しなくていいことはなるべくしたくない。だからトニーが爆発してからあわてて思い出したようにSensory Dietをしたりするわけです。Sensory Dietは、毎日感覚に栄養を与えるようなことですから家でも学校でも毎日バランスよく関節をギュギュと両側から圧してあげたり、身体にクッションなどを押しあてて圧力を与えたり、音楽を聴かせたり、、、、その子にあった栄養バランスを毎日inputして感覚を覚醒させたり落ち着かせたりするのだと思います。学校では真後ろにあった音楽室の時計を正面につけてもらい少なくとも後ろを振り返ってベルの時間を気にすることはなくなりました。教室への移動はなるべく人ごみを避けて時間を多少ずらすなりの配慮をしてもらいます。
トニーは毎回問題行動を起こすと”今日僕はオーケストラの時間に騒ぎました。なぜかというと終わりのベルを聞くのがイヤだったからです。明日は騒がないようにします。”というような反省文みたいなものを担任から書かされてきます。私は、セラピストからSensoryが原因で問題行動を起こした時はマイナスではなくプラスの指導をするようにアドバイスを受けていたので、これはマイナスの指導ではないかと担任に言い、まずはベルの音がイヤだったことに同情してやってくれとお願いしました。そして文章は"What I did(自分が何をしたか)ではなくWhat I want(自分は何がしたいか)、How Can I do(自分に何ができるか)”を期待したいと言いました。
先週の金曜からトニーは学校のギタークラブに放課後行き始めました。
ギンギンのロックバンドで聴覚過敏の彼がよくもあんなに騒がしい音の中にいられるなと驚きです。エレキギターを抱えてノリノリで演奏しているトニーは満足そうです。楽しい?と聞くと「Yes! I played like a mad man(うん、狂ったように弾いた)」と言いました。私としてはあまり気乗りしない分野の音楽ですが、これは彼のストレス リリースに役立つなと直感しました。この際、ロックでもなんでもいいです。トニーがハッピーでいてくれるのなら。髪の毛染めてモヒカン刈りにしたってマミーは応援するからねぇ!!!

Sensory Overload もうひとつの見方

2006-10-27 | Weblog
違う目(違う先生)からの報告です。
トニーはどうしてオーケストラの時間の終始ベルだけに特に反応するのか?
他の授業の時間帯と違ってオーケストラの前は休み時間だそうです。休み時間中の騒がしい中庭を通り抜けて音楽室へ向かう途中、トニーはふざけている子に誤ってぶつかったそうでその子は即「ごめん!」と言ったそうですがその後音楽室へたどり着くまでジャケットのHoodをかぶっていたそうです。今日の授業はまともに受けられたようですが、その先生いわく「音楽室へたどりつくまでの環境がトニーにとって刺激的すぎる」。そんなことから担任が選択科目である音楽をスケジュール的にも教室の位置的にもセンサリーの影響の少ない美術に一時的に変えてみようか?と提案してきた。「ヤダー!絶対ダメ!!No Music! No Life!よくトニーと話し合ってみる!」と支離滅裂なことを言ってとりみだしてしまいました。私もかなりこだわりの強いわがままな親です。

