トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

続ITP

2007-07-27 | Weblog
カリフォルニアでは16歳になると、高卒資格を目標とするカリキュラムと高卒証明を目標とするカリキュラムに分かれます。

更に近年問題になっているのは、高校卒業試験。

いろいろと優遇されるオプションはあるものの、障害児もこれに受からなければ高卒の単位があっても、高卒資格がもらえません。

先日のITP講演会でも話題になっていましたが、この高卒資格にこだわるが故に起こるストレスフルな生活が問題行動、家庭崩壊の原因にもなるとのこと。

高卒資格に対応する単位を取得するには全教科をカリキュラムに沿って受け、クレジットを得なければいけません。
得意不得意のギャップの差が激しい自閉っ子たちには、とても不都合なカリキュラムです。

彼らはたとえ勉強ができても、自分で進路を決めることや自分のやりたいことが何かを伝えるのが苦手です。
親に”あなたは卒業資格を得るための単位を取り、卒業試験にも合格するようがんばること”と言われれば、がんばっちゃうわけです。

まもなく迎えるトニーの高校カリキュラムの選択、私は高卒資格にこだわらないことにしました。

それよりも、自分で自分のしたいことが何かを言えるようにしてあげたい。
好きなことを伸ばしてあげたい。
トニーが何かをやる気になるまで、あせらず、せかさず、待ってあげたい。

と腹をくくったときに、お友達の先輩お母さんから後押しされるようなメッセージをタイミングよくいただきました。

トニー君も、そろそろITPの準備時期に来ているのですね。
小さい頃は、とにかくなんでもやってみて視野を広げることが大切だと思いますが、年齢が上がるにつれ、だんだんと狭めて「これができる」といえるものを見つけ伸ばしていく、という感じになってきますね。

自閉症の子は、勉強はやらせれば案外できてしまうことが多いのですが、その学業を社会で生かすことができない、もしくは、生かそうとすると、苦痛になってしまう。(これは年齢が上がるほど顕著に現れる気がします)
まったくもって、不便な方々ですねえ、、、

大きくなると、親がやらせるのではなく、自分でやる、できる。が、本人を成長させるみたいで、親もある意味、勉強させられます。

まだまだ続く親業の試練、がんばります!

ITP (個別移行計画)

2007-07-26 | Weblog
ITP(個別移行計画)の講演会を聞きに行ってきました。
学齢期から青年期(高校、その後)へスムーズに移行していけるためのサポートプランについてです。

障害児枠にいる学生が16歳になると受けることが義務づけされているこの移行プログラムは、職業訓練、生活スキル、大学進学、社会参加、など目的として、個々の生徒の能力を査定し、どの道をどう進んでいくか具体的に計画します。

いわばIEP(個別教育計画)の成人自立編というところでしょうか。

Be realistic(現実的になれ)、子供のことを一番知っている親にとっては、これが難題なのです。

車が好きな子の親は、車関係の仕事が絶対に向いていると計画する。
ところが実際に職につくと、その現実とのギャップに仕事が続かない。

勉強ができる子の親は大学進学を希望する。
でも子供は”なぜ大学へ行かなければいけないの?”と言う。

講演会のスピーカーが、熱心な親達を前にオブラートで包むように遠まわしにBe realisticの真意を訴えているのが私には伝わってきました。

親はどうしても理想や希望をかわいい子に託してしまいがちです。

じゃあ放任がいいの?何でも好きなようにさせて放っておけばいいの?
と極論になってしまうのも親。

スピーカーのサイコロジストは、「両極端の親がいるようですが、そのサジ加減を個々にあわせて、より効果的に計画するのがITP(個別移行計画)です」と言いました。

Be realistic、親にとっては酷なメッセージかもしれません。
でも一生涯この障害と共に生きるトニーにとっては、サポートなしでの自立は不可能です。

職を得ても、ジョブコーチが必要でしょう。
グループホームに住むにしても、24時間サポート体制が必要でしょう。

彼らにとっての自立とは、サポートがあってこその自立です。

Independence but not alone(自立、でもひとりでの自立ではない)、このことを胸に、近い将来やってくるITP(個別移行計画)に臨む決心をしたのでした。

