トニママ ジャーナル

カリフォルニアより自閉症と音楽と私の日々

ミュージシャン用の耳栓

2007-04-30 | Weblog
トニーはギタークラブとやらに入って毎週金曜日の放課後、エレキギターを抱えてガンガンやってます。

私もお迎えがてら、教室を覗きますがそれはもう爆音の世界です。
聴覚過敏のトニーがなぜあの環境に耐えられるのか?

このまま無防備にあの環境にいたら絶対に耳がやられる。

「これ以上障害を増やしたら、ますます生きにくくなる」と冗談交じりにドラムの先生に言ったら、ミュージシャン用のイヤープラグ(耳栓)があると教えて下さいました。

最近は耳を守るいろんな種類の耳栓が出ていて、飛行機に乗る時、歯の治療の時、バイクに乗る時、工事現場、、、、など環境に応じてそのスペシャル耳栓が活躍しているそうだ。

値段もいろいろでカスタムメイドだと1000ドル(約10万円)近くするのがあったりするらしい。

早速ネットで調べてみると、ミュージシャン用の耳栓は音量を下げて、音質はそのままということ。
音の強弱も本来どおりできるとあったが、ロックバンドに強弱なんてあるのかとちょっと笑ってしまった。

この耳栓は、もちろんロックバンドだけでなく、クラシックやジャズなどの音楽家もつかっているのだが、コンサートなどで観客に配られる所もあるそう。

musician ear plug ER-20これを買うことにした。

臨機応変

2007-04-27 | Weblog
トニーが学校から体操服を着たまま帰ってきました。
ん?制服どうした?と思ったらカバンにグチャグチャにまるめて入っていました。
理由を聞くと、"Because I was too slow"と言いました。着替えが遅くてアフタースクール(放課後に行く学童保育みたいなところ)に遅れそうになってのことらしい。多分、担任が”もう遅れるからこのまま行きなさい”と言ったのだと思う。

中学になって科目ごとに教室移動するのがかなりしんどいらしい。
家でのトニーの生活ぶりからも、体操服の着替えや楽器を持っての移動などは絶対に彼のペースでは遅れるに決まっていると察しがつく。

何もかもみんなと同じようにやろうとしなくてもいいんだけど、そこを臨機応変にできないのが自閉症。
ちゃんと着替えて下校したほうがいいのか、遅れるくらいなら着替えないほうがいいのか、決めかねなくて苦しんじゃうんだよねえ。

こういうときは”間違ってる”とか”もっと速く着替えろ”とか否定的なことは言わないで、とにかく受容、共鳴してあげるにつきます。

”アフタースクール遅れなくてよかったね”と言ったら”間違ってなかった?”と聞いてきたので、
”No”と冷静に答えておきました。

パストラミを買いにー

2007-04-25 | Weblog
仕事帰りに子供達の好物のパストラミ(ビーフ)を買いに行ってきました。
このお店、高いだけあって確かにおいしいのですが、ここのおじさん、すごく仕事が遅いんです。
肉とかの扱いもなんかぎこちないし、”いらっしゃい!”っていう威勢のよさがない。
足が不自由な方で、奥の冷蔵庫からお肉を取りに行ったりするだけでも時間がかかって、今日なんて待ってる人がたくさんでした。

でも500g下さいって言うと、ぴったり500gパックしてくれて、今どきお肉をぴったり量ってくれる人ってうちの近所ではなかなかいないです。
いつも少し多かったり、少なかったり、、、、、だからこのおじさんすごいなあとは思うのですが。

きっとこのおじさん、接客業の経験のない元エンジニアなのかもしれません。

というわけで、忙しいときにこのお店に行くのは覚悟がいるんです。

うちの子供たちは食べ物にPicky(えり好み)で、この店のパストラミでないと食べません。

トニーは肉じゃがのジャガイモは食べるけど、カレーのじゃがいもは食べません。
理由は見た目が足の親指に似てるから
だそうです。
わけわかんない、、、、

思春期

2007-04-24 | Weblog
まわりの友達の思春期の変化に気づいてきたトニーは、自分もそうなる、そうなりたい、、、と努力している。
普通は一生懸命がんばってヒゲをはやしたり、声変わりしたりはしないのですが、トニーの場合、、、、

「僕は何月何日に声が変わるの?」
「○○クンはもう声変わった?」
「僕はティーンエイジャー」


といったフレーズの連発が目立ってきました。

先日は自分でヒゲをマジックで書いて「そろそろ描かなくちゃいけない年頃だから」と漫画に出てくる泥棒みたいな顔でしみじみ言いました。

今日はめずらしく自分の部屋を片づけていると思ったら、子供っぽいと思われるオモチャを全部まとめて「これ日本のものは誰かのベイビーにあげて、アメリカの物は売って」とお願いされました。
そのあとがおかしくて、本人まだ未練のあるオモチャがあってそれを手放したくないばかりに「これはティーンにはおかしい?」
「もしこれを持っていたら誰に何を言われる?」
と言いました。

思春期は難しいと言われますがトニーの場合はわかりやすすぎて親の方が不安になります。
大丈夫かあ?!