Peer Mediator

2006-10-27 | Weblog
ケニーが学校で筆記、面接をクリアしてPeer Mediator(調停者)に選ばれました。学校でおきた学生同士の争い事や問題を解決するための仲介人みたいな係りです。昨日は第一回目のミーティングで、一日授業を休んでトレーニングを受けてきました。飲み物や食べ物が支給されてまるで大人のジョブトレーニング並みです。トレーニングをしてくれる先生はスクールカウンセラー。調停人は誰の味方もせず、いつもニュートラルで感情的にならず、冷静でいること、などを習ったようです。いくつかの問題提議の中からひとつ”老人 vs 犬”の例を話してくれました。”老人をかかえている家のとなりに犬を連れた家族が引越してきました。その犬があまりにもうるさく吠えるので老人宅がこれじゃあうちのおばあさんが寝られないと文句を言いました。犬宅は私達家族は前の家で泥棒にあい家財道具すべて失ったので番犬を飼うことにしたんです。うちの犬は私達の家を守るだけでなくあなたの家も守ってくれるはずですよ。”この問題をあなたはどう解決しますか?というのが質問だったそうです。いろんな意見が出たそうで「犬の飼い主は老人が寝る時間を把握し、犬がなるべく吠えないように努める」など真面目な答えから「Shock Collar(電動首輪)を犬と老人につけて犬が吠えたら犬に電気ショックを与えてだまらせ、老人が眠れないと言ったら老人にショックを与えて気を失わせる」なんてすごいのもあったそう。ケニーにとって思考能力を高めるいいチャンスだと思いますが口ばかり達者な生意気小僧にはならないでと願います。

虫さされ

2006-10-27 | Weblog
昨日は仕事場にトニーの担任から電話があり、虫さされのような赤い斑点が上半身一面にあって気が狂ったようにかゆがっているので授業にならないとのこと。仕方なく私のクラスの午後の授業を全部キャンセルしてトニーを迎えに行きました。子供達は今は別々の部屋で寝ていますが、以前一緒の部屋で寝ていたときもトニーだけがいつも虫さされみたいな赤い点々ができてドクターに見せても虫さされと言われるだけで具体的に何の虫なのかわかっていません。とにかくいろんな人に聞いて一番効くというぬり薬を買いかゆみだけは治まりました。トニーはこの薬をすっかり気に入って昨夜はそのチューブ入りの軟膏とベッドで添い寝し、今朝はしっかりかばんの中に入れて学校へ行きました。そして今日のマリンバレッスンの時もレッスン中にもしかゆくなると困るからとポケットに入れて持参、だんだん強迫的になってきてイヤな予感がしてます。

Sensory Overload ー問題解決の糸口

2006-10-25 | Weblog
先生から報告がありました。
どうしてトニーはオーケストラのクラスで問題行動を起こすのか?
クラス内での座る配置が変わっていたそうです。生徒達は今まで黒板に向かって座っていて右側の壁にベルを鳴らすスピーカーと時計が並んでいました。ところが今月からその全体配置を90度左へ動かして、黒板が右側、スピーカーと時計は生徒達の真後ろになりました。つまりトニーにとって今まで右側から聞こえていた不快なベルの音がうしろから聞こえることになり、ベルの時間を確認する時計は振り返らなければ見えない状態になったわけです。こんな些細な変化が彼には苦痛になるときがあります。
「オーケストラで何か変わった?座る位置とか?」と聞くと「こうやって座ってたのがこうなった」と座る位置を変えて見せてくれました。でもだからイヤだとか説明できないんです。小さいときに洋服の後ろ襟についているタグ(サイズとかが書いてある)が首のうしろを刺激してすごく機嫌が悪かったことがありセラピストに言われてそのタグを切ったのですが、それでも1週間くらいはまだその感覚がトニーの首のうしろに残っていて切ったのになんでまだ機嫌悪いのって思いました。
さあこれで問題解決の糸口が少し見えてきました。たくさんの目と意見があったほうがいいので明日はまた違う先生が見に行ってくれるそうです。
それにしても今日の先生、”座席の配置が90度動いてる”とまるで古畑任三郎がミステリーを解決したかのように自慢げで子供っぽくて笑えた。