犬が現金800ドルを、、、、

2007-07-22 | Weblog
昨日のニュースで犬が現金800ドル(約8万円)を食べてしまったと報道されていました。

犯人は何でも食べるEating Machineと名高いラブラドール

飼い主なら誰もが体験しているラブラドール犬の怪食ぶりを紹介しますと、、、、、

高級メロン一個、箱ごと
ハロウィーンの大きなかぼちゃ2個
シャンプーもちろんボトルごと
ティッシュこれも箱ごと

ベストセラーになったMarley & Meに出てくるマーリーは18金ネックレスを食べて、あとからウンチと一緒にもっとピカピカになって出てきたという話は有名です。

うちのガサも飲み込みはしませんが、靴、スリッパ、家具、リモコン、マットレス、CDケース、本、、、、

お腹に入ったものとしては、プラスチックバック、クレヨン、ボール、子供の宿題、、、、など。

クレヨンと宿題以外は原形のまま出てきました(笑)。

それにしても、うちには現金がなくてよかった、、、、

コンサートの練習

2007-07-21 | Weblog
来週の障害児コンサートを控えて猛烈に忙しい毎日を送っています。

無力な私にとっては、学齢期の障害児12人をひとつにするだけでも至難の業です

★ステージでじっとしていられない。

★楽器を触りまくる。

★”○○ちゃんの隣はイヤだぁ~!””この楽器よりあっちの楽器がいい~!”などと言っては泣き喚く。

★スキをみてはステージから飛び降りる。

などなど、、、目まぐるしくハチャメチャな練習風景は全く知らない人が見たら音楽の練習とは思えないかもしれません(苦笑)。

練習曲の中で、1,2,3、、、と拍子をとりながら歌う曲があるのですが、その拍子をStomp,Stomp,Clap,左足、右足、手拍子、、、の順でリズムをとる練習をしています。

ところがこのStomp(足踏み)の意味がどうも彼らには理解されていないようです。

というのも、いつも裸足で練習するので、ドスンという足踏みが聞こえず、リズムを感じていないようなのです。

そこで私が靴を履いて、 Stompして音を聞かせて、見本をみせて、言葉で説明して、ひとりひとりにやらせてみて、

「みんなわかったね?」と聞いたら「イエス!!」と元気よく返事をしてくれました

うれしくなって「じゃあ今度はみんなも靴を履いてやってみよう!」と言ったら、

誰も動こうとしません。
「靴履いてください」ともう一度繰り返し言いました。

やっと恐る恐るひとりふたりと靴のある場所へ歩きはじめると、ひとりの子が「(靴を履いて)どこ行くの?」とつぶやきました。

すると別の子が「わかんない、、、、」と不安そうに言ってます。



たった今、説明しただろうが!
イエス!と言っただろうが!!
ったく、、、、

と怒鳴りたい気持ちを抑えて、「靴を履いてStompして音を出します」

とおばさんはやさしく言ったのでした。

あと1週間、がんばりまーす!!

ターメリック

2007-07-18 | Weblog
今日のYahooニュースにあったカレーを黄色に染める香辛料、ターメリックがアルツハイマーに効くという研究がされていることはずいぶん前から話題になっていましたね。

ターメリックに含まれているCurcumin(クルクミン)という成分が、健康の味方らしいです。

インドのアルツハイマー発生率はアメリカの約四分の一だそうですから、これは注目しなければ。

とにかく私達がお醤油を使うのと同じように、インド人はターメリックを使うそうです。

インド人の友達に聞くと、ターメリックって生姜ファミリーだそうですね。
肌をきれいにする効果もあって、高校生のときはニキビ防止にターメリック美容を愛用していたと言っていました。

でもターメリックって風味はあるけど、味ないじゃん。
オイリーで臭いも独特だし。

我が家の食卓にはちょっとミスマッチなようです。

身近なところでは、ホットドックやハンバーガーにつけるマスタードにターメリックが含まれているそうですが、毎日ホットドック、ハンバーガーは食べないし、、、、、

ターメリックサプリメントがたくさん出ているので、そちらにお世話になりますか。

アルツハイマーは私が最も恐れている病なので、、、、


キャンプを終えて

2007-07-15 | Weblog
キャンプ場に呼び出されたことがまだシコリになっていた私は、トニーの顔を見たら開口一発なんて言ってやろうかな?!と意気込んでいたのですが、、、、、

みんなとお揃いのTシャツを着たトニーが私を見つけて、

「I miss you」と落ち着いた口調で言い、

続いて私も「I miss you too」と。

そこには何だか妙によそよそしく、不自然な間がありました。

お迎えがちょっと遅れてしまった私の頭の中で想像していたこのシーンは、

私を見たトニーが

「Mom!!遅いなあ!!」と飛びついてくる。
「そうでしょ?!だって迎えに来るのやめようかなと思ってたんだもん」と私が言う。

のはずだったのですが(笑)。

カウンセラーに「薬を飲ませてからまるで違う子のようにすべて順調でした。最初から服用させていれば、トニーはこのキャンプでもっと得るものが多かったのではと思うとちょっと残念です」と言われました。