Visual Society と 待てない症候群

2007-04-23 | Weblog
うちではよくリモコンが消えます。
今日もテレビを見ていてチャンネルを変えようとしたらリモコンがなくて、どこ?どこ?とせまい部屋を探しまくりました。しばらくウロウロしていて気づきました。目の前にあるテレビのチャンネルを変えればいいことだって。

コンピューターでも電話でも即対応のスピードでないと待てないのは世の中がVisual Societyになっているからでしょうか。

おもしろい光景を目にしたことがあります。
駅のエスカレーターが故障して止まっていました。
でもほとんどの人が横にある階段を利用せず、止まっているエスカレーターを上っていました。
視覚的にエスカレーターをチョイスしてしまうのでしょうかねえ。

Visual Societyの代表ともいえるインターネットでの買い物。
クリックひとつで目の前に映っている物がゲットできるのですからこのinstant grateficationの魅力は病みつきにもなります。

仕事以外でも携帯やコンピューターなしではサバイブできない人達を待てない症候群に染めたのはテクノロジーだとしたら、少なくともテクノロジーの奴隷にならないよう自己コントロールしなくてはと、必死でテレビのリモコンを探している自分の姿を想像してふとマジになりました。

バッハな気分

2007-04-22 | Weblog
今日はすっごくバッハが弾きたくなりました。
疲れると甘いものが食べたくなったり、衝動買いをしたくなったり、ストレス解消にもいろいろありますが、私はなぜかとうとつにバッハが弾きたーい!!気分になります。

最近は働いている学校でしか動かしていない私の指も、このときばかりはちゃんと言うことを聞いて私のストレス解消におつきあいしてくれます。

なんか気分が晴れないときに、端正なバッハを弾くとパズルが解けたような快感があります。

Mathematicalで割り切れる音楽とでもいうのでしょうか、他の作曲家の音楽を演奏しているときの脳とは違う部分を使っている気さえします。

何も考えずに平均律を1番から順番に黙々と弾いていると、ぼんやりしていた風景がはっきり見えるようになり、まるでお風呂上りのようにさっぱりすっきりです。

我が家では私のバッハが聞こえると”始まった”とばかりに誰も邪魔せずにいてくれます。

対位法が苦手で学生時代にはバッハに見向きもしなかった私の意外な姿に、MR.BACHも墓場の影で
喜んでくれていることでしょう、、、、ってそんなわけないか。

フリーダム

2007-04-20 | Weblog
先月、ケニーがついに12歳になりました。
ついにというのは、晴れて法的にひとりで家に居られる年齢になったということ。
カリフォルニアでは12歳になるまで子供の留守番はいけないと法律で決まっています。
大人の監視のもとでなければ行動できない生活は、親子共々、思うように身動きできないストレスがあります。
スーパーの駐車場で子供を車に残して大根一本買うだけでも罪になるのですから。

この不自由から開放されたと思うと、12歳歳の誕生日は本人にとっても親にとってもただの誕生日ではないのです。

うちの子供たちが日本が好きなのはフリーダムだと思います。
好きなテレビ、映画が見れたり(これもこちらではいろいろ規制があるんです)、留守番できたり、公共の場に子供だけで行けたり、、、、

すごいのは自転車の二人、三人、四人?乗り。
小さな子供を前と後ろに乗せてたくましく自転車に乗るお母さん達の姿はカリフォルニアでは絶対にありえない風景です。

私も日本に住んでいたときは、1歳のケニーを前に、2歳のトニーを後ろに乗せて自転車こいでました。
写真撮っておけばよかったなあ。

なにはともあれ、子供達が巣立っていくことは私も楽になることなので、うれしい限りです。

フリーダム万歳


Adoptionー養子縁組ー

2007-04-16 | Weblog
”MEET THE ROBINSONS”という映画を子供のおつきあいで見に行きました。
親に捨てられた子がタイムマシンで未来へ行って自分の将来に会うのですが、この映画で何回も出てくるのがAdoption(養子縁組)という言葉です。

