会計検査院報告書が証明:森友学園国有地格安売却の神風を吹かせた救いの神は安倍昭恵と安倍晋三

2017-11-27 12:08:21 | 政治

 2013年9月、 森友学園は大阪府に「安倍晋三記念小学校」の設立を相談している。

 この「安倍晋三記念」という名前を冠したのは安倍昭恵との相談によって決めたと予想できる。2017年4月28日付「IWJ Independent Web Journal」記事が2017年4月28日に衆議院第二議員会館で民進党・森友学園への国有地売却問題解明プロジェクトチームが行った当時森友学園理事長籠池泰典対するヒアリングで、小学校の建設構想が具体的に始まった直後の2012年10月頃、昭恵夫人に「まず真っ先に、この構想についてご相談申し上げた」との証言を伝えているからである。   

 更に記事が〈平成26年の3月、講演の最終的なご依頼のため、昭恵夫人と東京のホテルオークラでお会いすることになりまして、その席で、昭恵夫人から、小学校建設運動についてお話をし、『主人に伝えます』ということを言っていただき、さらには、『何かすることはありますか?』とまで言っていただき、嬉しかったことを記憶しております。〉と伝えていることからすると、「安倍晋三記念小学校」という名前を冠することは安倍昭恵から安倍晋三に話を通していたと見ることができる。

 尤も籠池泰典のこの証言は「本人が言っていること」と逃げることができるが、このことは一旦置いておく。

 これ以後の安倍昭恵の森友絡みの動きを見てみる。

 2014年4月25日に塚本幼稚園で講演会、小学校建設用地を視察し、籠池泰典と記念写真を撮っている。

 このことは2017年5月9日付「朝日デジタル」記事が伝えている。  

 〈籠池氏は2014年4月、昭恵氏を学園の幼稚園での講演に招いた。籠池氏によると、この際、昭恵氏を建設予定地に案内し、一緒に記念写真を撮った。直後の近畿財務局との土地取引の交渉で、財務局側から「見せてくれ」と求められ、写真を渡した。担当職員は「コピーを取って局長にみせる」と言っていたという。籠池氏は「(支援を)わかってもらわないと(いけなかった)」と話した。〉――
 
 2012年12月26日の第2次安倍政権発足から約1年4カ月後と言うことになる。

 財務局側から「見せてくれ」と求められたということは籠池泰典が前以って安倍晋三から支援を受けていると伝えたからであって、伝えたことに対する財務局側の反応ということであろう。

 但し籠池泰典のこの証言も本人が言っていることと切り捨てることはできる。

 2015年1月27日、 森友学園設立小学校に対して大阪府私立学校審議会臨時会が条件を附し認可適当と認めるとの答申を行っている。大阪府の審査基準では学校用地は原則として自己所有で借地上の校舎建設は認めていないことに対して借地契約もしていない土地への建設を条件付きながら認めたことも、写真が効いていた、いわば写真が証明することになる安倍昭恵の存在とその存在の背後にいる安倍晋三の存在が効いていた可能性は否定しきれない。

 2015年5月29日、森友学園は大阪府豊中市の不動産鑑定評価額9億3200万円の国有地を近畿財務局と買受け特約を付した貸付期間10年間の有償貸付契約を締結している。

 この締結に関しての「会計検査院報告書(要旨)」の記述を見てみる。    

 〈近畿財務局は、27年5月に買受特約を付した貸付期間10年間の定期借地権を設定する国有財産有償貸付合意書(以下「貸付合意書」という。)等を森友学園と締結した。

 貸付合意書では、24年までに行われた土壌汚染等に係る複数回の調査で判明した土壌汚染及び地下埋設物の撤去を森友学園が行うこと、森友学園が土壌汚染及び地下埋設物の撤去を実施して、これにより本件土地の価値が増加した場合の撤去費用は、有益費として、森友学園が支出した費用のうち国と森友学園が合意した額又は財産価格増加額のいずれかを国が選択の上、森友学園へ返還することなどが定められている。そして、27年6月から同年12月までの間に森友学園が土壌改良工事等を実施したことから、近畿財務局、森友学園及び大阪航空局の三者による合意に基づき、大阪航空局は、28年4月に当該工事等に係る有益費として空港整備勘定から1億3176万円を森友学園へ支払っていた。〉――

 但し報告書はこの貸付期間10年間の有償貸付契約が特例であったことを他のところで記述している。

 〈なお、(平成)24年度から28年度までの間に3財務局及び6財務事務所等が公共随契により売払いを行った契約118件についてみたところ、売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。〉――

 特例中の特例であったということは上記籠池証言を「本人が言っていること」と切り捨てることはできない有力な証拠となる。2014年4月25日に安倍昭恵は森友学園塚本幼稚園で講演、小学校建設予定地で記念写真撮影、直後の近畿財務局との土地取引の交渉で写真を見せる。

 この写真が示す安倍昭恵と安倍晋三の存在が効いた「売払い前提」という特例中の特例の有償貸付契約と見ないと、〈売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。〉という特例は説明しきれない。

 籠池泰典は貸付期間10年間をより長い期間とすべく安倍昭恵側に画策した。

 2017年3月23日の参院予算委員会籠池国会証人喚問。

 籠池泰典「その土地の買上げの条件として10年だったものをもっと長い時間へ、期間へ変更できないかとの思いから、私たちの教育理念に賛同している昭恵夫人に助けをいただこうと考えまして、昭恵夫人の携帯に電話をいたしました。

 平成27年の10月のことです。留守電でしたので、メッセージを残しました。すると、後日、内閣総理大臣夫人付きの谷査恵子さんという方から御連絡をいただき、なかなか難しいとのお返事をいただきました。