それでもたくさんの友達ができて、スタッフの方々ともすっかり仲良しになって、「また来たい」と本人が言っているのを聞いて、私は大満足です

帰り際にたくさんのスタッフの方々が”トニー、トニー、、、”とお別れしてくれて、ボランティアのお姉さんとはメール交換までしていました。

よかったよかったと車に乗り込んでから家までの道中、私は聞きたいこと言いたいことがたくさんあるのを我慢して、

「ねえ、なんかおいしいもの食べていこうか?何食べたい?ずっとキャンプフードだったからやっぱ日本食がいいよね?!おそば?おすし?」と聞くと、

「日本食はヤダ。キャンプで食べたのと同じの食べたい。タコ(メキシコ料理のタコス)がいい」と言いました。

毎日お米食べている子がこんなこと言うなんて予想外でした。

帰宅してからは、キャンプの初日から手首につけている手錠?いや、、、ブレスレットのネームタグ(名札)をまだ取れずにずっとしたままでした。

お風呂に入っても、寝るときも、まだつけたままなので「もうそれ取ったら?」と言うと、

「ピート君(一緒に行った友達)も取ったかなあ、、、、」としみじみ言ったのです。

感動しました
胸が熱くなりました

一筋縄ではいかなかった初めてのキャンプでしたが、トニーのこのひと言で今回のキャンプが彼にとってどんなに有意義であったかを確信したのでした。


自閉症らしく

2007-07-13 | Weblog
キャンプで指示に従えないトニーの問題行動が引き金となって、母は彼の将来を模索し始めました。

一般に言われている自閉症の人のいいところ”言われたことを言われたように忠実に守り真面目に働く”、これはトニーには当てはまりません。

言われたことを言われたように出来ない自閉症なんです。

私は公共料金の支払いを郵便で送るとき”オフィスワーク”と称して、トニーに差出人を書かせたりします。

「これはVerizon(携帯電話)、差出人にママの名前と住所を書いて切手を貼ってね」

「これはPG&E(電気ガス)、、、、」

と同じように会社別に封筒を渡して書くようにお願いします。

黙々とあっという間に書くと”出来た”とも何も言わずに無言で去ります。

オフィスワークの出来ばえをチェックすると、決まってこんなことをしてくれます。

たとえば、

封筒の受け取り先が電話会社だったら、、、、
電話を受けたときの決まり文Who's calling?(どなたですか?)

電気ガス会社だったら、、、、
save energy(省エネ)

てな具合で、いちいち余計なことを書いてくれます。

つまり人の指示通りに仕事してないわけです。

職種にもよりますが、実社会で上司の指示に従えないっていうのは致命傷だと思うんです。

確かにトニーのCreativeなところに脱帽して私の言ったことを撤回することもありますが、人によっては”かわいくない奴”と反感を買われる可能性も大アリですよね。

もっと自閉症らしくなってもらわなければ。

Good or Bad?

2007-07-12 | Weblog
トニーがキャンプへ行って3日目。
初めての、しかもいきなり6泊7日のキャンプへ送り出すのは相当の勇気と覚悟が要りました。

何かあったら電話かかってくるから心配しなくて大丈夫とみんなに言われ、1日目、2日目、、、、と段々”そうだよね。私が心配してどうなることでもないし、何かあったらむこうから言って来るよね”3日目の今日はすっかりリラックスモードに、、、、、

ところがお昼ちょっと前、電話のベルが鳴りました
留守電にメッセージを入れている声が聞こえましたが、お手洗いにいた私はあとでかけなおそうと思っていると、”こちらキャンプCostanoanです”というのが聞こえて、、、、あわてています!います!いますぅ~~!!と受話器をとったのでした。

担当の方が「実はトニーのことで困っています。どうも彼には1対1の援助が必要なようで、今回の3対1(子供3人対大人1人の割合)のプログラムでは無理なようです。いけないと言われている木に登ったり、ボランティアのラジオを取り上げてしまったり、他のキャンパーに”バカ”とか”だまれ!”と罵声を浴びせたり、、、、」

とここまで聞いて、ハイハイわかりました。やっぱりきたかぁ、、、、この瞬間。

すっかり気落ちして「で、どうしたらいいですか?迎えに行きましょうか?」と開き直ると、
先方は私が落ち込んでいるのを察したらしく、「そういうつもりで電話したんじゃないんです。何かおうちで実行していることとか、どうしたらトニーにわかってもらえるかお知恵をいただきたくて連絡しただけです」ととても丁寧におっしゃいました。