adoptionってアメリカではとてもオープンです。

私が初めてその言葉を聞いたのは、大昔、あるパーティーに呼ばれたときです。

そのパーティーでアジア人は私ひとりだけだと思っていたらヨチヨチ歩きの黒髪の赤ちゃんがいました。
ん?誰の子?どう見てもこの子の親らしき姿が見当たりませんでした。そこに3才ぐらいのかわいい白人の女の子が私を見て言いました。
「私の妹とそっくりね」
ヨチヨチ歩きのアジア人赤ちゃんのお姉ちゃんでした。
無知だった私は思わずどういう組み合わせであんた達みたいな姉妹ができるのよ!?親はナニ人?腹違い?!と3歳の子に言いそうになりました。返答に困ってヘラヘラしている私に3歳の子はまた言いました。
「私の妹は韓国からadopt(養子)されたの」

養子!?こんな小さな子が養子なんて言葉知ってるんだあ。

まだ独身だった私はどうせ養子にするなら同じ人種にするとかもう少しわかりやすくしてよなどと軽々しく言ってました。

数年前、教えている学校で生徒から「今日は私の誕生日。私は中国からadoptされたから本当の誕生日を知らないの。でも今日は私がadoptされた日だから今日が私の誕生日」と言われました。
彼女はなんのためらいもなくクラスメイトの前で自分はadoptされたと告白し、クラスの子供達も彼女のためにadopt記念日をお祝いしました。

自分が親になって、産むことより育てることの大変さを学んだ今、adoptionという言葉の重さとやさしさをやっと理解できるようになりました。

名探偵モンク

2007-04-13 | Weblog
日本でも放送されているそうですが、私は”MONK"というこちらのテレビシリーズが好きです。

モンクという名前の強迫神経症の探偵がメインで彼のユニークな事件解明やアブノーマルな行動、言動は笑えます。

身体に触れるのがイヤだったり、音や臭いに敏感だったり、感覚過敏の自閉症とオーバーラップしているところもあります。

モンクの家族の集合写真がみんな間隔をあけて整列しているのには受けました(笑)。
普通、集合写真ってもっとみんな真ん中に寄り添って撮るでしょ!?

モンクはこだわりもたくさんある探偵で、犯人に襲われそうになっても目の前にある本棚の本がバラバラになっていたら直さずにはいられなかったりするんですよ。

エクササイズでけんすいをしている人に事件の聞き込み中、その人が99回でけんすいを降りてしまったことが気がかりで「もう一回やって100回に」と頼んでいました(笑)。
割り切れないと気持ち悪いのってわからなくもないですが。

トニーは体温計で熱をはかるとき、右のわきの下で測った後、「35.5度!じゃ今度はこっち!!」と言って左のわきの下に体温計を入れかえます。病院で血圧をはかるときも両方の腕で一回ずつはかるようにドクターに注文します。
割り切れないというよりは、両腕、両脇、しなければいけないと思っているのかもしれません


玄関襲撃事件

2007-04-09 | Weblog
先週末の出来事です。

夜10時ごろ、いきなり大きな石が落ちたようなすごい音が家中を襲った。
そのすごい音の後、3秒ほど家の中がシーンとして、バラバラに違うことをしていた家族が玄関に集合。

「今の何?」
「一体、何がこの世界で起こったというのだ!」←これケニーです。

玄関ドアのフレームが壊されてドアが開き、閉められないで浮いていた。

外を見ても人影もなく、何も手がかりがない。

警察に電話している夫の横で「ポリスに電話しちゃダメだよ。来ちゃうから」とトニー。
ポリスにいたづら電話して言われるセリフをそのまま言ってました。

ポリスが来てくれて事情を説明している時、10分ほど前にうちのすぐ近くで銃砲が聞こえたと通報があったことを聞かされゾッとした。

「コード レッド(緊急事態)!!」トニーが叫んだ。
今度はポイントずれてません(笑)。

結局、誰がどうやってうちの玄関ドアを襲撃したのか不明なのですが多分ティーンエージャーのいたずらで思いっきりドアを蹴られたのではないかと憶測しています。
でもその後、近所で聞こえた銃砲は?と追求すれば、もしかしたらもっと怖いことが起こっていたのかもしれません。

その夜は夫がインスタントにドアを直して、ポリスがうちの前で一晩中パトロールしてくれました。

それにしてもうちの番犬、普段は見知らぬ人や音に異常に反応するくせに今回の事態には私達と一緒に身を寄せ合ってひっそりしちゃって、ポリスが到着したらメチャメチャ吠えてました。
違うじゃん!!