 平成27年11月17日に総理大臣夫人付きの谷査恵子さんからいただいたファクスでは、大変恐縮ながら現状では希望に沿うことはできない、なお、本件は昭恵夫人にも既に報告させていただいておりますというお言葉をいただきましたが、お骨折りに感謝しておったところでございます。

 しかしながら、私は財務省の中でこの間どのようなことが起きていたのか詳しく存じ上げません。昭恵夫人、谷さん、財務省の関係者に詳しくその経緯を聞いていただきたいと思います」

 平成27年11月17日に昭恵付きの谷査恵子からファクスで10年期限の変更は難しいという返事が来て、籠池泰典の期待を裏切った。

 「10年だったものをもっと長い時間へ、期間へ変更」と言っている期間についてはこの予算委員会の別のところで民進党の福山哲郎の質問に対して次のように答弁している

 籠池泰典「内容にいたしましてはですね、ちょうど定期借地が終わりました、契約しました頃でありますので、買受け特約10年が付いておりました。で、10年よりも、ちょうどその時期に、介護施設については50年の特約が付くというふうなことが言われておりましたので、そのことを、介護施設ではあるんだけど学校法人ではどうなんでしょうかというふうなことをお聞き、お願いしたということであります。で、その結果、それは今のところ学校法人は無理だということであったというふうなことであります」

 介護施設同様、50年期限を狙っていたと思われる。

 一旦は籠池泰典の期待を裏切ったものの、同じ参院国会証人喚問で次のような遣り取りがある。
 
 山本太郎委員長「安倍昭恵夫人が学校設立を応援してくださって、さらに名誉校長にもなってくださったと。これ、本当に学園のスタッフの中でも士気が高まったと思うんですね。

 このことは、入学を検討する保護者の皆さんも含めて、社会的にもといいますか、いろいろな部分で世間的にも信用につながったとお思いになられますか」

 籠池泰典「確かにその部分は大きかったと思います」

 山本太郎委員長「理事長の以前のお言葉で、急に神風が吹いて国有地が手に入ったという趣旨の御発言があったと思うんですね。

 で、どんな神風だったということなんですかね」

 籠池泰典「遅々として進まなかった、定期借地権のときまでは進まなかったんですが、それ以降は非常にスピード感を持って物事が動いていったというふうなことをもって、神風が吹いたというふうな表現をさせてもらったということです。

 山本太郎委員長「その神風が吹いたきっかけ、何だと思われますか」

 籠池泰典「その時、場所、タイミングというものが天からの配剤として落ってきたんでしょうね。そういうことやと思います」

 「神風が吹いたきっかけ」は具体的には説明していないが、定期借地権締結「以降は非常にスピード感を持って物事が動いていったというふうなことをもって、神風が吹いたというふうな表現をさせてもらった」と説明している。

 この「神風」は定期借地権締結で、〈売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。〉との会計検査院の報告要旨にある特例措置も含まれているはずで、そういった特別扱い以降、物事が急激に進捗していった状況を「神風が吹いた」と表現しているはずだ。

 そして「神風」を吹かせた救いの神は安倍昭恵であり、その背後にいる安倍晋三ということでなければ、会計検査院報告書との整合性が取れないことになる。

 「神風が吹いた」と表現できる一つが会計検査院の報告要旨にある次の一文であろう。

 〈21年度の地下構造物調査時の試掘箇所における掘削土量に占める廃棄物混合土の割合(以下「混入率」という。)の47.1%は、地下構造物調査において北側区画内で試掘した42か所のうち廃棄物混合土の層が存在すると判断された28か所の混入率を平均して算定されているが、28か所以外の14か所についても北側区画での試掘であり、うち13か所では廃棄物混合土が確認されていない。

 14か所を混入率の平均の算定から除外していることに合理性はなく、混入率の平均値が試掘した42か所の平均より高めに算定されていることも考えられる。

 このように、対象面積全体に乗じる平均混入率として、廃棄物混合土が確認された箇所に限定した混入率の平均値を用いていることについては、十分な根拠が確認できないものとなっている。〉

 大阪航空局が見積もり、近畿財務局に提出した廃棄物混入率47.1%は試掘した42か所のうち廃棄物混合土が確認されていない13か所と他1か所を除外した28か所の混入率の平均値であって、高めに算定した数値だとしている。

 こういった不合理な計算は「神風」が吹かなければできない芸当であろう。廃棄物が存在する場所を選んで計算した正確な平均値とは決して言えない廃棄物混入率47.1%の数字から廃棄物量1万9500トン、ダンプカー4000台分と計算、その撤去・処理費用を8億1900万円と見積もることとなり、この金額を不動産鑑定評価額9億3200万円から差し引いて約1億3400万で森友学園に売却されることになった。

 計算を操作して廃棄物量を多めに設定することで、その撤去・処理費用を高めになるように設定、値引率87.9%、8億1900万円もの値引きへと持っていった。

 そしてこの値引率・値引き額が籠池泰典をして「神風が吹いた」と最終確認させた。

 森友学園の背後に控えた安倍昭恵と安倍晋三の存在が役所をして森友学園に対して「神風」を吹かせるに至った。役所に対して安倍昭恵と安倍晋三が直接的に働きかけた「神風」なのか、あるいは安倍晋三が安倍昭恵を通して役所に働きかけた「神風」なのか、あるいは役所側が森友学園の背後に安倍昭恵と安倍晋三の存在を察知して、その意向を役所側が忖度した「神風」のいずれかであろう。

 いずれの「神風」であったとしても、森友学園と関係した安倍昭恵の動きが首相夫人ということで役所に対して仕向けることになった物事の急展開の進捗ということでなければ、廃棄物混入率47.1%という数字の操作や値引率87.9%、8億1900万円もの値引き額の根拠を見い出すことはできない。
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