Sensory Overload

2006-10-22 | Weblog
センサリー オーバーロード、トニーにとって不快な感覚が彼の持っている感覚貯蔵タンクの限界から溢れてしまったとき、耳をふさいで固まっているだけでなく、机をバンバン叩いたり、足をドンドンならしたり、物を投げたり、時には大声で叫んだり、、、、自己コントロール不可能状態になります。トニーは中学に入ってからティーンエージャー特有の話ことばや、彼らの声が鳴り響くカフェテリア、分刻みの終始ベルなど過度の感覚刺激に悩まされています。ランチはカフェテリアに行かず外のベンチでヘッドフォーンから音楽を聴きながら食べて昼休みはなんとかサバイブしているようです。
終始ベルはベルが鳴る前後に問題行動が現れます。これは音の刺激が原因ですが感覚過敏による問題行動は一番かわいそうで私も落ち込みます。特にオーケストラのクラスではバイオリンを弾いている最中つまり両手がふさがっている時にベルが鳴ったりするんで超恐怖のようです。先週は授業中に立ち上がって先生にベルをOffにしてくれと抗議したそうです。その前は教室のうしろにある時計を何度も振り返りながら見てはベルが気になって授業に身が入らず。耳栓をしたり、イスの下にカーペットを敷いて音が響かないようにしたり、砂時計を持参してベルの1分前からそれを見ながらベルが鳴るのを待ったり、、、、どれもあまり効果はなく週2-3回はクラスから退場になっています。来週は先生が見学に行ってくださるとのことで何かいい解決策が見つかるといいのですが。

今夜は流星シャワーが見れるらしいです。
ケニーが”トニー、流星シャワー見に行こう!”と誘うと”OK!!"と言ってケニーは庭へ、トニーは浴室へ向かいました(笑)。

エスニック料理

2006-10-21 | Weblog
今日はインドのDiwali祭ということでインド人の先生がインド料理をごちそうしてくれました。サモサとか私はすきですがエスニック料理が苦手という人がひとりいまして彼女を冷やかしているうちに話題が今まで食べた最もグロテスクなものに展開、盛り上がりました。”メキシコで食べた亀のスープ”濃厚なスープで解体された亀のパーツが入っていたそう。他には”ワニの肉””チャイナで食べた鳩の舌””フィリピンのふ化しかけのアヒルのゆで卵バロット”など、、、もう彼女は吐きそうになってて最後に私が”タコの刺身”と言ったら泣きそうでした(笑)。今、学校で生徒達が歌っているハロウィーン曲♪What do Witches eat?♪は鬼婆魔女の好物を♪Rat tail Soup, Moldy Cheese, Spider Salad, Bat belly Jelly on toast♪と歌っています。なんだかこの曲がオーバーラップしたランチのひとときでした。もちろんインド料理はとてもおいしかったです!!

読めない空気

2006-10-18 | Weblog
生後9ヶ月のラブラドール犬を飼っています。
名前はガサガサと落ち着きがないからガサ。現在ガサは週1回ドッグスクールへ通って私達の指示に従う訓練をしています。成績はあまりよろしくなく、他の犬の飼い主から”ガサちゃんのおかげでうちの犬が優秀に見えるわ”と言われる始末です。先生はガサは今まで会ったことのないユニークなタイプの犬だと毎回言いますが、そのユニークという言葉の真意がなんだろうとだんだん不安になっています(苦笑)。そんなガサでさえこのクラスでご存知行動療法を受け、だいぶ指示に従えるようになりました。

私の勤めている学校で毎朝クラスの出席をとる時、”ハイ”という返事のかわりに独特な指示を出す先生がいます。”今日は名前を呼ばれたら好きなフルーツをひとつ言ってください”とか”ハッピーフライデー!と言って下さい””3回手をたたいてヤッホーと言って下さい”など、、、、そして必ず何人かは指示に従えず名前を呼ばれて”ハイ”とまともに返事したり、フルーツと聞かれているのに野菜を言ったりするんです。先生の指示を仮に聞き逃したとしてもまわりの様子から答えを察して簡単に答えられる子と名前を呼ばれたので単にハイと返事をする子、それぞれのその場での解釈でたかが出席とりがかなり違ってくるわけです。指示に従えない、その場の空気が読めない子が増えている中、私達がより一層クリアな指導をしなければこの差はどんどん広がっていく気がしました。