「わかりました。とにかくそちらへ伺います」と電話を切って、いざ25マイル(約40キロ)の旅へ。

高速をぶっ飛ばしている最中、
”なによ!よっぽどのことがなければ電話しないって言ったくせに!”
”障害児対象なんだから多少ワイルドな子がいたって対応できなきゃだめじゃない!”
”面接したときは、むこうから3対1で大丈夫ですねと言ったくせに!”
”もう連れて帰ってやる!”、、、、、


プンプンプンプン
すっかり頭に血が上っていました。

こういうお母さん、私の教えている学校にもいます(苦笑)。

キャンプ場への曲がりくねった山道を運転しながら、なんで私が今頃こんなところ運転してるのよと情けなくてこのままこの山にこもりたい気分でした

現地に着くと、スタッフの皆さんが何もここまで来てくれなくてもよかったのにとすまなそうに迎えてくれました。

そしてカウンセラーも交えてお話をしたのですが、よく聞くと、結局トニーはすごくキャンプを楽しんでいることがわかりました。
どうやら楽しすぎて自己コントロールできていないことが大きな原因のようです。

カウンセラーも「子供にはよくあることです。ただトニーの場合、あまりにはしゃぎすぎて危険なこともあり、注意してもその10分後にはまた同じことを繰り返すので今日はモントレーでのスキューバダイビングには連れて行きませんでした。」と言われました。

とにかくAttention(注目)が欲しいらしく、かと言ってそれをうまく表現できないわけで、何かと的外れの質問をしたり、人の話をへし折ったりで、担当のボランティアもトニーにばかりつきあうわけにはいかず、他の子達の面倒がみれないと言われました。

とりあえず、指示が頭に入るように、キャンプでは飲ませないつもりだったいつも服用している薬を飲ませるように看護婦さんに伝えました。

というわけで、”楽しんでくれるかしら?大丈夫かしら?ホームシックにならないかしら?”という私の心配をよそにトニーは楽しみすぎていたわけです。

Is this good or bad?

兄弟

2007-07-11 | Weblog
「I miss Tony」
トニーがキャンプに出かけて一番喜んでいたはずのケニーが言いました。

トニーがキャンプへ出発する前、「いない間に絶対ぼくの部屋に入るな!」と言われ、「入るよぉ~~!!ゲームも使っちゃうよぉ~~!」とからかっていたケニーなのに。

ケニーは1歳年下の弟でありながら、障害のある兄をtake advantageする悪ガキです。

それにトニーが自閉症だということが許せない風な発言もします。

そんなケニーがトニーがいなくて寂しいと言ったのです。

今日は元気のないケニーと犬の散歩をしました。
途中、通りかかった例の家を見て「この家だよ。この前トニーが問題発言したのは」と私が言うと、「あぁーこの家かあ、、、もし僕が自閉症だったらトニーと同じこと言うと思うよ」と彼なりに?トニーをかばっていました。

障害児の兄弟という、一見重い環境にいるケニーには、親としてなるべく負担を感じさせないように育てるべきなのかもしれません。

でも私にはそんな器用なことはできません。
未熟な母は、自分の都合のいいように怒ったり笑ったりしながら子供達に鍛えられています。

以前、ケニーがキャンプへ行ったときは、私が冗談で「もうケニーはキャンプ場に置いておこうよ。いらないじゃん!」とトニーに言ったら、「だめぇ~~!!置いてかない!持っていくぅ~!!」と心配していました(笑)。

普通とはちょっと違う兄弟関係ですが、それなりにお互いを愛しく思っているんだなあと母はうれしくなったのでした。

The Simpsons(ザ シンプソンズ)

2007-07-10 | Weblog
人気アニメ番組”ザ・シンプソンズ”の映画化に伴い、番組に出てくるコンビニが実際に登場した。

7月27日公開のこの映画のプロモーションの一環で、セブンイレブンがタイアップして全米11店舗だけをシンプソンに出てくるコンビニKwik-E-Martに改装、テレビに登場するあのピンクドーナツや飲み物などアニメの世界をそのまま実現している。

私の住むカリフォルニアでは全米11店舗のうちの2店がオープンとなって、今日はケニーのおつきあいで行ってきました。

すごい人でレジは長蛇の列

警備員動員して盛り上がっていました。

念願のスクイッシー(Squishees)を買ってご機嫌のケニーを見て、私ってなんていい親なんだろうとつくづく思いました(笑)。

この映画、日本でも公開されるそうです。