自閉症のトニーはADD(注意欠陥障害)でもあるので、集中できるための薬を服用しています。我が家ではこの薬をFocus Pill(集中薬)と呼んでいますがトニーはこれを飲むと先生やまわりの指示にほとんど1回で従えます。ガサやうちの学校の生徒達のように指示に従うことは訓練などで改善可能というわけです。ところがその場の空気を読むに関してはそうはいかず年齢が進むにつれて深刻になってきました。以前ペットショップで買い物している人がガサを指して”何の種類?”と聞いてきました。トニーはすかさずその人の持っていた車の鍵を見て”あなたはトヨタ?”と返していました。かなり前になりますが、音楽室が使えなくて生物室でオーケストラの練習をした時も、先生が”今日の練習はここまで何か質問ありますか?”と言うと手を上げて”あそこにあるがい骨は誰のホネですか?”とガイ骨の見本を指して言ったそうです。”トニーそれちょっとセリフ違うよ”と私は言うんですが読めない空気は難しいです。

Positive Thinking

2006-10-16 | Weblog
わが子が障害児とはじめてわかったとき、多くの親達は落胆しどう受け止めていいか混乱する。ありのままを受け止め、障害を100%認めることから最初の一歩がはじまるわけですがそれは決してあきらめることではないのです。この春トニーの通っているアフタースクールのディレクターでもあり同じ自閉症の親でもあるミスターEが自宅の屋根から落ちて脊髄を打ち、下半身不随になり一瞬にして車イス生活になりました。毎日厳しいリハビリに耐え、車の運転もこなし、今まで通り彼特有のジョークも忘れずたくましく生きている姿を見て、幸か不幸かのわかれ目はこういうことなんだなあと感じました。コップに水が半分あると”もう半分しかない”と思うか”まだ半分もある”と思うかでその人の生き方や価値観がわかることがあります。前者はなんだか根性なしのようだし、後者はお気楽すぎて軽率に聞こえる。でもミスターEのプラス思考はまわりの私達を幸せにしてくれる。それがまた反映して彼自身がよりポジティブになる。今のところ歩ける確率はミラクルに近いと言われているそうですが、それでも絶対歩けると信じて前向きに生きている。”昨日レストラン行ったらすごい混んでて店の人にただいま混みあっていますので座ってお待ちくださいと何回も叫ばれたんだけどオレとっくにずっと前から座ってんだけどって言ったら店の人に笑われた”と自慢げに話してくれた。私が間違えてアイスホッケーのスティックで彼の足をたたいてしまったときもあわてて謝った私に”ドンマイ!ドンマイ!どうせ神経かよってないんだから痛さなんて感じないよ”と言われ、そうだったねーと私も軽く笑った。彼の持つ精神力に拍手!

♪マリンバレッスン

2006-10-16 | Weblog
一年程前からトニーとマリンバを習っています。
ピアノ以外の打楽器をやや見下していた私でしたがやってみると何から何まで難しく改めて真面目に練習に励んでいます。楽譜の位置がピアノと違うし、バー(鍵盤)の幅も音の高さで違うし、楽譜が読めてちゃんと弾いてるつもりでも違う音だしてるんでよね(笑)。こういったmuscle memoryは年をとるほど難しく、柔軟性がない私はまるでロボットのような演奏です。先週のレッスンでは現代曲を初見で弾かされ途中4小節ほど”play whatever you want"(即興で)と書いてあり固まってしまいました。それにひきかえトニーは4小節以上即興を続け、楽譜に従うように先生から注意されたほどです。
今、トニーはロール(ピアノのトリルみたいに連打する)の練習をしていて、コーディネーションがあまりよくないため正しく筋肉を使ってないので”これ練習するのイヤだ!おっぱい痛くなるから”とマジで胸を悩ましく両手で押さえていました。